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プロダクトマネージャーとしてゲームを作り、市場に挑戦し続けた経験から得た事

プロダクトの開発経験が私に教えてくれた事。

私はゲームというプロダクト開発を行っている。買い切り型で3,000円以下の価格帯のプロダクトの開発だ。SaaS型、サブスクリプション型を選ばなかった理由は、短期の方向転換(全面撤退まで含む)が容易なために多くのチャレンジが可能になる点を選好したからだ。

プロダクト開発と運営、プロダクトマネジメントの経験は私に素晴らしいことを教えてくれた。市場とは私の教師であり失敗すれば罰を与え、成功すれば褒賞をくれる。この師事によって私は多くを学んだ。

リーンスタートアップやAmazon流開発の「まず最初にプレスリリースから考える」、スクラム型開発やユーザーファースト。この手の単語はその辺りに掃いて捨てるほどいる「意識高い若者」でも知っているし、聞かれなくても話し出す。

でも自分はプロダクトマネジメントの経験を通して数々の挫折や失敗、成功と毀誉褒貶の製品評価という体験をすべて自分ごととして知っている。だから上記の「意識の高い言葉」の意味を腹落ちして知る事ができた。

やりたいことを消化するペースより、やりたいことが増えて行くペースのほうが早い。なにかに投入可能なリソースの中から100のリソースをつぎ込むという事は、他のなにかへ100のリソースをつぎ込めなくなるということを意味する。

「これは絶対勝てる!必勝の施策だ!」と言って打った施策がダダ滑りしたり、どこかで一つブロックが起きて勝利につながるドミノが倒れず、失敗に終わることもよくある。「ままならない」ことを経験するほど、どこに注意を払えばいいのかが見えてくる。

もちろん本職にはかなわない

現職において本物のプロダクトマネージャーやプロダクト戦略の専門家たちと話す事で自分のできることは彼らプロに及ばないことを知り、彼らに尊敬の念を抱いた。あるいは会計ソフトの会社なので税務や会計の専門家たちとも話し、本物の考える深遠さを思い知った。やはり自分の本業はエンジニアだと理解した。

でも経験は無駄ではなかった。

なぜなら同時にPMたる彼らが何を知りたがり何を恐れ何を欲しがるかを、他のエンジニアよりもずっとよく知っている。なぜならこれは2Cのプロダクト開発を経験した事でユーザーが何を知りたがり、どうすれば彼らの本音を知れるかもよく分かった。

ある程度の基盤や土台がある事で他業種の考えを理解し、皆まで言わずともその意図を理解できるようになった点は、仕事を進める上で非常に有益になっている。

何度も何度も会議を開き、彼らの思考を忖度し、後になっていやそれは違うんだ、と言われる回数は他のエンジニアよりずっと少ないと考えている。本職でなくとも、皆まで言われずとも理解できるスキルを身につけられた点は自分にとっては得難い経験だったと思っている。

また自前の「事業」と「計画」を回し続ける事で、ビジネスや市場に対して当事者感覚を持ち続けられる事は自分には手を引き難いほどの魅力を持つようになった。これからも市場に、大きなプロダクトを作るエンジニアの一員として関わると同時に、自分のゲームという小さなプロダクトを作るプロダクトマネージャーとしても関わり続けていきたい。