コロナ禍で出会った子供を教えた時差を超えて続けた指導が私にもたらした親のような経験
1. 挑戦の始まりと、孤独な11歳との出会い
2021年、19歳のとき、大学生活とコロナ禍の制約の中で、私はある挑戦を決めました。それは、自分の英語力を活かして海外の人と関わることです。この時期、インターナショナルスクールでのインターン経験があったためその経験も活かせるのではないかと思い、オンラインチューターサービス「Preply」で日本語会話を教える仕事を始めました。
そこで出会ったのが、来日したばかりの11歳の女の子です。ひらがなも分からず、日本の公立学校に通うという大きな壁に直面していました。
彼女の課題は、日本語を学ぶだけにとどまらず、教科書の理解、保護者への学校からの連絡の解読、学校行事や文化の理解、そして日本の同級生との関わり方まで、生活全般にわたってサポートが必要でした。
私は単なるチューターではなく、「通訳」「文化アドバイザー」、そして「メンター」として、彼女の毎日を支え始めました。
2. 転機:大学編入と、お金以上の価値への決断
指導を始めてしばらくした後、大学編入のタイミングで一度Preplyでの活動を辞めることになりました。しかし、彼女の保護者から「まだ教えてほしい」という連絡をいただきました。
カナダのカレッジに留学した現在も、時差があっても毎朝5時に起きてレッスンを続けています。決して楽ではありませんが、この活動を通じて、自分の年齢にもかかわらず、子どもの成長を身近で見守る「親のような経験」を得ることができました。
彼女が自信をつけ、学校生活に馴染んでいく姿は、金銭では得られない最高の報酬であり、尽きないやりがいです。そのため、時差や負担を問わず、卒業まで無償で指導を続けることを保護者に伝え、今も伴走を続けています。
3. 結果とキャリアで活かす学び
4年以上経った現在、彼女は劇的に成長し、ネイティブと同レベルで日本語を話せるようになりました。学校生活や日常生活でも翻訳を必要とせず、街中では日本人と間違えられるほどです。
現在、彼女は高校入試を控えています。私はこれまでの経験を元に、受験という新たな壁に挑む際のアドバイスを送り続けています。朝5時起きは今も続いていますが、彼女の成長と努力を見る時間は、何よりも楽しいものです。
この4年間の伴走経験で、私は「課題を見つけて解決する力」を学びました。
まず、問題の本質を考える力です。
彼女の課題は単に日本語を教えることではなく、「なぜ学校生活がうまくいかないのか」という根本的な原因を考えることでした。異文化への不安や勉強のやり方の問題など、原因を探したうえで、翻訳や生活のアドバイス、勉強方法の改善を組み合わせて少しずつ解決していきました。これは、物事の本質を考えて最適な方法を試すという点で、開発の仕事に通じる考え方だと思っています。
次に、最後までやり抜く力です。
時差を超えて無償で4年間指導を続けた経験は、困難な状況でもあきらめずに取り組む力を養いました。この粘り強さは、勉強やプロジェクトでもきっと役立つと感じています。
この経験で得た「本質を見抜く力」と「最後までやり抜く力」を活かして、これからの開発やチームでの活動でも早く貢献していきたいです。
表面的な要望だけでなく、相手の本当に困っていることを理解して、一緒に目標に向かって努力できる人になりたいと思っています。