雨ニモマケズ。
風ニモマケズ。
二日酔いにも負けぬ、丈夫な身体をもち。
経営をしていると、
雨どころか、
風どころか、
毎日のように何かが降ってくる。
売上が前年を下回れば、
「何かがおかしいんじゃないか」と考え、
景気が悪くなれば、
「この先、本当にモノは売れるのか」と心配する。
円高になれば円高を心配し、
円安になれば今度は円安を心配する。
株価が暴落すれば、
自分の心まで暴落する。
政治を見れば、
「もっとやれ・・・」
「いや、それはちょっとやり過ぎだろう」と思ったりする。
「これが人間だもの・・・」
と、相田みつをさん風に。
強そうな顔をしていても、
心の中では、
毎日、ブルブル揺れている。
でもさあ、長く経営をしていると、
分かってくることがある。
心配したことのほとんどは、まだ起きていない。
そして、
実際に起きたことの多くは、
心配していた通りには起きなかった。
未来というものは、
こちらの予想を、
良い意味でも、
悪い意味でも、
簡単に裏切ってくる。
だったら、
まだ起きてもいないことに、
今日という一日を全部使ってしまうのは、
もったいない・・・
もちろん、
何も考えなくていいということではない。
経営者は、
誰よりも先を考えなければならない。
最悪の事態も考える。
石橋も叩く。
私はたぶん、
人よりかなり叩く方だと思う。
叩いて、
叩いて、
叩く。
それでも心配なら、
もう一度叩く。
ただし、
一つだけ気をつけている。
石橋を叩くことに夢中になって、橋を渡ることを忘れないこと。
経営には、
考えて分かることと、
考えても分からないことがある。
分からないことを、
いつまでも分かろうとして立ち止まっているより、
最後は、一歩を踏み出すしかない。
そこで失敗したら、
また考えればいいんだよ。
間違えたら、
戻ればいい。
壊れたら、
つくり直せばいい。
なぜなら・・・
そもそも最初は、
何もなかったのだから。
会社もなかった。
売上もなかった。
スタッフもいなかった。
信用もなかった。
実績もなかった。
それでも、
何もないところから、
一つずつつくってきた。
ところが不思議なもので、
人間は何かを手にすると、
今度はそれを失うことが怖くなる。
ゼロだった頃は、
失うものなど何もなかったから、
前へ行くことしか考えていなかったのに。
それなのに、
会社が大きくなり、
売上が増え、
人が増え、
守るものが増えていくと、
いつの間にか、
「どうやって増やすか」より、
「どうやって失わないか」を考えるようになってくる。
これは経営者にとって、
結構怖いことだと思う。
守ることは大切だ。
でも、
守ることだけを考え始めた瞬間から、
人は少しずつ、
挑戦する理由を失っていく。
だから私は、
時々、自分に言い聞かせる。
始めはゼロだったじゃないか。
そう思うと、
少しだけ怖くなくなる。
失敗してもいい。
負けてもいい。
格好悪くてもいい。
もう一度やればいい。
本当に怖いのは、
失敗することではなく、
失敗を恐れるあまり、
挑戦しなくなることなのだと思う。
雨の日もある。
風の日もある。
どうにもならない日もある。
心が折れそうになる日だってある。
だから、
「雨ニモマケズ」というのは、
雨を感じない人間になることではないのだろう。
濡れながら、
寒いなと思いながら、
時には立ち止まりながら、
それでも、
また歩き出すことなのだと思う。
強い人とは、
何があっても揺れない人ではない。
揺れても、最後には自分の場所へ戻ってこれる人なのだろう。
私の場合、
戻ってくる場所は、
挑戦すること。
転んだら、
また立つこと。
負けたら、
もう一度やること。
そして、
自分の仕事が本当に誰かの役に立っているのなら、
金は後からついてくる。
そう信じて、
また明日も仕事をする。
たぶん私は、
死ぬまでそんなことを繰り返しているのだろう。
雨ニモマケズ。
風ニモマケズ。
失敗ニモマケズ。
そして、
何かを失うことを、
恐れ過ぎず。
だって、
始めはゼロだったのだから。
何歳になっても、
もう一度、
ゼロから始められる人間でいたい。
サウイフモノニ
ワタシハ
ナリタイ。