営業リスト作成という仕事があります。
企業名、住所、電話番号、URL、問い合わせ先などを調べて、スプレッドシートに入力していく。
完成したリストだけを見ると、単純なデータ入力のように見えるかもしれません。
でも、実際に営業で使えるリストをつくろうとすると、企業情報を集めるだけでは足りません。
むしろ時間がかかるのは、
「どの企業をリストに入れないか」を判断する作業です。
まず「誰に営業するのか」を決める
私は営業リストを作成するとき、いきなり企業を探し始めることはしません。
最初に確認するのは、
「何を営業するのか」
「どんな企業に営業したいのか」
「対象となる業種やエリアはどこか」
「どのような方法でアプローチするのか」
といった条件です。
営業の目的やターゲットによって、企業を探す場所も変わります。
ポータルサイト、求人サイト、業界団体、展示会の出展企業一覧、Google検索など。
まず広く候補を出し、そこから一社ずつ確認していきます。
営業リスト作成は、会社をたくさん集めればいい仕事ではありません。
営業したい相手を探す仕事です。
リスト作成は「削る作業」の方が大変
候補企業を集めると、そこから精査が始まります。
たとえば、私が基本的に対象外にしているのは、
「営業お断り」と明記されている企業。
問い合わせフォームやメールアドレスなど、今回使う営業手段に必要な連絡先が見つからない企業。
公式サイトが確認できない企業。
グループ企業で、営業内容についての決裁権が本部や本社にあると考えられる企業。
もちろん、クライアントが設定したターゲット条件に合わない企業や対象エリア外の企業も除外します。
さらに事前に、既存顧客やすでにアプローチしている企業、営業してはいけない企業などがあれば、クライアントからリストをもらって除外します。
こうして精査していくと、最初に数百社あった候補が、どんどん減っていきます。
これが、営業リスト作成のなかなかつらいところです。
精査するほど、報酬になる件数が減っていく
営業リスト作成では、「1件○円」という出来高制で料金が設定されることがあります。
私も出来高制で受けています。
ところが、この料金体系には少し不思議なところがあります。
たとえば300社を確認して、
100社が営業対象になり、
200社を対象外として除外したとします。
納品するのは100社です。
でも、作業したのは100社ではありません。
除外した200社についても、営業対象になるかを確認しています。
一社ずつサイトを開き、
「ここは条件に合わない」
「問い合わせ先がない」
「これは関連会社だから本社へ送ろう」
と判断している。
精査を丁寧にすればするほど、納品件数は減っていきます。
つまり、1件単価だけで考えると、
仕事の品質を上げるほど、報酬になる件数が減っていく
ということが起こります。
そのため私は、単純に企業情報を転記する仕事より、精査を伴う営業リスト作成の1件単価を高めに設定しています。
完成した一行を入力する作業だけではなく、
その一行を残すために確認した、リストに残らなかった企業の精査も含めた料金
と考えているからです。
表記を揃えるのにも理由がある
営業リストでは、入力方法もできるだけ統一します。
数字は半角。
「㈱」と記載されていても「株式会社」と正式名称で入力する。
コピー&ペーストした際に余計なスペースが入っていれば削除する。
住所の番地などの数字も半角に揃える。
私は、電話番号などは半角で統一し、法人格を省略せず、住所も必要なところまで記載するというルールでリストを作成しています。
これは、単に見た目をきれいにするためだけではありません。
たとえば、
「株式会社マゼンタ」
「㈱マゼンタ」
「株式会社 マゼンタ」
人が見れば同じ会社だと分かります。
でも、データ上では別の文字列です。
そこで私はスプレッドシートに条件付き書式を設定し、重複した企業名などを見つけやすくしています。
入力ルールが揃っていれば、重複チェックの精度も上がります。
そして何より、
次にそのリストを使う人が使いやすい。
営業リストは、つくって終わる資料ではありません。
その後、営業するために使うデータです。
「100件のリスト」は、全部同じではない
ポータルサイトの上から100社を転記してつくったリスト。
300社を確認し、条件に合わない200社を除外して残った100社のリスト。
どちらも成果物だけを見れば、「100件の営業リスト」です。
でも、中身は同じではありません。
だから営業リストを外注するときも、
「1件いくらですか?」だけではなく、「その1件をどうやって選んでいるのか」
まで確認してみてほしいと思います。
決められた情報を転記するだけなら、低価格で大量に作成する方法もあります。
一方で、営業対象になるかを一社ずつ確認し、不要な企業を除外するところまで求めるなら、そこには判断するための作業が発生します。
営業リストの品質は、何件集めたかだけではありません。
誰を残して、誰を除外したのか。
そして、
その後の営業活動で使えるデータになっているか。
そこまで含めて、営業リスト作成だと私は考えています。
私自身、ターゲット条件の整理から候補企業の抽出、公式サイトの確認、対象外企業の除外、重複チェック、表記の統一まで含めて営業リストを作成しています。
「とにかく件数が多いリスト」ではなく、
「実際に営業に使えるリスト」をつくりたい。
そんな方に向けて、営業リストをどのような手順で作成しているのか、ポートフォリオにまとめています。
▶ 営業リスト作成の作業手順・ポートフォリオはこちら
https://docs.google.com/document/d/1Sn1WpRXQKNVpR68ENWqMNKcjBlHSbuPuesn22ORfoq8/edit?usp=sharing
営業は、DMを送るところから始まるのではありません。
誰に営業するのかを決めるところから、すでに始まっています。