バックオフィス業務を外部へ委託しようとしたとき、
「どこまでお願いしていいのだろう。」
と迷うことがあります。
データ入力。
請求書の作成。
スケジュール登録。
資料作成。
こうした「作業」は比較的お願いしやすい。
でも、実際にバックオフィスを運用していると、それだけでは仕事が完結しません。
問い合わせが来たら、誰が回答するのか。
予定どおり進んでいなければ、誰が確認するのか。
いつもと違うケースが出たら、誰が判断するのか。
今の運用に問題があれば、誰が改善するのか。
バックオフィスには、単純な作業だけではなく、
運用・判断・改善
が含まれています。
では、業務委託にはどこまで任せていいのでしょうか。
私は、業務の種類だけではなく、
「どこまで判断していいのか」という権限まで一緒に考える必要がある
と思っています。
「作業を任せる」だけでは、仕事は減らない
例えば、
「毎月、請求書を作成してください。」
という仕事を外部へ委託するとします。
請求先。
金額。
発行日。
送付先。
すべて社内で決めて、
「この内容で請求書を作ってください。」
と依頼する。
これは作業の委託です。
もちろん、それだけでも社内の負担は減ります。
ただ、毎回、
「今月は誰に請求しますか?」
「金額はいくらですか?」
「これは発行して大丈夫ですか?」
「送付していいですか?」
と確認が必要なら、社内には確認業務が残ります。
社長がすべて答えているのであれば、
手は動かしていなくても、仕事はまだ社長のところにある
とも言えます。
バックオフィスを外部へ任せるのであれば、
作業だけでなく、
「通常はこの条件で処理する。」
「ここまでは担当者が進めていい。」
という判断基準まで渡した方が、運用しやすくなります。
運用まで任せる
バックオフィスには、継続して回す仕事もたくさんあります。
顧客情報の管理。
入退会などの手続き。
問い合わせ対応。
スケジュール管理。
定例業務。
進捗確認。
リマインド。
イベント運営。
こうした仕事は、
「言われたことを一回やって終わり」
ではありません。
状況を確認しながら、次に必要な対応を進める必要があります。
例えば、確認依頼を送ったのに返事がない。
そこで、
「依頼は送りました。」
で仕事を止めるのか。
期限が近づいたら再度連絡するのか。
誰かに状況を共有するのか。
どの段階で管理者へ上げるのか。
ここまで決まっていれば、業務委託でも運用を進めることができます。
逆に、判断基準がなければ、何か起きるたびに、
「どうしますか?」
が社内へ戻ってきます。
判断を任せることと、経営判断を任せることは違う
ここで難しいのが、
「業務委託に判断させていいのか。」
という問題です。
私は、判断には範囲があると考えています。
例えば、
「この条件なら通常対応していい。」
「この金額までは担当者判断で進めていい。」
「このケースはテンプレートで回答していい。」
「この条件に当てはまったら管理者へ確認する。」
こうした業務上の判断は、基準を決めれば外部の担当者でもできます。
一方で、
料金を変更する。
契約条件を変更する。
大きな支出を決める。
顧客への特別対応を決める。
会社として新しい方針を決める。
こうしたことまで、業務委託が勝手に決めるわけではありません。
業務を前へ進めるための判断と、会社としての最終判断は別です。
外部へ仕事を任せるなら、
何を任せるかだけではなく、
どこまで自分で判断してよく、どこから社内へ戻すのか
を決めておくことが大切です。
改善提案まで、外部に任せてもいい
業務委託というと、
「社内で決めたやり方を、そのまま実行してもらう人」
というイメージもあるかもしれません。
でも、外部だからこそ見えることもあります。
同じ情報を複数の場所へ入力している。
問い合わせ先がバラバラになっている。
誰が担当なのか分からない仕事がある。
一人だけに情報が集中している。
毎月同じ確認を繰り返している。
管理表が増えすぎて、どれが正しいのか分からない。
こうした状態を見つけたとき、
「言われていないので、そのままやります。」
だけではなく、
「この運用はまとめられそうです。」
「ここは窓口を一本化した方がよさそうです。」
「この作業は二重になっています。」
と提案する。
ここまで外部へ期待するのであれば、最初から改善提案も役割に含めておくといいと思います。
私がバックオフィス支援でやっていること
私自身、これまでバックオフィスの仕事として、
顧客管理。
問い合わせ対応。
請求や入出金に関する業務。
スケジュール管理。
イベント運営。
進捗管理。
情報整理。
共有フォルダや管理表の整備。
業務フローの整理。
役割や問い合わせ先の整理。
引き継ぎ。
など、さまざまな業務に関わってきました。
その中で私が得意としているのは、
単に「渡された作業を処理する」ことだけではありません。
実際の運用を見ながら、
どこで仕事が止まっているのか。
誰に仕事が集中しているのか。
何をルールにすれば、毎回確認しなくて済むのか。
を整理することです。
必要であれば、
管理表を作る。
フォルダ構成を整理する。
業務フローを作る。
問い合わせ窓口を整理する。
役割や判断基準を決める。
運用ルールをつくる。
そこまで含めて、バックオフィスの仕組みを整えます。
ただし、
会社として何を選ぶのかという最終判断まで、外部の私が持つわけではありません。
必要な情報を整理する。
選択肢を出す。
リスクを伝える。
改善案を提案する。
そして、会社として判断が必要なところは経営者へ返す。
この境界は、とても大切だと思っています。
社長の仕事を、全部外注するわけではない
バックオフィスを外注する目的は、
社長が何もしなくてよくなることではありません。
むしろ、
社長が判断すべきことと、社長でなくても回せる仕事を分けること
だと思っています。
社長しかできない判断は、社長に残す。
それ以外の仕事は、
担当者が自分で進められる状態にする。
そのために必要な情報、役割、判断基準、業務フローを整える。
そうすると、
「全部社長に聞かないと進まない。」
という状態から少しずつ離れることができます。
バックオフィス業務委託に、どこまで任せていいのか。
答えは、単純に
「ここまでなら外注できます。」
と業務名で区切れるものではありません。
作業を任せるのか。
運用まで任せるのか。
一定範囲の判断まで任せるのか。
改善提案まで求めるのか。
そして、
どこから先は会社へ戻すのか。
その境界を決める。
バックオフィスを外部へ任せるなら、業務を渡す前に、まず役割と権限を設計する。
私は、そこからバックオフィスの仕組みづくりは始まると考えています。