「書類を整理したい。」
バックオフィスを整えるとき、よく出てくる課題の一つです。
デスクの上に積み上がった書類。
何年分も並んでいるファイル。
社長のパソコンにだけ保存されている資料。
Google Driveにも似たようなファイルがある。
どれが最新版なのか分からない。
書類整理というと、
ファイルをきれいに並べる。
ラベルを付ける。
棚を整える。
そんな作業をイメージする方も多いかもしれません。
もちろん、それも整理の一つです。
しかし私は、書類整理で一番大切なのは見た目ではないと考えています。
必要な人が、必要なときに、必要な書類を見つけられること。
その状態をつくることが、会社における書類整理です。
「社長は分かる」は、整理されているとは限りません
小さな会社では、社長自身が長年書類を管理していることがあります。
「契約書はこの棚。」
「昔の資料は下の段。」
「この会社の書類は青いファイルの横。」
社長本人は場所を把握しています。
だから、
「ちゃんと整理できている。」
と思うかもしれません。
しかし、新しく入った社員が同じ書類を探せるでしょうか。
「〇〇社の契約書はどこですか?」
と聞かれるたびに、
「右の棚の上から二段目。」
と社長が答えているのであれば、それは社長の記憶によって成立している管理です。
書類の場所まで社長に聞かなければ分からない。
これも、一つの属人化です。
パソコンの中でも、同じことが起きています
これは紙だけの話ではありません。
パソコンを開くと、
「資料」
「その他」
「とりあえず」
「新しいフォルダー」
というフォルダが並んでいる。
ファイル名を見ると、
「見積書」
「見積書修正」
「見積書最新版」
「見積書最新版2」
「見積書最終」
どれが本当に最終なのか分かりません。
作った本人なら、なんとなく分かります。
しかし、ほかの人には分かりません。
Google Driveを導入しても同じです。
共有できる場所を作っただけでは、情報は整理されません。
散らかっている場所が、パソコンからクラウドへ移動しただけ
になってしまうこともあります。
最初に「何のために残すのか」を考える
私は、書類を整理するとき、いきなりファイルを移動する必要はないと思っています。
まず、その書類が何のために必要なのかを考えます。
誰が使うのか。
いつ使うのか。
どのくらいの頻度で見るのか。
原本を保管する必要があるのか。
いつまで保管する必要があるのか。
誰が更新するのか。
そこが分かれば、置き場所も決めやすくなります。
反対に、
「いつか使うかもしれない。」
だけで残し続けると、書類は増える一方です。
必要なものを探す時間も増えていきます。
分類は、使う人が迷わないことが大切です
書類整理で難しいのが、分類です。
年度別。
取引先別。
案件別。
部署別。
書類の種類別。
正解は一つではありません。
会社によって、仕事の流れが違うからです。
大切なのは、
新しい書類が発生したとき、誰でも同じ場所へ戻せるか。
だと思っています。
「これはどこに保存したらいいですか?」
という質問が毎回発生するのであれば、分類方法が現場に合っていない可能性があります。
管理する人だけが理解できる細かい分類より、
初めて使う人でも迷いにくい分類の方が、長く運用できます。
紙とデータでルールが違いすぎると探せなくなります
紙の書庫では取引先別。
Google Driveでは年度別。
担当者のパソコンでは案件別。
このように保存方法がバラバラだと、
「あの書類、どこでしたっけ?」
が増えていきます。
すべてを完全に同じ構造にする必要はありません。
紙で原本を残すもの。
データだけで管理するもの。
それぞれに違いはあります。
ただ、できるだけ同じ考え方で分類しておけば、
「この種類の書類なら、ここ。」
という共通認識をつくりやすくなります。
「置き場所」だけでなく「戻し方」まで決める
一度きれいに整理しても、半年後には元に戻ってしまう会社があります。
理由は簡単です。
整理した人しか、ルールを知らないからです。
新しい書類が届いた。
新しい取引先が増えた。
新しい案件が始まった。
そのとき、
誰がファイルを作るのか。
どんな名前を付けるのか。
どこへ保存するのか。
紙の原本はどうするのか。
ここまで決めておかなければ、またそれぞれが好きな場所へ保存し始めます。
書類整理は、一度片付ければ終わる仕事ではありません。
整理された状態を維持できるルールまで作ること。
そこまでが仕組み化です。
書類整理は、情報への導線設計です
私は、書類整理が特別得意なわけではありません。
だからこそ、見た目を美しく整えることより、
「私がいなくても分かるか。」
を大切にしています。
誰が見ても探せる。
誰が担当しても同じ場所へ保存できる。
担当者が変わっても迷わない。
社長に聞かなくても必要な情報へたどり着ける。
そんな状態をつくることです。
書類をきれいに並べることが目的ではありません。
Google Driveを導入することが目的でもありません。
必要な情報へ、必要な人が迷わずたどり着けること。
そして、新しい情報が増えても、同じルールで整理され続けること。
私は、書類整理とは収納の問題ではなく、情報への導線を設計する仕事だと考えています。
書類の場所を人の記憶に頼らない。
担当者が変わっても情報を探せる。
そんな小さな仕組みの積み重ねが、誰か一人に頼らなくても仕事が続く組織につながっていくのだと思います。