管理ツールは、増やすほど仕事が増えます。
近年、多くの企業でDX化が進み、さまざまな管理ツールが導入されています。
顧客管理。
チャットツール。
タスク管理。
クラウドストレージ。
予約システム。
生成AI。
便利なツールが次々と登場し、業務効率化が進んでいます。
しかし現場では、こんな声を耳にすることがあります。
「どこを見れば最新の情報ですか?」
「この資料はGoogleドライブですか?Notionですか?」
「ChatworkにもLINEにも連絡が来ています。」
「同じ資料が何か所にも保存されています。」
ツールは増えた。
でも、仕事は楽になっていない。
私は、その原因も運用の構造にあると考えています。
ツールを増やすことが、DXではありません
新しいツールを導入すると、
「これで仕事が楽になる。」
そんな期待を持つことがあります。
もちろん、便利なツールを活用することは大切です。
しかし、
新しいツールを導入しても、
古い運用がそのまま残っている会社も少なくありません。
メールも使う。
LINEも使う。
Chatworkも使う。
Slackも使う。
さらにNotionも導入する。
すると、
「結局、全部確認しないといけない。」
という状態になってしまいます。
これでは、業務効率化ではなく、確認する仕事が増えただけです。
足し算だけでは、現場は疲弊します
ツールは便利です。
だからこそ、
「あれも導入しよう。」
「これも便利そう。」
と、少しずつ増えていきます。
しかし、そのたびに、
新しい操作を覚える。
ログイン情報を管理する。
権限を設定する。
マニュアルを作る。
教育する。
運用ルールを決める。
こうした仕事も増えていきます。
ツールを一つ導入するということは、
運用を一つ増やすことでもあります。
だから私は、
新しいツールを導入するときには、
「何を増やすか。」
だけではなく、
「何をやめるか。」
も一緒に考えることが大切だと思っています。
ツールそのものは便利です。
しかし、運用を増やすのであれば、その分、減らす運用も考えなければなりません。
情報が分散すると、探す時間が増えます
現場でよくあるのが、
情報が複数の場所に存在している状態です。
最新版の資料はGoogleドライブ。
議事録はNotion。
画像はDropbox。
連絡はLINE。
タスクは別のツール。
さらに担当者によって保存場所が違う。
フォルダの作成方法や命名ルールも担当者ごとに異なり、法則が統一されていない。
これでは、
仕事をする前に、
「どこを見ればいいのか。」
を探す時間が増えてしまいます。
情報を蓄積することも大切ですが、
情報を探さなくていい状態を作ることは、もっと大切です。
引き算も、運用設計です
私は、
管理ツールを減らすことも、DXの一つだと思っています。
例えば、
同じ役割のツールが複数あるなら、一つに統一できないか。
使われていないツールは停止できないか。
更新されていないフォルダは整理できないか。
誰も見ていないグループチャットは残す必要があるのか。
こうした見直しを行うことで、
現場の迷いは大きく減ります。
ツールが少ないことが目的ではありません。
仕事がシンプルになることが目的です。
廃止するタイミングも設計していますか
新しい管理ツールを導入するとき、
「いつから使い始めるか。」
は決める会社が多くあります。
一方で、
「いつ旧ツールを廃止するか。」
まで決めている会社は意外と多くありません。
もちろん、すぐに新しいツールへ完全移行できるとは限りません。
取引先との兼ね合いや現場への定着期間を考えると、一時的に新旧ツールを並行して運用するケースもあります。
しかし、その場合でも、
並行運用はあくまで移行期間です。
「旧ツールは○月末で運用終了します。」
「以降の連絡は新ツールへお願いします。」
「旧フォルダは閲覧のみとします。」
このように、終了時期や運用ルールをあらかじめ周知しておかなければ、
新しいツールも使う。
古いツールも使う。
結局どちらにも投稿する。
そんな状態が続いてしまいます。
すると、
「どちらが最新版ですか。」
「この資料は旧フォルダにもあります。」
「念のため両方へ投稿しておきます。」
という二重管理が始まります。
これは担当者の手間だけでなく、情報の分散や認識のズレにもつながります。
プロジェクトにも「終わり」を設計する
これは管理ツールだけではありません。
例えば、プロジェクトごとに作成したLINEグループ。
プロジェクトが終わっているにもかかわらず、そのまま残っているケースをよく見かけます。
終了したグループへ誤って投稿してしまう。
誰が現在の担当なのか分からない。
過去のやり取りを探すために、使われていないグループが増え続ける。
こうした状態も、運用の負担を増やす原因になります。
だから私は、
新しいツールを導入するときは、
「いつ始めるか」だけではなく、
「いつ終わらせるか」まで設計することを大切にしています。
運用を始めることも設計。
運用を終えることも設計です。
定期的な棚卸しも必要です
会社は少しずつ変化していきます。
人が増える。
部署が増える。
サービスが増える。
それに合わせて、ツールも増えていきます。
だからこそ、
年に一度でも、
「今、本当に必要なツールは何か。」
「使われていないツールはないか。」
「役割が重複していないか。」
を確認する時間を持つことも大切です。
導入したら終わりではありません。
運用しながら見直し続けることが、管理ツールを会社の資産にするためには欠かせません。
私が構造を見る理由
私は、ツールを減らしたいわけではありません。
便利なツールは、積極的に活用すべきだと思っています。
だからこそ、
「増やすこと」だけではなく、「減らすこと」も設計する。
この視点を大切にしています。
DXは、新しいツールを導入することではありません。
必要なものを残し、不要になったものを整理すること。
足し算だけではなく、引き算まで設計して初めて、現場はシンプルに動き始めます。
私は、人ではなく構造を見ること。
そして、
ツールを導入する前に運用を設計し、
導入した後も、不要になった運用を見直し続けること。
それが、担当者が変わっても仕事が止まらない組織づくりにつながると考えています。