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営業時代の思い出 〜色の表現について〜

私は印刷会社で営業をしていましたが、その時の思い出を少し話してみようと思います。

最後の2年間は絵本などの印刷を行っていました。

絵本は画家さんと編集者さんとの入念な打ち合わせをした後に、印刷工程に移ります。

その時、最も注意しなければならないのは色の表現です。

印刷の現場では基本的にCMYKでしか色を表現しません。そのため、色校正を出した際に画家さんや編集者さんの思っていたイメージ通りにならないことが多々あります。

なぜかというと、画家さんは様々な顔料や絵具を使用して描くのでどうしてもCMYKの範囲からずれてしまうわけです。

もちろん、CMYKで判断しなければならないことは相手も承知済みですが、やはり明らかに色が出ないことなどがあります。

その時、CMYKの色表現以外で重要になってくる要素は「」です。

色校正と原画などを見比べる時の光源によって見え方が変わってきます。

その時こんな道具を使うことがありました。




多分みたことある人は少ないと思います。

このカードは、「現在の光源」と「印刷時の標準的な光源」とを見比べるものです。二つの肌色が同じ色に見えている時は標準光源に近いことを表します。逆に差があると標準光源から離れていることになります。

あくまでも、みている環境を揃える上での目安にしかなりませんが時折役に立つことがありました。

例えば、色校正を見る時に印刷会社の内部で見る場合と出版社や画家の自宅で見る場合とで色校正の見え方がかなり変わることがあります。

印刷会社内部は標準光源に合わせた照明にしてありますが、一歩外に出るとそうなっていないことの方が多いです。

以前、某大手出版社にてこんなエピソードがあったそうです。

社内では完璧に色が出ていたのに、いざ出版社に持って行った時に全く色が違う。編集者は印刷会社の怠慢だと大騒ぎしたのですが、こちらも自信があったので、ならば弊社にきてくださいと言い、きてもらったそうです。すると、ちゃんと色が出ていました。

このエピソードは光源の環境が違うことによって発生したものだと考えられます。

そのため、難しそうな仕事の時はこのカードをチラッとみて、会社に戻った時に似たような環境を探してそこで作業をするようにしていました。特に色校正や本番印刷の際は気にするようにしていました。

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