「SESに人が残る仕組み」をつくるなら。僕が考えた“育成利益還元モデル”の話
「単価を1〜2万円上げろ」って言われても、現実的には年18万円の利益増。
それって、果たして報われる努力なんだろうか?
僕はSES企業にいて、ずっと違和感を持ってきた。
エンジニア一人ひとりが現場でがんばるのは当たり前。
でも、“育てる”とか“つなぎとめる”ことには、ほとんど報酬も評価もない。
✅ なら、こう考えた。
若手エンジニアを1人育てて、
たとえば単価41万円から50万円になれば、会社の粗利は月9万円増える。
年で108万円の利益になる。
なら、その利益の1%でも育てた人に還元される仕組みがあったらどうか。
→ 年1万円でもいい。
→ でも、それが3人、5人と増えたら**「育てること」が報われる行動になる。
→ しかも還元は重複可**。孫弟子が活躍しても、恩師に少し返る。
✅ 「マルチみたいじゃない?」という問いについて
構造だけ見れば、「下の人の成果が上に少し返る」という点でマルチ商法に似ているという指摘はもっともだと思う。
でも、実際はまったく違う。
マルチ:「人を連れてこないと稼げない」
この仕組み:「人を育てれば、全員が稼げる・成長できる」
違いは明確だ。
比較項目この構想マルチ商法
価値提供
実在する技術・スキル
商品の再販・仕組みそのもの
収益源
現場で出した成果(粗利)
ネットワークからの還元
評価基準
スキル・成果・信頼
勧誘・登録者数
自立可能性
育てられた人が独立してもOK
ネットワークが崩れると崩壊
この仕組みは「人を引きずり込むことで成り立つ搾取構造」ではない。
成果を出した人が報われて、その成長が自然と育成者に返る、利他的な循環構造だ。
✅ 上司にもインセンティブを与える
- 面倒を見る期間に手当をつける
- 若手が活躍して単価アップしたら、その一部が育成者に継続的に還元される
- それを評価制度じゃなく、仕組みとして回す
✅ 何が起きるか?
- 上司は「育てた方が得になる」
- 若手は「育ててくれる人がいる」と思える
- 会社は「成長が利益に直結する」構造を手にする
→ 結果、「がんばった人が報われる」じゃなくて、
「関わった人が全員で報われる」SESの形ができる。
✅ キャリアの“地図”も見せよう
うちの会社の給料が特別高いわけじゃない。
仙台だとプラマイ5万円の範囲だと思う。
でも、「このレベルになればこのくらいの単価」「このスキルを身につけるにはこの人の下に入るといい」
そんな風に、成長の“道”を見せることはできる。
✅ それができたら、人は辞めない。いや、「残りたくなる」
SESに足りないのは、善意じゃない。
構造と、希望と、還元だ。
今すぐ制度化は難しいかもしれない。
でも、こんな仕組みがあったら、
僕はもっと早く「この会社にいてよかった」って思えたかもしれない。
そして、そう思える人が1人、2人と増えていったら、
SESはただの“人売り”じゃなく、“人を育てる循環の場所”になるんじゃないかと思っている。
追記:甘いって思われるかもしれないけど
もしかしたらこの構想は、「甘い」「理想論すぎる」「現実を知らない」と思われるかもしれません。
正直、僕自身も**“アマちゃんが頭で考えただけ”って言われるんじゃないか**という不安があります。
でも、それでも書きました。
僕はまだ経営者じゃないし、制度を動かせる立場でもない。
でも、現場で働くひとりとして、見てきたこと、感じてきたこと、そして「こうだったらいいのに」と願ったことがあります。
誰かがやるのを待つより、自分が考えたことを言葉にして残したかった。
理想かもしれない。でも、理想を口にできることも仕事の一部なんじゃないかと思っています。
だからもし、
「この視点、おもしろいかも」
「ちょっと話してみたい」
そう思ってもらえたなら、ぜひ声をかけてください。