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ABOUT
設立から90年をこえる水質観測機器の老舗メーカー、鶴見精機のコーポレートサイトをフルリニューアル。
経営層や関係部署を巻き込み「目指すべきブランドのあり方」を共創することで、社内組織の空気や文化までも変えていくという、プロセスも重視したご提案となりました。
【Keywords】
ブランドデザイン/UXデザイン/コミュニケーションデザイン/サービスデザイン/デザインスプリント/EX(従業員体験)設計
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■Project
鶴見精機 コーポレートサイトリニューアル
https://tsurumi-seiki.co.jp/
■Clients
株式会社 鶴見精機
■Released
2021.4.26
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【背景】
長年使われてきたコーポレートサイトのリデザインが数年来進んでいない中、2020年度の品質方針の柱の一つに「ブランド力のアップ」が掲げられ、広報活動及び企業イメージアップによる販売促進・雇用促進の一環としてコーポレートサイトのリニューアルを推進することとなりました。
また併せて鶴見精機が目指すべき姿の再定義を行い、組織文化を見直していくためのシンボルマークのリニューアルも行いたいという、インナーブランディングへの期待もありました。
それらを上手く進めるためにも、経営層や関係部署を巻き込みながらの「共創型プロセス」にしていくべく、プロジェクトがスタートしていきました。
【課題の精査】
■共創型未来創造ワークショップ
経営層・関係部署それぞれの意見や知見を言語化・可視化する共創ワークショップのプロセスを導入しました。
<経営層向けワークショップメニュー>
・ペルソナ ユーザーリサーチから得られた情報をもとに、ターゲットユーザーの属性に共通する特徴を持ったペルソナを2種類作成。
・[長期目標と短期目標]自社のデジタルコミュニケーションにおける5年後および2年後の目標を設定
・[予想できる問題]設定された長期目標と短期目標を達成するために障壁になりうる要素
・[UVP(ユニークバリュープロポジション)]自社の競合優位になりうる特徴を言語化
<関係部署向けワークショップメニュー>
・[ペルソナ]コーポレートサイトを訪問するユーザー像を明らかにする
・[カスタマージャーニーマップ]明らかになったユーザー像の、サイト上での行動と離脱タイミングを特定する
・[ムードボード]社外の人に持ってもらいたい自社イメージについて意見を出し合い、ビジュアル化
ワークショップにおいて、ニューロマジックは双方の考えを引き出すファシリテーションと、それらを読み取りやすいデザインにまとめることで貢献。その結果、経営層と関係部署の間でこれまで共有されてこなかった意向や課題意識が可視化され、相互理解が進み、組織の共通認識醸成やコミュニケーション活性化につながりました。
<経営層向けワークショップで得られた課題>
伝えるべきブランド像は「ユーザーニーズに沿った開発から保守・運用まで伴走する企業」であることがわかった一方、現状のコーポレートサイトで与える印象はプロダクトアウトのメーカーの域を出ていないというギャップが明らかになりました。
<関係部署向けワークショップで得られた課題>
Webサイトのターゲットとしたいセグメントが特定できたことで、ターゲットユーザーが製品の置き換えや購入を検討するために必要な情報が不足していることや、該当するコンテンツがあったとしてもそこに至る導線に複雑さを感じていることがわかりました。
【設定した課題】
ワークショップの結果をふまえ、2つの課題を設定しました。
1.幅広いユーザーに対して、鶴見精機の価値や企業姿勢を一貫した形で表明し、鶴見精機のブランド認知と理解を促進する
-「長年の歴史によるブランド力もあるが、常に新しいことにも挑戦している会社である」ということが伝わる
-ただ製品を開発して終わりではなく、アフターフォローなど、サポートサービスがあることが伝わる
-製品情報や開発プロセス、その意図が発信できていて、鶴見精機の活動を正しく理解してもらえる
2.Webサイトを来訪する様々なニーズを持ったユーザーそれぞれに必要な情報を用意。またそれらを探索しやすい導線の実現
-ニーズの高い情報である製品やカタログ、提供サービスが探索しやすい
-困りごとや相談したいことを問い合わせしやすい
-現状不足している、サポート体制や活動に関するコンテンツの強化
【具体化プロセス】
課題を受けて、力点を置いたのは2点。まずひとつには現行サイトで実現できていないブランドの認知・理解を、トップページのコンテンツやサイト全体のトーン&マナー、ロゴのリデザインで解決すること。もうひとつは、設定したターゲットの行動に即した、コンテンツの拡充と導線設計のためのUXデザインでした。
■デザイン
関係部署向けワークショップで完成したムードボードを参考に、コーポレートサイトで表現したいパーソナリティを定めていきました。ブランドの歴史が長い分、硬直化してしまうブランドイメージを払拭し、現状ない新たな一面を見せたいというご意見から、「爽やかさ」や「ユーモア」を押し出したトンマナ、コピー、メインビジュアルをご提案し、採用いただきました。メインビジュアルでは、多岐にわたっていて難解だった事業内容説明を、伝わりやすく親しみやすいものにするために、アイソメトリックなイラストを描き起こしています。
■UXデザイン
顧客接点のあるメンバーと共にカスタマージャーニーマップを作成したところ、社名で検索してトップページにランディングするユーザーが多いことが判明。そこでトップページは、ブランドの認知と理解に貢献し、ユーザーが必要とする情報の入り口を配置する作りとしました。例えば、お問い合わせや製品情報取得を目的とするユーザーが多いという観点から、お問い合わせ導線のわかりやすさ、製品やカタログの探しやすさを改善しています。
また、アフターフォローやサポートの手厚さなど、従来伝えきれていなかった情報をカバーするコンテンツを作成しました。
■ブランディング・CI
「水の観測のプロであること」を軸に据え、そこに推進力・正確性・資源/環境・伴走/協調といったキーワードを掛け合わせたロゴ案を16パターン作成しました。また、ロゴ案を「強い意志」を感じさせる「堅」の印象から、繋がりや親近感を感じさせる「軟」の印象まで並べ、クライアントが選択するための軸を明確にし、ご提案しました。
■エンジニアリング
Wordpress.comにてコーポレートサイトの実装を0から実施しました。
本来の鶴見精機の取り組みが、機器開発だけではなく、クライアントとその事業に寄り添う存在であるというイメージを強く持ってもらえるようなブランドおよびコーポレートサイトになったと思います。鶴見精機がクライアントと対峙する姿勢や、ニーズを実現する製造実現力、環境調査活動への貢献など幅広い活動を社内外にアピールする場を作ることができました。またリニューアル後は、ウェブサイトのKPI指標の1つであるリード数が前年の1.5倍を超え定量成果も出ています。
【お客様の声】
ワークショップは、普段出ないような議論もあり、参加メンバーの新たな人となりの一面を見られた点、すごく良かったです。また、細部を議論していく過程で経営と現場の白熱した議論も生まれました。経営、現場双方の想いが整理され、新たにまとまるこのプロジェクトは、ウェブサイトという成果物作り以上に組織体へのカンフル剤の役割を担っていました。組織をまとめるひとつの手段としても活用させていただきました。
株式会社 鶴見精機
Brand Activation
立川正太郎氏