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TERRADA ART COMPLEXの担当者に聞いてみました(働く人インタビュー Vol.2)

寺田倉庫のアート事業は、1975年に美術品の保管事業から始まりました。その後、保管に伴って必要な美術品の修理・修復、修復に必要な画材の維持や修復士の育成、美術品の輸配送や梱包・展示等のアートサポート事業も開始。それらに加え、アートを鑑賞・体験できるイベントの開催や協賛、若手アーティストの支援、アートに関わる人材とのコラボレーション等、現在では多岐に渡るアート事業を展開しています。

アート複合施設の運営は、2016年9月オープンのTERRADA ART COMPLEX Ⅰが始まりです。ちょうど4年が経過した現在、8軒のギャラリーが入居しています。さらに今年の9月には、その隣にTERRADA ART COMPLEX Ⅱがオープンしました。

つい先日はこのTERRADA ART COMPLEX Ⅱを会場に、アートイベント「artTNZ produced by AFT with APCA」(主催:アート東京)が開催され、この「できたて」の施設内に40軒以上のギャラリーが特設スペースを開設し、好評を博したところです。
今回展示スペースとして利用されたところにも今後ギャラリーの入居が予定されており、TERRADA ART COMPLEX ⅠとⅡを合わせると、日本一を誇るギャラリーコンプレックスとなります。

今回は、寺田倉庫のTERRADA ART COMPLEX(TAC)担当者の話を通して、いつもとは違う角度から少しだけ施設を覗いてみたいと思います。

担当者のひとり、青木光さんです。青木さんは不動産事業グループに所属し、オフィスや店舗、倉庫、ショールーム等の物件とならび、2018年よりTACも担当しています。

TACでは、ギャラリースペース以外にも、アーティストのためのスタジオ(工房・アトリエ)を運営しており、主にギャラリストの方や、アーティストの方に対し、入居に関するお問い合わせ対応や契約手続き、入居後のサポート業務を行っています。

青木さんに、オフィスや店舗物件とは異なるギャラリーならではの入居に関するポイントを聞くと、最初に「壁」という回答が。
壁・・・?
TACは倉庫をリノベーションしたアート複合施設ということで、「大型作品も展示可能な天井高」というのは、開設当初より施設の魅力としてウェブサイトや取材の際にも紹介されていましたが、それはTACに興味を持ってくださるギャラリーにとっては当たり前ということで、それ以外の大きな要素が「壁」なんだそうです。
それにしても壁・・・?
青木さんによると、通常のオフィスや店舗の場合、部屋の面積や設備の充実具合を重視されることが多いのですが、アートギャラリーでは、作品を壁面に展示することも多いため、壁自体の面積やフロア内に展示壁と呼ばれる壁を設置できるかといったことが重要なんだそうです。たしかに、展示する作品の位置や展示する際の作品同士の間隔もギャラリーの方は重視されそうです。作品の良さを最大限に見せるための白い壁の存在というのは、オフィスとは異なるギャラリーならではのポイントですね。

それ以外にTACで喜ばれているのは、倉庫だった施設ならではの大型エレベーター。これはギャラリーの方にとっても、スタジオを利用するアーティストにとっても、作品の搬出入を行う際の重要なポイントになりそうです。

さらにトラックヤードも隠れた魅力だとか。これはトラックが駐車できるスペースのことで、施設のすぐ傍に備わっていると、搬出入がスムーズになるということで重宝されているそうです。小さなポイントかもしれませんが、こういうところこそ、施設担当者だから知っている利用者の日常に必要な要素かもしれません。

とはいえギャラリーに関しては、展覧会情報を中心に雑誌やWebの記事、ソーシャルメディアでも目にすることがあると思いますので、今回はさらに目線を変えて、アーティストの制作スペースについても青木さんに聞いてみました。

TAC ART STUDIOと呼ばれるスタジオのフロアには17の個室があるのですが、ほぼ常時満室で、現在では空室待ちの方もいる状態だそうです。1年単位といった長期利用の方だけで満室なのかと思いきや、大型作品の制作時や、展覧会の準備期間等に絞って、集中的に短期間利用される方も多く、入れ替わりが頻繁でありながらも満室状態ということになります。青木さんによると、その理由の一つが口コミだそうです。評判を聞いてお問合せしたと言われる方も多く、時には入居されていた方が他のアーティストを紹介してくださることもあるそうです。アーティスト目線で良さを実感して、それが他のアーティストの方にも伝わっているというのは、担当者の青木さんも(担当でない私も)うれしいことです。


(画像:スタジオフロア。個室以外に共有スペースもあり、アーティスト同士が交流することもあるようです)

そんなアートのプロ集団が入居しているTERRADA ART COMPLEXを担当する青木さん自身、アートに詳しいのかというと「全くそうではない」とのこと。不動産事業グループが担当する施設のひとつとして、オフィス、店舗、倉庫空間等がそれぞれの利用者にとってベストなスペースになるのと同じように、TACもギャラリーやアーティストのベストなスペースになるように努めているそうです。とはいえ、TACを担当するようになって、街を歩いてギャラリーの前を通りがかるとつい目が留まり、特にその施設の造りに目が行くようになったそうです。

ちなみに不動産事業グループの青木さんから見たTACの施設の特徴のひとつは、ギャラリーフロアにある共有スペースだとか。不動産事業という目線だと、少しでもお客様に利用してもらえるようなスペース作りをするところですが、ギャラリーフロアの中央に大きな共有スペースがあるのです。ゆったりした空間でありながら、ギャラリーも充実している、こういった施設づくりがTACらしさ、寺田倉庫らしさではないかとのこと。この構造であることで、来場した方は目的以外のギャラリーにも出会い、ギャラリーも新たな来場者と出会う機会が生まれているそうです。

先日のアートフェア「artTNZ produced by AFT with APCA」を終えて、実際にこの施設をご覧になった関係者や来場者のご紹介で、最近また入居のお問合せが増えているという話も聞きました。

今後新たなギャラリーの入居も楽しみなところですが、さらにTERRADA ART COMPLEX Ⅰ、Ⅱを通じて初の飲食店のオープンも予定されています。担当の青木さんはますます忙しくなりそうですが、アートファンにはますます楽しんでいただける施設になりそうです。ご期待ください。


新しいギャラリーの情報や入居ギャラリーの展覧会情報等は、TERRADA ART COMPLEXの公式サイトをご確認ください。

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