「上場を目指して爆速成長中です!」と、自社の勢いと展望をアピールするベンチャー経営者は少なくありません。
しかし、日本の企業で実際に上場しているのは全体の約0.09%。(参考: 上場会社数 、 日本の企業数 )
「上場する」とは、それほど狭き門なのです。
そんななか「慶應義塾大学を卒業」、「公認会計士の資格を取得して大手監査法人のあずさへ入社」、そして「経営コンサルティングファーム・経営共創基盤にて、数多くの大手企業を支援」といった華やかな経歴を経て、正社員が約60名のベンチャー企業である株式会社wevnal(ウェブナル)へ飛び込んで来たのは、長瀬 健さん。
「エリート街道」と呼んでも過言ではないキャリアから一転、大きなリスクもはらむベンチャー企業のwevnalへの転職を決断した理由とは?
「入社の経緯」や「wevnalでの役割」、そして「今後の抱負」などについてインタビューしました。
プロフィール 長瀬 健(ながせ たける)。慶應義塾大学卒業後、2011年に有限責任あずさ監査法人に入社し、会計士として監査業務に従事。その後、2014年に株式会社経営共創基盤(IGPI)へ転職し、マネージャーとして大手企業の経営コンサルティング・ハンズオン支援に関与。2020年12月より株式会社wevnalへ入社。
wevnalへの入社は「想定もしていなかった」 ━━ではまず、wevnalへ入社した経緯を教えてください。
長瀬:wevnalに入社したきっかけは、大学時代からの先輩であり、現在wevnalのCOOを務める西田の存在ですね。当時はベンチャーへの転職に興味があって、ベンチャー界隈の友人に相談していたのですが、その中の一人が西田でした。
最初は彼の話を聞くだけと考えていたのですが、西田から「話を聞くよりも実際に自分の目で見た方がいいから、オフィスへ遊びに来なよ」と提案を貰って。そこから週一程のペースで、wevnalへ遊びに来るようになりました。
wevnalの取締役COOを務める西田 長瀬:ただ、wevnalへ入社することは、当初は想定もしていなかったですね。wevnalで実際に働いている人たちと接することで、ベンチャーを肌で感じることができたのは良かったのですが、当時は並行して転職活動をしていたし、他社からオファーも頂いていたので。
━━転職先のベンチャーを探すにあたって、重視していたことは何だったんですか?
長瀬:「この人たちと一緒に死ねるか?」を、ひとつの判断軸にしていましたね。やはりベンチャーですから、それなりにリスクがありますし、IPOを達成する企業も一握りです。そのベンチャーへ飛び込むにあたって、「その会社で失敗しても悔いはないか?」という問いに「YES」と答えられないと、転職は難しいなと思っていたんです。実際にオファーを頂いた他の企業に対しても、そう思えるかを考え抜きました。ただ、やっぱり採用面接という限られた時間の中で腹決めをすることは、難しいなぁと感じていて。
そんな感じで悶々としていたときに、wevnalへ入社して大きく成長した西田の姿が、とても魅力的に映ったんです。この人と一緒に働けるなら仮に失敗しても悔いがない、何か自分に残るものがあるんじゃないか、と感じました。そして、その西田も「wevnalの経営陣とメンバーとなら一緒に死ねる」と言っているのを聞いて「あぁこの会社で働きたい!」という想いが強くなって。そのタイミングで入社の誘いを頂いたことがきっかけで、2020年の12月からwevnalへジョインしたという経緯です。
やりがいは「”長期”と”短期”の時間軸の融合」 ━━いまのwevnalでの仕事内容と、やりがいを感じるところについて教えてください。
長瀬:現在はコーポレート全般を統括する執行役員として、主にIPO準備に取り組みながら、予算や内部統制等の仕組み構築、エンジニアやビジネス人材の採用、そして直近では資金調達なども担当しました。
(2021年9月22日に公開した、資金調達に関するプレスリリース↓)
長瀬:私が担っている役割を一言で言えば、組織のリソースの「調達」と「活用」です。人材や資金といったリソースを外部から「調達」し、そのリソースを「活用」するための仕組み作りをする。それで、これらの役割、特に仕組み作りに関しては「街づくり」に近いところがあるなと感じていて。
━━「街づくり」というのは、具体的に言うと?
長瀬:「インフラの整備」と、そこに必要な「交通ルールの整備」であると捉えています。例えば、経理業務ひとつをとっても、長期的な視点から「事業規模が倍になっても耐えうるか?もっと良いプロセスがあるんじゃないか?」等、今の仕組みの前提を疑いながらより良いインフラを整備してくことが必要です。
そしてその上で、みんなに守ってもらうルールを組織内に浸透させることが求められます。これらの仕事は、「この街はどういう都市であるべきか」ということを、誰よりも考え抜く事が求められるなと感じていて。
━━そういった今の役割を全うするなかで、やりがいを感じるのはどういう時ですか?
長瀬:「長期軸」の目線を持ちながらも、一方で、成長速度を高めるために「短期軸」で素早くPDCAを回していくところですね。
『キングダム』という漫画に「法とは願い」という、私の好きな言葉が出てきます。「国家がその国民に望む、人間の在り方の理想を形にしたものが法である」という話なのですが、これって企業を主語にしたときも当てはまるなあと。「我々はこんな世界を実現したい」や「そのために一緒に働くメンバーのみんなにはこうあって欲しい」といった「願い」を、会社のルールやシステムとして形にしていく。
この2つの時間軸の融合こそが、wevnalが次のフェーズに進むための重要な要素のひとつだと思っています。すごく難しいですけど、その分やりがいのある仕事ですね。
「wevnalの経営陣や会社のことがどんどん好きになっている」 ━━wevnalへ入社して半年以上が経ちますが、いまのwevnalへの印象はいかがですか。
長瀬:あえて飾らない言葉で言うなら、「気持ちの良い人たち」が多いですね。一緒の空間で仕事をしていて、すごく居心地が良いです。wevnalには私より若いメンバーも多いんですけど、当たり前のように「お疲れ様です!」と元気に挨拶が飛んでくるし、すごくフランクにコミュニケーションを取ってくれます。そして、その「めちゃくちゃ人が良い」ってことの源泉を辿ると、やっぱり創業者の3名(磯山、前田、森元)に行き着くんですよね。
あそこまで人間的な魅力に溢れた経営陣って、なかなかいないと思います。冒頭の「一緒に死ねるか?」の文脈で言うと、3人と働けるなら悔いは残らないなと思うほど、人間性だけじゃなくビジネススキルの観点でも、彼らから学ぶことだらけです。会社を10年以上成長させてきた力は、やはり伊達じゃないなと。
wevnalの創業者3名。左から前田、磯山、森元。 ━━ビジネススキルは、具体的にはどういうところが凄いなと感じますか?
長瀬:一言で言うと「嗅覚」ですね。例えば、プロダクト責任者の前田は「プロダクト」とそれを使ってくれる「ユーザー」に対する感覚が、すごく鋭い。技術や市場を俯瞰的に捉えつつも「このプロダクトを実際に売るときのトークスクリプトを書けるか」というユーザー目線のことも常に考えていて、マネできないセンスだなと思います。森元は営業の最前線で、常に最新の情報に網を張っていて「これは伸びる!」というモノに対する嗅覚が鋭いですね。
そして代表の磯山は、やはり「事業や組織」に対する感覚がすごく鋭いです。会社の長期的な方向性を意思決定する局面で、毎回ハッとさせられる判断をするんですよね。
wevnalに入社したきっかけは西田で、いまでも尊敬している人間であることに変わりはないです。ただ、それだけじゃなくて、一緒に過ごす時間を積み重ねるほど、wevnalの経営陣や会社のことがどんどん好きになっていってますね。
wevnalを「個人戦」から「組織戦」の進化させていきたい ━━では長瀬さんが今後wevnalでチャレンジしていきたいことはなんですか?
長瀬:「個人戦」から「組織戦」に移行できるような土台づくりを、やっていきたいなと思っています。さっきも話したように、wevnalって魅力的な人がすごく多いので、これまでは個々の力で戦ってきた側面が強かったように思うんですね。
例えば採用ひとつをとっても、wevnalの中にいる誰か一人の魅力で惹きつけて、その候補者を採用する、みたいな。でもここからwevnalが企業として次のフェーズへ行くためには、「組織戦」の戦い方も身につける必要があると感じています。
━━「組織戦」の戦い方を身に付けるために重要なことは何ですか?
長瀬:「プロトコル」ですね。「プロトコル」というのは「PCやソフトウェア同士で情報のやり取りをするときの規格」という意味なんですが、組織においても、人と人、部署と部署をつなぐための「共通言語」が必要です。今後、どんどん人や部署が増えていくなかで、スムーズなコミュニケーションとアクションを取るためには、この 「共通言語としてのプロトコル」 がとても重要だなと思っています。
例えば最近、西田が「BOB(ボブ)」という言葉を作りました。これは自社プロダクト「BOTCHAN(ボッチャン)」の一番効果が出るシナリオやデザインを全て詰め込んだ「Best Of BOTCHAN」の略なんです。ネーミングセンスは一旦置いておいて(笑)、みんなでより良いBOTCHANについて議論をするときに、「BOB」というプロトコルがあるだけで、認識を一致させるスピードや度合いが、格段に変わると思っていて。
BOTCHANの実際の画面 ━━これまで少人数で阿吽の呼吸的に進めていた物事を、プロトコルを用いることで人や部署の増加にも耐えうるようにしていくということですね。
長瀬:そして、プロトコルをもう少し大きな範囲で捉えると、メンバーが同じ方向を向いて進んでいくための 「物語としてのプロトコル」 も必要だなと感じています。冒頭の「法とは願い」に通じるところでもあるんですが、「wevnalはこういう世界を目指していて、そのためには今はココに取り組んでいるんだ」という、長期の時間軸で見た一連のストーリーが必要なんです。
私は前職のコンサルティングファームで再生案件を扱っていたのもあって、もう倒産間近という会社を多く見てきました。そういう会社を目の当たりにすると、改めて「会社ってフィクションでしかない」ということを認識させられるんです。気にせず日常を過ごしていると、あたかも「会社」というものが存在しているかのように感じるんですが、やっぱり会社って、どこまで行っても最後は実体のないフィクション、つまり「物語」なんですよね。
━━たしかに「法人」という表現はあるものの、究極的には実際の「人」と違って、目に見えたり触れられたりする何かがあるわけではないですもんね。
長瀬:ただ、だからこそ全てのステークホルダーが共感し、シェアできる強い「物語」が必要で。今、元メルカリの唐澤さんと共に、wevnalの新しいミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を刷新したり、浸透させるための取り組みを行なったりしているのも、その一環です。
そして、経営陣と先日合宿をしたのですが、そこでサービスドメインを「消費者および企業のLife Time Valueの最大化をBrand Experience Platform『BOTCHAN』を通じて実現する」という形で再定義しました。これらの取り組みは、全てのステークホルダーがシェアする「物語としてのプロトコル」を作り上げる作業と捉えています。
こうしたプロトコルを一つずつ作っていき、wevnalが組織戦に移行できるような基盤を作るのが、いま私がチャレンジしていることですね。
wevnalのボードメンバー ━━ちなみに、wevnalという文脈とはまた違った、より中長期的な将来に長瀬さんがチャレンジしたいことはありますか?
長瀬:「モノ作り」にチャレンジしてみたいですね。前職では製造業のクライアントを多く担当していたんですが、技術者の方たちが、目をキラキラさせながらモノ作りに関わる様子を間近で見るなかで「ああ、やっぱりモノ作りっていいなあ」と感じていました。
それこそ、モノ作りも「物語を作ること」の一部というか、もはや物語の主役や舞台そのものくらい大事なものだなと思っています。実際にモノ作りをしてきたわけではないですし、いまはIT業界にいるのでその形はソフトウェアでも良いんですけど、いつかは技術者やエンジニアの方たちと一緒に汗を流しながら、モノ作りにチャレンジしてみたいですね。
「良い課題」にぶつかり、そして「良い物語」を紡いでいく ━━最後に、wevnalではこんな人と一緒に働きたいというメッセージをお願いします。
長瀬:wevnalにはフランクなコミュニケーションが取れる、居心地の良い環境が備わっていると思います。また、受け身で待つ人よりは「自分で、自分の成長を作っていきたい」と考える成長意欲の高い人が、wevnalには合うのではないでしょうか。
そういった方に私自身の経験からお伝えできることがあるとすれば、何よりも自分を成長させてくれるのは「良い物語」、そして「良い課題」に出会うことである、ということです。
━━ここまでのお話に出てきた「良い物語」に加えて、「良い課題」も大事なんですね。
長瀬:wevnalでは「人とテクノロジーで情報を紡ぎ、日常にワクワクを」というミッションを新しく定めました。これは「人とテクノロジーの、片方ではなくて両者の可能性を信じて、分断されてしまっている情報を紡ぎ、そして世の中に笑顔をもたらしたい」という物語です。
私はこの中にある「紡ぐ」という言葉がすごく好きです。単に一本の線として結んだり繋いだりするのではなくて、点在している様々なヒトやモノ、コトを丁寧に交差させながら物語を作り上げていく感じがするんですよね。
そして良い物語を紡いでいこうとする過程では、絶対に「乗り越えなきゃいけない壁」も出てきます。そういった課題は確実に自分を成長させてくれるし、それを乗り越えた先には絶対に良い物語が待っているなと思っています。そこにワクワクを感じる方と一緒に、良い課題にぶつかって、そして良い物語を紡いでいきたいですね。
wevnalでは現在、今回インタビューに登場した長瀬を中心とした管理部にて、財務を担っていただける方、経理を担っていただける方を募集中です!
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