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デザインに対する理解とリスペクトが、優れたクリエイションを可能にするーーインハウスから“格好いい”を発信するデザイナー・菅谷真央

「格好いいものをつくりたいなら、インハウスより制作会社だよね」ーー美大生の就活シーンにおけるそんな常識を覆そうと、事業会社の内側から、優れたビジュアルを発信し続けるデザイナーがいる。2017年1月にWantedlyに入社したデザイナー、菅谷真央だ。

武蔵野美術大学在学中に先輩と事務所を立ち上げ、デザイン・映像制作の仕事を開始。その後はグラフィックデザインに活動の軸を移そうと、制作会社に転職。その傍ら、幅広い世代に愛される昭和八年創業の銭湯・小杉湯のロゴデザインを手がけるなど、フリーランスとしても存在感を発揮する。

どんな場所でも活躍できそうな菅谷が、なぜ次なるキャリアにWantedlyを選んだのか。5年以上の長きにわたって彼を惹きつける、その環境の魅力とは?これまでの歩みと今後の展望について聞いた。

<編集・写真:後藤あゆみ / 執筆:藤田マリ子>

インハウスでここまで?デザインに対する意識の高さに驚いた

ーーWantedlyに入社する前は、制作会社にいらっしゃったんですね。事業会社に転職しようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?

菅谷:制作会社のデザイナーとインハウスデザイナー、両方の視点を持ちたいと思ったからです。どちらも「製品やサービスに寄り添ってデザインする」という部分は変わらないんですが、受託制作会社には、外部からの視点によって事業に変化をもたらす役割が求められる。一方でインハウスデザイナーには、製品や顧客を深く理解し、コミュニケーションを取りながら、事業により近いところでデザインする役割が求められる。今後、クリエイターとしてクオリティを発揮していくためには、その両方を知る必要があると思ったんです。

ーー事業会社の中でも、Wantedlyを選んだ理由は?

菅谷:実は学生時代に、Wantedlyでインターンをしていたことがあって。当時いただいたオファーは断っていたのですが、ちょうど転職を考えていたタイミングでご連絡をいただいて、その流れで入社することになりました。

入社の決め手になったのは、デザインチームのメンバーです。入社前にメンバーと話す機会があったんですが、彼らがデザインについて、想像していたよりずっと真剣に考えていたことに驚いて。「この人たちと一緒に働きたいな」と思って、入社しました。

ーー入社後は、どんな役割を任されたのでしょうか?

菅谷:僕が入社した2017年1月は、ちょうどWantedlyが上場に向けて準備していたタイミングで。僕に課されたミッションは「上場後の認知拡大を見据えて、Wantedlyが出すビジュアルアウトプットのクオリティを上げる」ことでした。

最初はコーポレートサイトのリニューアルから始まり、プロダクトのUIデザインなど、デザインに関わることは何でもやっていましたね。その後デザイナーが増えて、プロダクトデザインチームとコミュニケーションデザインチームに分かれてからは、マーケティングに関するデザインやブランドを強固にするためのデザインなど、主にコミュニケーションデザインの領域に携わっています。

テクノロジーと人の両サイドから、社会のこれからを切り拓く会社へ

ーー手がけられたプロジェクトのうち、印象に残っているものは何ですか?

菅谷:直近で大きかったものだと、BI・コーポレートロゴとプロダクトロゴのリニューアルですね。以前のコーポレートロゴは、まだプロダクトが「Wantedly(現・Wantedly VISIT)」しかなかった時代につくったもので。その後事業が増え、Wantedlyが単一のサービスではなく、ビジネスプラットフォームとしての役割をはたす必要がでてきたことで、コーポレートロゴとBI(ブランド・アイデンティティ)を刷新することになりました。

また、新しいBIに合うよう、プロダクトのVI(ビジュアル・アイデンティティ)も刷新しました。

ーー新しいBIは、どのようなコンセプトでつくられたのでしょうか?

菅谷:以前のロゴはテックな印象が強かったのですが、新BIではテクノロジーと人間、オンラインとオフラインの両方の要素が見えてくるようなブランドイメージを目指しました。

新しいロゴマークは円とスラッシュで構成されているのですが、円は人を、スラッシュはWantedlyとそのプロダクトをそれぞれ表しています。Wantedlyがプロダクトを使って社会を切り拓き、人の価値を押し上げていくという様子を表現しています。

※詳しくはこちらの記事をご覧ください。

▲新旧コーポレートロゴ
ロゴの「W」にはシンプルさに加え、セリフ体の強、弱を参照することで、テックな印象の強かった以前のロゴに比べて、文化性、信頼性をイメージさせるオーセンティックな印象も持たせている。



菅谷:また、Wantedlyは2022年でサービス開始10周年になったのですが、これに合わせてリリースした10周年記念ロゴ制作も担当しました。新コーポレートロゴのスラッシュに込められた「社会に切り込む・時代を切り拓く」という意味合いを、数字の10にも適用することで、「これまでの10年を振り返るだけでなく、これからの10年を切り拓く」という意味を持たせました。

▲10周年記念ロゴ

ものをつくる人へのリスペクトが、働きやすさの源泉に

ーー働く環境としてのWantedlyの魅力は、どんなところにありますか?

菅谷:1つは裁量権と自由度の大きさです。基本的に、デザイナー個人やチームとして考えたことが、そのまま世の中に出ていくことも多いです。責任はありますけど、その分楽しいですね。

あとは、デザインを重要なものとして位置付ける会社の姿勢。Wantedlyに入社する方にお配りする「CLUTURE BOOK」の表紙や、6つの行動規範を表す社内用ポスターのデザインも僕が担当したのですが、こうしたコーポレートブランドに関するデザイン制作物へのこだだわりは、Wantedlyならではだと感じます。

▲2022年版「CULTURE BOOK」
Wantedlyの価値観や行動規範をまとめた小冊子。表紙のデザインと内容は毎年アップデートされる。2022年版の表紙デザインでは、「手にした者を次のステージへ」というメッセージを込め、映画『2001年宇宙の旅』に登場する謎の石柱・モノリスをオマージュ。「近未来」な印象が強かった昨年までのデザインに対し、「過去から未来」「今までとこれから」を表現するムードへ。

ーーそうしたデザインに対するこだわりは、どこから来ているのでしょう?

菅谷:代表の仲が、もともとデザインが好きなんですよね。新しいデザイン案をプレゼンしに行くときも、デザインに対する意識や理解の高さを毎回感じます。

ただ、最終的にどのデザインにするか決めるときは、「どれが一番いいと思う?」と聞かれて、それに決まる場合が多いです。サービス立ち上げ当初は、デザインもプログラミングも仲が一人でやっていたからこそ、ものをつくる人に対するリスペクトが高いんだと思います。ものづくりがどれだけ大変なことか、自分で知っているから。

エンジニアやデザイナーを大切にする空気感があるからこそ、中にはもっと良い条件のオファーを断ってWantedlyに入ってくる人もいて。そうした優秀なメンバーの存在が、新たな魅力になっていると感じます。

ーーどんなデザイナーが、Wantedlyで特に活躍できると思いますか?

菅谷:課題を“発見”できるデザイナーですね。デザインって「課題を“解決”するもの」と説明されることが多いですよね。もちろん、与えられた課題に対してデザイン的な最適解を出すスキルは前提として必要なんですが、それだけだと課題そのものが間違っていた場合に、正しい答えに辿り着けません。

また、デザイナーだからこそ気づける課題もあります。与えられた課題を解決するのではなく、自ら課題を発見したり、前提を疑って課題を再発見すること。デザイナーがそこまでやってはじめて、卓越したクリエイションが生まれると思っています。

▲リニューアル後の名刺

当初は「表面は会社の情報、裏面は個人の情報」というオーダーから出発したが、「昨今求められる、名刺の使用目的は何なのか」と考えた結果、「リアルで渡す」と「デジタルで読み取る」という2つの目的に特化して、それぞれの面をデザインした。これは機能性を追求・実現しつつ、人との出会いをつくる「Wantedly VISIT」と、名刺を読み取って管理する「Wantedly PEOPLE」という2つのプロダクトの特性をも表現している。

目指すのは、文化の土台を築き、業界をリードするデザインチーム

ーー菅谷さんが、デザイナーとして大事にしている価値観は何ですか?

菅谷:“耐久性”みたいなことはけっこう意識しています。長く使えそうなデザイン、タイムレスで、削ぎ落とされたデザインが好きなので。

その上で大事にしているのは「WHY」、すなわち人の動機や意志を大切にすること。それはデザインにとって最も重要なことであり、僕がWantedlyから学んだことでもあります。どんなに小さなプロジェクトでも、WHYがなければ立ち上げられませんから。

課題や動機、意志に寄り添い、本質的かつ必要最小限のデザインで応えること。それが僕のやりたいことだし、目指している耐久性にもつながるんじゃないかと思っています。

▲「Wantedly 6 Values Posters」
Wantedlyの6つの行動規範をビジュアルに落とし込んだ社内掲示用ポスター。直感的にわかりやすく、インテリアとして空間に溶け込むスタイリッシュなデザインはSNS上でも話題を呼び、IT業界にはこの取り組みを真似するムーヴメントが起こった。

ーーデザイナーとして、これから取り組みたいことは何ですか?

菅谷:1つは「より耐久性のあるクリエイティブをつくれるようになる」こと。例えば、100年以上前につくられた三菱商事のロゴマークが現在でも使われているように、人間の身体機能を超え、作者が死んでも残ることは、クリエイティブの大きな魅力だと思うんです。僕は割と「自分の足跡を残したい」と思っているタイプなので、そうした「100年残るクリエイティブ」をつくりたいですね。

もう1つは「ブランディングを極める」こと。特に国内では、「デザイナーはビジュアルだけやって終わり」と捉えられることも多いんですが、マーケティング的な売りと、ブランドとして表現したいものをしっかりつなげられるアートディレクターになりたい。簡単に言えば、“格好よくて売れるもの”をつくりたいです。

ーーWantedlyのデザイナーとして、実現したいことはありますか?

菅谷:“文化の土台になるデザイン”をつくりたいと思っています。Wantedlyはこれまでも、「カジュアル面談」や「ミートアップ」といった新しい採用の文化をつくってきましたが、今後はこれまで以上に、プラットフォームカンパニーになることを意識する必要があると思っていて。そのためには、“耐久性”もそうですし、シンプルさや使いやすさ、普遍性のあるデザインを提案していくことが重要だと思っています。

あとは、事業会社として、国内のデザイン業界をリードしていく存在でありたいですね。美大の就活シーンには「格好いいものをつくりたかったら、制作会社に行くしかないよね」という風潮があった気がしていて。僕自身も昔は、事業会社のデザインを「ダサい」と思っていたんですが、本当は事業会社だっていいものをつくれるはずなんですよ。GoogleやAppleだって事業会社なんですから。

なので、そうした「事業会社=いいものはつくれない」というイメージを払拭し、他の事業会社に参考にされるデザインチームを目指していきたいです。

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