「一人前のデザイニストになるとはこういうことなんだ!」を届けたい
若手クリエイターの奮闘レポート!一人前のデザイニストになることを目指し、前に突き進む過程をお届けする企画「デザイニスト道場」が始動!!
クリエイターの指南書とも言えるアンティー・ファクトリーの理念ブックを中心に据え、業界の最前線で活躍している先輩や同僚たちの門をたたいていきます。
理念ブックをより深く理解するためのサポート教材として、マネージャー陣に推薦図書も聞いて回ります。
時には先輩を突撃、時には同期や後輩と切磋琢磨しながら、道場で体験できたことを自分なりの理解におとし、理念ブックが指南してくれている内容とリンクさせながら、全ての方に届く言葉でお伝えしていきます。
私たちのリアルな体験を通して「一人前のデザイニストになるとはこういうことなんだ!」を指し示し、届けられたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
たのもう!!第五の門・つ吉田さん編
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前回は、「第四の門・小田島さん編」をお届けしました。
前回の記事はこちらから
今回突撃するのは、UCML事業部の所長「つ吉田さん」です。常に最先端のデザイン・技術と対峙しながら、アンティーのインタラクティブメディア領域を牽引し続けてくれています。
■ つ吉田さんの紹介
【名前】吉田 剛(よしだ つよし 通称: つ吉田さん)
【所属】UCML(アンティークリエイティブメディアラボ)
【役職】所長
【職能】インタラクティブディレクター
つ吉田さんが推薦する
理念ブックを読み解くための推薦図書とは……!?
早速、突撃していきたいと思います!
■ 推薦図書の紹介
元任天堂の企画開発者が、人が動く仕組みと手法を大公開!
ものづくりに関わるすべての人に役立つ「体験デザイン(UX)」の入門書
元任天堂の企画開発者が明かす、「人が思わず動いてしまう仕組み」。
どれだけ丁寧につくったサービスでも、なぜか使われない。
気合いを入れた企画ほど、なぜか響かない。
説明しているのに、なぜか伝わらない。
その原因は、アイデア不足でも努力不足でもなく、「人が動くしくみ」を知らないだけかもしれません。
本書では、「人がついやってしまう体験(無意識にやってしまう、夢中になる、誰かにすすめたくなるなど)」について、「直感・驚き・物語」という3つのフレームワークで体系化し、わかりやすくまとめられています。
スーパーマリオやドラゴンクエストなど、誰もが知るゲームを例に、体験デザインの考え方を専門用語なしで解説してくれています。
企画・開発・マーケティング・営業など、ものづくりに関わるすべての人に役立つ体験デザインの入門書です。
■ インタビュー
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つ吉田さん、推薦図書をご紹介いただきありがとうございます!
ここからは、私たちからいろいろ伺いたいと思います!!
山田
推薦図書のテーマでもある「体験デザイン」に興味を持ちはじめたきっかけをお聞かせください。
つ吉田
何かを組み立てることや何かが変化していく様子を観察し続けることが好きで、気がついたら「体験デザイン」というものに興味を持っていました。
子供の頃から、プラモデルだったり、ジグソーパズルだったり、何かを組み立てることが好きでした。
何かが変化していく様子を観察していることも好きでした。例えば、お風呂に入浴剤を入れて溶けていく様子をひたすら見続ける。卵を溶いているときに黄身と白身がいつまでバラバラなんだろうと見ている。
この感覚の延長に今があるように思います。ずっとつくり続けていたい、見続けていたいが続いているような。
ここから更に興味の幅が広がり、自分がつくったものを誰かが体験することを通して、その人の考え方とか行動に変化が生まれることになったらもっと面白いんじゃないかとなり「体験デザイン」につながっていったように思います。
山田
なるほど、それが原点なのですね!!
学生時代に行っていた創作活動などあればお聞かせください。
つ吉田
いろいろなところで、今の仕事に直結することをやっていました。
最初は、高校のときです。情報処理系の学校ではなかったのですけど、プログラミングに興味を持ち、友達に「ゲームがつくれるプログラミング言語があるよ」みたいなことを教えてもらい、見様見真似でやりました。このあたりから、本格的にプログラマーやエンジニアを意識しはじめました。
そこから先は、「コンピューターグラフィックスってどうやってできているのだろう?」「そもそもパソコンってどうやって動いてるの?」みたいなところに興味を持ち、勉強というよりは、興味の延長、遊びの感覚で覗いていった感じです。
当時は、まだほとんどインターネットが普及しておらず、自宅にもなかったので、本やインターネット環境のある友達の家を情報源としていました。
遊びながら、少し勉強みたいなことをしていたように思います。
山田
ゲームをつくっていたということはゲーム好きということですよね?
どのようなゲームから好きになったのかお聞かせください。
つ吉田
ボードゲーム系ではなく、テレビゲーム、ビデオゲームをやっていました。
対戦型格闘ゲームであったり、シューティングゲームであったり、どんどん上達してスコアを上げ、他の人と競ったりするタイプのものは、正直あまり得意ではありません。もちろん楽しさがあるとは思うのですけど、あまり興味がわかないところがあります。
一方、いわゆるRPGみたいに何かしらのゴールがあって、そこに向かってコツコツ積み上げていくタイプのゲームは、好きです。ひたすらレベルを上げたり、すごくレアなアイテムを集めたり、そういうことを延々と続けている方が性に合っていて、気がついたらずっとやり続けている感じがします。
山田
デザインの中で、プログラミング設計に興味を持たれた理由をお聞かせください。
つ吉田
やはりゲームがひとつのきっかけになったと思います。「なぜこれがこう変わるんだ?」という不思議さがいろいろなところに詰まっていて、仕組みを覗いてみたくなりました。
感覚的な話になるので共感を得るのは難しいかもしれませんが、やはり根底には、「変化を楽しんでいたい」があると思います。
「なぜこういう命令を書いたら色が変わるの?」「ものが動くの?」「画面が光るの?」と理由を考えるのがすごく面白く、そこに惹かれていったのだと思います。
グレーなところに入ってしまうかもしれないですけど、ゲーム好きが高じてゲームデータの改ざんみたいなこともやっていました、笑。もちろん、今だといわゆるチート行為になってしまい、完全にNGですが。
例えば、ゲーム内のお金が「100」あるとして、データを見てみると「64」と書いてある。これを「63」に変えたら「99」になる。「100が64で、99が63ってどういうこと?」みたいな。そういう仕組みをいじりながら、「なんでこうなるんだろう?」と考えるのがすごく面白く、「プログラミング設計」にハマっていきました。
山田
事前インタビューで、「ここ最近で一番衝撃を受けた出来事は、ポケモンGOの登場でした」とコメントをいただきました。もう少し詳しくお聞かせください。
つ吉田
少し前にはなりますが、ポケモンGOが出た時の衝撃はとても大きかったです。
多くの人の心を動かし、AR技術で世界的な社会現象を起こしました。
とにかく多くの人が、ポケモンGOの存在を知っていました。「家の近く、会社の近くでポケモンが捕まえられる」みたいな、すごくシンプルなキャッチコピーだけでいろいろな人が参加をはじめていました。
更に衝撃を受けたのは、ポケモンGOの登場をきっかけに、一気にARが一般化していったことです。それまでは、こだわりを持った一部の人しか触っていなかったと思います。それが「ARって、カメラの映像にキャラクターが重なって出てくるやつでしょ?」と、誰もがイメージできる技術になり、理解が一気に広がったのは、本当にすごいことだと思っています。
もちろん、その後似たような作品もいろいろ出てきたりはしましたが、間違いなくポケモンGOがひとつの転換期になったと言えると思います。本当に衝撃的な出来事でした。
山田
実際の仕事を通して「体験デザイン」の真髄に触れた瞬間のエピソードなどありましたらお聞かせください。
つ吉田
会社に入ってすぐの頃、全体集会で受けた話があります。「我々は、Webサイトをつくってくださいという相談や注文を受けます。でも、相談している人は、Webサイトが欲しい訳ではないのです。」
当時は、「何を言っているのだろう?」「Webサイトが欲しいから注文しているんじゃないの?」と思ったのですけど、経験を重ねていくにつれ、本質が見えるようになりました。
結局のところ、クライアントが求めているのは、Webサイトそのものではなく、「ブランドの認知が上がった」「商品が売れた」「営業コストを削減できた」など具体的な成果として現れる結果なのです。Webサイトはあくまで手段のひとつであって、目的ではないのです。本質を捉えずにつくっていると、「テレビCMでよくない?」「動画でよくない?」となり、相談すらされなくなります。
つまり、つくるものそのものよりも、それを相談してくれる人、注文してくれる人が、「なぜWebサイトを欲しいと思ったのか?」そこを考えないとダメなのです。
つい「何をどうつくるか?」に意識が向きがちですが、使う人がいなければつくっても意味がない、価値にならない。だからこそ「人の気持ち(=動機)を考えることが一番大切」、そこに本質があるのだと思います。
ああ、なるほどと思ったのを覚えています。
山田
若手のうちにやっておいた方が良いというアドバイスがあれば、ぜひ教えてください。
つ吉田
ありきたりではありますが、いろいろなことに興味を持ち、とにかく人と話をして言語化していくことが一番だと思います。
年齢を重ねていくと、どうしても量より質にならざるを得ないのですけど、若いうちは質より量、とにかくいろいろな経験をして欲しいです。
若い頃の方が感性は豊かなはずです。いろいろな物を見て、「この人は何を思ってこれをつくったのだろう?」「自分は、何でこう感じているのだろう?」と考え、人と話すことを通して、ぜひ言語化していってみてください。
山田
統括されているUCML事業部についてお聞かせください。
どのような仕事をされているのでしょうか?
つ吉田
インタラクティブメディアコンテンツを生み出す、エンジニア中心のグループです。
「Web」から「展示」まで幅広く対応しています。
UCMLは、アンティー・クリエイティブ・メディアラボの頭文字で、社内では単純に「ラボ」と呼んだりしています。名前の通り、常に新しい技術にチャレンジしながら先進的な作品を生み出しています。
ゲームで特定の条件を満たしたら何かが起こるプレゼントキャンペーンのサイトだったり、大きいものになると、デジタルサイネージだったり、空間デザインだったり、「Web」から「展示」まで幅広く対応しています。
山田
推薦図書の中で、一連の体験を通してプレイヤーに情報を伝えるデザインのことを「直感のデザイン」と呼び、このプロセスは、「仮説 → 試行 → 歓喜」によって成り立っているとありました。UCMLでは、どのように体験をデザインされていますか?
つ吉田
「体験する人がどう思うのか?」「どう動くのか?」予測しながら仮設を立て、「自分だったらこうするだろうな」と想像しながら体験をデザインしています。この視点を大事にしています。
いわゆるヒューマン・センタード・デザイン(人間中心設計)のような一般的な考え方はもちろん参考にしますけど、それ以上に、自分がどう動いたかとか、他の人がどう動いているか観察することを大事にしています。
特にデジタルサイネージをつくるときは、すでに世の中に似ているものがある場合は、実際に見に行って観察することが多いです。商業施設にあるフロア案内のタッチパネルとか、似たような条件の場所を探して、そこに行き観察します。
「意外に誰も見てないじゃん」みたいなこともあれば、「自分は全然興味ないのにみんな触っているな」みたいなこともあったりするので、そういう違いも含めて、何が違うんだろうと考えながら観察し、自分の制作に応用するということはよくやっています。
山田
推薦図書のお気に入りの章として『「わかる」は「良さ・正しさ」よりも大切』をあげていただきました。私たちデザイニストは、どうすればそれを実践することができるのでしょうか?
つ吉田
自分が「良い」「正しい」と思っていることが、相手にとっても同じとは限らない。まず、「わかる=相手が理解してくれている、共通認識がある」状態をつくることが大事だと思っています。
「自分がどうして良いと思ったのか?」「正しいと思ったのか?」「相手はなぜそれを良いと思ってくれないのか?」まずそこを考えること、相手の気持ちになってちゃんと考えることが大事。それを回数こなしていく必要があると思っています。
相手が理解してくれてないけど結果的に良いものができましたというケースは、恐らく、次につながらないです。
ゲームに例えると、どんなに音楽、ストーリー、CGが素晴らしくても、「どのボタンを押していいか分からない」となってしまったら、それはもうゲームではなく、実況を見ているだけの映像作品になってしまいます。
やはり、「相手が理解してくれている」「お互いに共通認識がある」という状態があってはじめて次につながるのだと思います。
我々は、プロとしての知見があるので、出来上がったものに対して、「扱いやすい」「わかりやすい」とつい思ってしまいがちですけど、実際に使う人からすると「何これ、どうしたらいいのかわからない」ということがよくあります。
ですから、『「わかる」とは誰にとっての「わかる」なのか?』『どの要素があると「わかる」になるのか?』ということは、ちゃんと掘り下げて考えておかなくてはいけないと思っています。
正直、一回ボコボコに評価された方がいいと思っています、笑。
山田
体験をデザインするにあたり、これは絶対外せないということがあれば、ぜひお聞かせください。
つ吉田
「記憶」につなげるために、「印象に残る体験」をつくっています。
良い意味でひっかかりを持たせるようにしています。
今は、「記憶」より「記録」の時代。とにかくスマホで撮って残しておくみたいなことをみんなが普通にやりますよね。自分もやります。でも、データとして残る「記録」と、体験として自分の中に残る「記憶」は、やはり少し違うものだと思っています。
「記録」は、データとしてそのまま保存される。だから、後から正確な情報を見返すことができます。でも、その分、自分の中で変化したり、美化されたり、いわゆる「思い出補正」みたいなものが起きにくいと言えます。
一方、「記憶」は、時間の経過とともに良い形に変化したり、感情とセットで良い印象に残ったりします。そこに違いがあると思っています。
この「記憶」につなげるために、「印象に残る体験」を意識してつくっています。色なのか、光なのか、音なのか、匂いなのか、あるいは感覚なのか。良い意味でひっかかりを持たせるようにしています。不快にならない範囲で、「ほんの少しだけ普通ではないこと」「不自然なこと」を仕込むようにしています。
本当に難しいことなのですが、意識して行うようにしています。
余談となりますが、スマホで撮る/撮らないの話も面白いなと思っています。「撮って記録に残す」のもひとつの体験ですし、「撮るのを忘れるくらい没頭し、記憶に残す」のもひとつの体験と言えます。更に、その先の体験を共有するところまで含めて楽しみにしている人もいます。
どれが正しいという話ではなく、その人の目的次第だといます。
ただ、もし「スマホを触る暇もなかった」というくらい夢中にすることができたら、それは一つのゴールなのかもしれないです。
山田
正に「没入感」ですね!!体験者を夢中にさせる企画を考えるプロセスみたいなものがあれば、お聞かせください。
つ吉田
やはり一番大事なのは、体験してくれる人のことを第一に考えることだと思います。
それをしないと、ただ整っているだけで印象に残らないものになってしまいます。
自己分析してみると、耳から入る情報が多いときは、スマホを触っていないような気がしています。写真や動画として残せないから、ちゃんと自分の中に記憶しておこうとなるのだと思います。
単純なことで言えば、物理的に暇を与えない企画、例えば両手を使わせることでスマホを触れない状況をつくるのもひとつの方法だと思います。
ですが、やはり一番大事なのは、体験してくれる人のことを第一に考えることだと思います。滑らかに動かすことや完成度を上げることばかりに意識が向きがちですが、それが体験者にとってどんな意味があるのか考えないと、ただ整っているだけで印象に残らないものになってしまいます。ときには、あえて滑らかにしない方がいいこともあるかもしれません。
使う人・体験する人がどう感じるかを基準に考えることが、最も大事だと思っています。
■ 本日の学び!!
✓ 見えないものや気づきにくいものについて考える力を身につける
- 表に見えている現象の裏には必ず仕組みがある
- まずは、興味を持って観察し、「なぜ?」と考える力を育てる
- 仕組みを理解すると、偶然ではなく意図的な設計ができるようになる
✓ つくることを目的にしない 「動機」を捉え、「成果」にコミットする
- クライアントが求めているのは、Webサイトや展示物などの成果物そのものではなく成果として現れる結果
- 成果物はあくまで手段のひとつであって、目的ではない
- つくるものそのものよりも、それを相談してくれる人が、「なぜWebサイトや展示物が必要と思ったのか?」そこを考えないとダメ
✓「良さ・正しさ」よりも、「わかる」を最優先にする
- 「相手が理解してくれている」「お互いに共通認識がある」という状態があってはじめて次につながる
- 相手の気持ちになってちゃんと考えることが大事
- それを回数こなしていく必要がある
✓ 記憶に残る体験をつくるために、あえてひっかかりを持たせる
- 今は、「記憶」より「記録」の時代
- でも、データとして残る「記録」と体験として残る「記憶」は、やはり少し違うもの
- 「記憶」は、時間の経過とともに良い形に変化したり、感情とセットで良い印象に残ったりする
- 良い意味でひっかかりを持たせ、「印象に残る体験」をつくる
記事作成: 山田 東輝(VIDEO Development Group)
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