はじめに
トウキョウアーチザンインテリジェンス株式会社(以下TAI)でFAE(フィールドアプリケーションエンジニア)を務める3名が、株式会社MIRAI-LABが主催する産業用ロボットに関する教育プログラムを受講しました。
受講を終えたばかりの3名に、社会的にフィジカルAIへの注目が高まる中でロボット講習を受講した意義や感想と、TAIのエンジニア文化について話を聞きました。
受講したメンバー
- Tさん: 入社3年目。FAEとして豊富なキャリアを持ち、チームマネージャーを務める。
- Iさん: 入社2年目。ハードウェア設計のスペシャリスト。半導体からサーバーまで精通。
- Rさん: 入社間もないFAE。学生時代ロボットに親しむ。
なぜ今、TAIは「ロボット教育」に投資するのか
ー今回、世代も専門領域も異なる3名のFAEが、産業用ロボットの特別講習を受講しました。エッジAIを主軸とするTAIが、なぜ今、あえて講習を推奨したのでしょうか。
T: 一言で言えば、「現場」を知らなければ戦えないフェーズに来たからです。現在、TAIでは製造業の案件において、ロボットを使った作業効率化のPoCを行っています。そこでAIを実装するには、ロボットの可動域に近づく必要があります。
産業用ロボットの現場には法律に基づいた厳格なルールがあり、安全講習を受けなければ従事できない業務があるため、受講することになりました。
また、単にコードが書けるだけでは、お客さまと同じ土俵で会話をすることすらできないので、この講習は今後増えていく案件に対応するために必須なものでした。
R: 私は入社してまだ数ヶ月ですが、学生時代にロボット研究会に所属していたこともあり、ロボットには親しみがありました。TAIに入社する際もロボットの案件があることは聞いていたので、関われることを期待しており、今回の講習はその1歩だったと捉えています。
I: 私はこれまで、半導体の中の回路設計やサーバー構築など、いわゆる「ハードウェア」を主戦場にしてきましたが、産業用ロボットを直接操作するのはほぼ初めてでした。
近年フィジカルAIへの注目も高まっている中で、新たな知識を吸収する機会をいただきました。
AIと物理世界をつなぐ難しさと面白さ
ー2日間にわたる講習では、座学だけでなく実機を使う場面もあったそうですね。ソフトウェア開発との違いはどこにありますか?
T: 「慣性」の存在ですね。これはシミュレーション上のプログラムだけをやっている人には、なかなか実感が湧かない部分です。デジタルの世界なら座標を指定すれば瞬時に止まりますが、現実のロボットは急停止すれば揺れたり、ブレたりします。
講習の中で「普通のプログラムなら何の心配もないけれど、ロボットだとここが大変なんだ」というギャップを丁寧に説明してもらったことが非常に面白かったです。
また、1日目の座学でロボットによって人が怪我をしたり、亡くなったりするリスクや、法律的な背景を学んだので、実機を動かすときの「重み」が変わりました。
I: プログラムの考え方自体は近いものがありますが、感覚は全く別物です。結局、ロボットのハンドが今どこにあり、どう動いているかは、自分の目で見ないと分かりません。数字上の座標だけを打ち込んでも、物理的な干渉や微細な誤差で、うまく動作しなくなることもあります。
最近は「フィジカルAI」という言葉が注目されていますが、結局は物理世界との接点、つまり「埋められない差」をどう扱うかが重要になります。コンピューターの上だけで完結する世界とは違い、細かな調整が必要です。
R: 講習では「自動化の難しさ」を感じました。現場では今も、ロボットに動きを教え込む作業は職人芸に近いところがあります。AIが進化して「勝手に見て動く」ようになれば理想的ですが、現実にはまだ乖離があります。その乖離を埋めるのが、エンジニアの役割だと再認識しました。
世代関係なく、「学び続ける」を会社が支援する文化
ーベテランのTさんとIさん。そして最近入社のRさん。世代を超えて同じラインに立って学ぶ環境については、どう感じましたか?
I: エンジニアにとって、新しい技術を学ぶことは最大のモチベーションです。世の中には「自分の守備範囲以外の仕事は増やしたくない」と保守的になる人もいますが、TAIのメンバーは逆です。入社した瞬間から「とりあえず、これやってみて」と新しい課題が飛んでくるので、学び続ける日々です。
特に、最近の生成AIの進化は凄まじいですよね。この1年で、新しい技術をキャッチアップするコストは劇的に下がりました。分からないことがあってもAIがヒントをくれるので、年齢を言い訳にする必要がなくなっていると感じます。
R: 私は新しいことを勉強することが趣味で、資格を取るのも好きなんです。
そのため、こうしたチャンスを会社が公式にサポートしてくれるのは、純粋にありがたいと感じます。
講習中も、Tさんが講師の方に「市場ではどのように異常検知が使われているんですか?」と質問を投げかけていたり、Iさんが独自のアイデアを試していたりするのを見て、技術をビジネスや社会実装に繋げる視点を学ぶことができました。
T: 今回の講習では、Tさんがロボットの設定を組んで動かないという場面で、Iさんと技術的な議論をするシーンがありました。
年次や役職関係なく、共通の課題に向き合うフラットな関係性は、エンジニアにとって非常に健全だと思います。
AIを「画面の中」で終わらせないために
ー今回の学びを、今後のプロジェクトやキャリアにどう活かしていきたいですか?
T: 「AIがロボットの目になる」という方向性は、間違っていないと確信しました。
多くの場合、ロボットやAIソリューションの導入が頓挫するのは、費用対効果の問題です。
人間は最高級のセンサーである目を安価に使える存在ですが、それを超える効果をどう出すか。講習を通じて、現在のマーケットで何が足りないのか、コストと技術のバランスをどこに落とし込むべきか、おぼろげながら見えてきた気がします。
R: 現場の課題に実際に触れて「身につけた感覚」を大切にしたいです。AIがどれだけ発展しても、物理的な取り付けや現場での微調整は、人間にしかできない部分が残ると思うので、まだまだエンジニアの役割を突き詰めていきたいです。
I: ロボット単体ではなく、システム全体のソリューションとしてどう価値を作るかを考えています。ゆくゆくは、人が隣にいても安全に動ける「協働ロボット」の領域で、AIがより高度な安全判断を担うようになるのではないかなと。人手不足の現場の課題を解決できるようなAIとハードを作っていきたいです。
TAIでは現在、AIやエンジニアリングに情熱を持つ新たな仲間を募集しています。
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