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こんにちは!システム部 糟谷です。
モンゴルに拠点を構えるユニメディアの開発子会社「Unimedia Solutions LLC(以下、UMS)」
今回は、現地法人設立に携わったUMS社長の細川さんとユニメディアでシステム部を統括するシニアマネージャー阿久津さんのお二人による特別インタビューを前編・後編と続けてお届けします。
ユニメディアがモンゴルに開発拠点を設立した経緯から、UMSでのチームビルディングや連携の工夫、オフショア開発の具体的な取り組みについて伺いました。新たな事業展開と異文化協働の魅力に迫る対談をどうぞお楽しみに!
★index★
1 自社オフショアの第一歩は、モンゴルへ。
2 現地法人設立のキー・パーソン
3 ユニメディアとUMSの繋がり
1.自社オフショアの第一歩は、モンゴルへ
▼本日は、モンゴル・ウランバートルに拠点を構える、当社ユニメディアの開発子会社であるUMSについてお話をうかがうため、設立の道のりや現在の事業について最もよくご存知のお二人をお招きしました。まずは自己紹介と、簡単なご経歴を教えてください。
細川)現在、UMSの代表を務めております細川です。ユニメディアには2016年3月に入社し、東京本社勤務を経て、現地法人の設立に向けて4月からモンゴルに駐在を始めました。
その時点では、まだ現地の拠点は法人ではない「駐在員事務所」でした。同年11月に登記を行い、その後駐在員事務所の人員をUMSに移籍させ、営業活動ができる現地法人として立ち上げました。そこから現在まで、UMSの代表として経営を任せていただいています。
阿久津)ユニメディアのシステム部シニアマネージャーを務めている阿久津です。
新卒からSIerで開発に十数年従事し事業会社2社のシステム部門を経て、ユニメディア入社は2019年秋です。入社時は広告トラッキングシステムのリプレイスを担当していました。
その後、現在の役職に就き、当社で行う開発や運用・保守、オフショアなど、システム関連のマネジメント業務に従事しています。普段は日本におりますが、開発子会社であるUMSとも日々連携を強化しているところです。このあたりは後ほど詳しくお話しさせていただきますね。
▼ありがとうございます。UMSの代表として現地メンバーを率いる細川さん、そしてユニメディアとの架け橋として開発を統括する阿久津さん。それぞれの視点から、当社のオフショア開発について語っていただきます。
早速ですが、ユニメディアがモンゴルに開発拠点を作った経緯について、現地法人立ち上げの舵を取られた細川さんより、お話しいただけますか。
細川)私が直接関わったのは入社後からなので、それ以前のことは伝聞になりますが、ユニメディア社長の末田さんに日本在住のモンゴル人の仲の良いご友人がおられ、その方を通じてモンゴルという国とユニメディアの最初の接点だったと聞いています。2010年代は社会的にソーシャル化・スマホの普及が一気に進んだ時期で、スピード感のある開発が必要と考えたユニメディアは東南アジアへの事業所展開を検討し始めました。その時に末田さんがご友人からモンゴルの話を聞き、関心を持ち、経済や産業面のマクロデータを見て、日本からのアクセスや風土、識字率などの教育水準を考慮して、ここだ!とモンゴルを開発拠点に選んだそうです。
ユニメディアがモンゴルに進出した2013年当時、モンゴル国内でシステム開発を手掛ける日本企業は、今ほど多くはありませんでした。現在は日本企業もかなり増えています。JICAをはじめ、モンゴルを支援する機関も現地の IT 人材を採用しようと精力的に活動しています。当然、良い人材が育てば他社も獲得に動くため、UMSとしては少々困った話でもあります(笑)。
モンゴルは海のない国なので、ベトナムや中国のように海路・水路でモノを運んで作って…ということは、周辺諸国の中では得意なほうではありません。だからこそ、ITの力で拡大していけるよう、国をあげて人材育成をしています。現地視察をすることもなく、マクロデータと主観のみでモンゴル進出を決めたという末田さんの見立ては、結果鋭かったと言えますね。
UMSはリフレッシュルームなどもあり、働きやすい環境が整備されています。
2.現地法人設立のキー・パーソン
▼海外進出の構想が動き出す中で、細川さんとユニメディアとの出会いがありました。細川さんは前職のご経験の中でも、モンゴルにゆかりがあるとうかがっています。
細川)モンゴルに初めて関わったのはちょうど20年前の、2004年です。当時、札幌のガス会社で事業開発室を新規に設立し、他社との合弁会社の設立や新事業開発等を担当していました。その中の1つが、日本2社・モンゴル2社の計4社が出資したモンゴルのガス販売会社の設立でした。会社設立から2年間はモンゴルに出向駐在し、モンゴル人の社長と共に副社長として働きました。その後日本に戻ったり、またモンゴルに駐在したりと、往復しながら事業の立て直しや設備増強などを幅広く手掛けてきました。
そのようにモンゴルとは縁が深く、11 年前はモンゴルの日本人会の会長も務めておりました。
▼そのタイミングで、ユニメディアがモンゴルの駐在員事務所を開設しますが細川さんと末田さんとの出会いについて教えてください。
細川)少々記憶が曖昧ですが、当時受け取った名刺のメモによると 2013 年の春に出会っていますね。まだモンゴル国内の日本人は少なく、現地の日本人コミュニティの繋がりでご縁がありました。
しかし、出会ってすぐにユニメディアに誘われたわけではありません。会社のこととは全く関係なしに「モンゴルの健康診断の費用って、こんなに高いんですか?」と突然メールが来ました。「一般的にはこのぐらいですよ」と返答したように記憶しています。それから、出張で来られた際に偶然宴会で近くの席になって話したり、折に触れ飲みにいく機会ができたりと交流が続きました。
とはいっても、私と同じように末田さんと何度か飲みに行ったことがある方は他にも何人かおられたので、私がユニメディアで働くことになるとはそのときは全く思っていませんでした。
しばらくして、私が地元札幌に帰国していた際、末田さんから「札幌出張があるので、ぜひ会いませんか」とご連絡をいただきました。ユニメディアが駐在員事務所から一歩進み、現地法人を設立する意志を持ったタイミングだったのだと思います。その時に会社の資料を見せていただき、会社の状況や今後の展望などを伺いました。
▼細川さんが再度モンゴルで法人の立ち上げに参画すると踏み切った、決め手はなんだったのでしょう。
細川)私の場合は「普通にうまくいっている会社」での仕事よりも、新しい何かを作ることの方が好きだったからです。それまでの仕事でもそういった取り組みに注力していましたし、「現地法人を作るのですが、どうでしょうか?」という末田さんからのお誘いは魅力的でした。
3.ユニメディアとUMSの繋がり
▼細川さんが入社され、2016年にいよいよ現地法人としてUMSが本格始動しました。ユニメディアとUMSの開発は、どのように関連しているのでしょうか。開発体制や連携について教えてください。
阿久津)現在UMSは全体で社員数が60名ほど、そのうち40名がエンジニアとして在籍しています。
UMSは、ユニメディアの自社サービスの開発を請負っています。サービス方針の策定や事業サイドとのやりとりは我々システム部が行い、方針を決めた後の開発をUMSでしてもらうという開発連携がメインですね。
やりとりをしながら一緒に開発していますが、この連携部分についてはここ2年程で大きく刷新を行っています。それまでユニメディアとUMSの連携において、文化の違いやUMSが創業期であったことも含め「ふわっと」してしまっていた部分がありました。それを、私が関わり始めてから数年で改善に向けて一気に動かし始め、今はその道半ばといったところです。
▼具体的に、どのような状態を目指して改善を進めておられるのでしょうか。
阿久津)目指すスタイルは、ユニメディア側は依頼をしっかり整理して届け、UMS側はユニメディアと同じ目線や気持ちを持って開発・アウトプットをするという形です。
元々はユニメディア側から「こんな感じで」と抽象的な依頼をすることがあり、受けるUMS側も「なんとなくこんな感じか」と作ってしまうことが多かったようです。ここをきっちり整備してより良いアウトプットを実現していくためには、両社エンジニアに対して考え方や取り組み方のレクチャーが必要でした。
正直、それまでの開発プロセスや方針とは全く違ったと思います。感覚的な指示や共有が多少あっても、研究段階などR&D部分であればそれも一つのやり方になりえますが、実際の開発に乗せるとなると問題がでてきます。
モンゴルのエンジニアに対しては、国民性もありますし、今まで彼らがやってきたやり方や考え方をないがしろにして日本人っぽくやることを押し付けてはいけないと考えています。押し付けすぎず、しかし「こうあるべきだよね」という規範や水準意識を理解・共感してもらいながら、この改善は進めて行く必要がありました。
▼そのためのレクチャーや考え方の共有は、阿久津さんが直接行っておられるのでしょうか。
阿久津)はい。ここまでの段階は、私がやっていました。先日も、モンゴル出張の際にUMSのエンジニアを全員集めて「こういう風に開発しよう」というレクチャーを実施しました。通訳の方以外にも、改善に向けた活動を普段から一緒にやってくれているモンゴル人SEの方がいます。日本語も技術も分かる彼らが現地エンジニアとの間に入って、意図や細かなニュアンスの部分も伝えてくれるおかげで、伝えたい「意識」については浸透しつつあります。
そのように、開発体制の整備と意識面の啓発活動は、私が入社してすぐぐらいから並行して実施しています。
▼「ここまでは」ご自身が進めてきたとおっしゃいましたが、改善の道のりの後半については、どのように考えておられるのでしょうか。
阿久津)私の役割は2つです。1つは、ユニメディア側の、モンゴルチームとやり取りをするメンバーに対して意識付けをすること。もう1つは、モンゴル側のリーダー的なSEに対して意識付けをすることです。現状で、考え方や求められる行動の意義については、ある程度双方に理解してもらえたと思っています。
ここからは、その意識をチームメンバーが現場のエンジニアに伝播させていく段階です。そこでは、私よりももう少し現場に近い方々がメインに動くことになると認識しています。また、理解した意義に基づいて業務で実践できるか、繰り返し実行できるかということに挑むフェーズにも入ります。一度できたら終わりということではありません。この道のり自体にも、終わりはないとも言えますね。
皆さん社歴も長いですし、会社としての歴史も積み上がってきています。ポッと入った私がガラッと変えるということには抵抗もあったかと思います。だからこそ、先ほどもお話ししたように、力づくでの改善ではなく、国民性や考え方の違いを尊重しながら進めることを常に重視していました。
モンゴルの方は働き方こそ違えど、技術に対する向上心が素晴らしいので、その素質をしっかりと成果に繋げるのが私の役目です。
▼なるほど。UMSの事業、そしてユニメディアとの関係・課題と、全体像が見えてきました。
続く次回のインタビューでは、受託開発だけではないUMSの取り組み「イノベーター発表会」の様子、そして何よりそこで働く人たちの思いに迫ります。さらに、自社にオフショアを持つユニメディアならではの面白さにも触れていきます。