木の半分くらいは、セルロースというセンイ分からできています。
紙は、この木のセンイ分からつくられています。
まず、森の木を小さく切りきざむと、センイでない部分が水にとけるようになります。
これをあみ(スクリーン)の上で洗うと、センイ分だけがあみの上に残ります。
これを乾かした物をパルプといいます。
このパルプを、もう一度水に入れ、粘土の粉などをまぜ、また、あみの上にうすくつけて、乾かすと紙ができます。
木の成分のおよそ半分だけが、紙になり、残りの半分はほとんど捨てられます。
紙を捨てるのは、森の木を二倍も捨てることになるのです。
■私たちは森を食べている
日本人は、世界一のエビ好きで、一年間におよそ二十五万トンものエビを食べています。
このエビの九十パーセントは、世界中から輸入されています。
タイなどでは、日本に輸出するエビを養殖する池をつくるために、マングローブという木がはえている熱帯林をこわしています。
日本人が、エビを安く食べられるのは、東南アジアの人などが熱帯林をこわして働いているからです。
■砂漠が増える
森がどんどんなくなる一方で、草木がほとんどない砂漠が毎年、六百万ヘクタールずつ増え、また、砂漠に近づいているところが、毎年、四百万ヘクタールずつ増えています。
両方をあわせると、熱帯林が減る勢いと同じくらいで、毎年、本州の半分くらいが砂漠になってきています。
アフリカでは、農村人口の78パーセント、アジアでは48、南アメリカやメキシコでは66、北アメリカでは32、ヨーロッパでも31パーセント、合計では、九億一千万人の人が砂漠化の影響を受け、そのうち、およそ半分の人が、砂漠化のひどいところに住んでいます。
砂漠が増える原因には、地球の気候が変わって雨が降らないところが増えたことのほかに、人間がたくさんの家畜を放牧しすぎること、マキをとりすぎること、肥料をやらずに農業をして土の中の栄養分をなくしてしまうことなどがあります。
一度、砂漠になったところをもとにもどすのは、熱帯林をもとにもどすのと同じか、それ以上にむずかしいことです。
■世界はどう取り組んでいるか
1985年には、国連食料農業機関(FAO)が、熱帯林行動計画を進め、熱帯林を守るための五つの方法を示しました。
62の発展途上国でこの計画によるいろいろな努力がされています。
1983年には、国際熱帯木材協定(ITTA)ができ、三年後に横浜に国際熱帯木材機関(ITTO)というものができて、木材がとれる国と木材を使う国とが協力して森林を守る努力をすることになりました。
1994年には、ITTAがみなおされ、2000年までに、木材は木を植えてとるようにする目標を決めました。
また、1997年に国連の持続可能な開発委員会(CSD)の下に、森林について多くの国が話し合う政府間フォーラム(IFF)ができました。
多くの国の助けで植林もされていますが、その面積はまだ一年間に百十万ヘクタールくらいで、熱帯林の減る面積の十分の一にしかなりません。
熱帯林木材を一番多く輸入している、日本はもっと熱帯林を守る努力が必要です。
砂漠化については、1977年に、国連の砂漠化防止会議が開かれ、砂漠化を防ぐための行動計画が決められ、1995年には、エジプトで、アフリカの環境大臣が集まって、砂漠化対策計画を決めました。
1994年には、砂漠化防止条約が決まり、それぞれの国で砂漠化防止行動計画がつくられています。
1999年には、アジア地域での砂漠化防止のためのネットワーク(TPN)がスタートしました。
また、市民がつくっている「緑のサヘル」という団体も砂漠化防止に活躍しています。
この活動に、多くの日本人が参加してほしいものです。