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Salesforce.com日本法人設立の裏側をサンブリッジのファウンダー アレン・マイナーに聞いてみました!

世界トップの顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービス提供企業、Salesforce。そのSalesforce最古のコンサルティングパートナーとして、サンブリッジはこれまで1,000社3,000プロジェクトのSalesforce導入・定着化支援を行ってきました。

実は、サンブリッジが最古のコンサルティングパートナーとなったきっかけは、サンブリッジがSalesforceの日本法人、株式会社セールスフォース・ドットコム(現株式会社セールスフォース・ジャパン)の設立に関わったことにあります。では、どのような経緯でサンブリッジはSalesforce日本法人の立ち上げに携わるに至ったのでしょうか?

その詳細をサンブリッジのファウンダーであるアレン・マイナーに聞いてみました。
Salesforceファウンダーのマーク・ベニオフ氏との交流エピソードも含め、明かされた当時の裏話をぜひご覧ください!

サンブリッジ 取締役ファウンダー
アレン・マイナー(Allen Miner)

1987年から日本Oracleの初代代表として同社の立ち上げに貢献し、今日の記録的成長の礎を築きあげる。
1999 年に自らの資金で設立した株式会社サンブリッジの代表取締役として、数多くのベンチャー企業への投資に加え、株式会社セールスフォース・ドットコムをはじめとする海外クラウドベンダーの日本におけるジョイントベンチャーの設立にも携わる。
これまでに投資してきたベンチャー企業は優に165件を超え、14件にのぼる株式公開を実現、現在までに新事業、新産業の創出、および日本のベンチャーを取り巻く環境の発展に貢献する。2007年には、米国フォーブス誌のベンチャーの企業価値向上に顕著な貢献をしたと見なされるベンチャーキャピタリストおよびエンジェル投資家のリストである『Midas List』に、日本を中心に活動するベンチャーキャピタリストとして初めて選出される。
日本ベンチャーキャピタル協会の設立メンバーであり、現在は顧問を務める。主な著書に『わたし、日本に賭けてます。』がある。

※以下話し言葉につき敬称略

Salesforce創業者マーク・ベニオフ氏との出会い

ーーサンブリッジがSalesforceの日本法人立ち上げに携わることになったきっかけを教えてください。

実は、きっかけは1986年にまで遡ります。
その年、私とマーク・ベニオフはOracleに新卒第1期生として入社し、同期として出会いました。新入社員向けの教育プログラムのスタートが待ちきれず参加した説明会で、たまたま隣に座ったのが始まりでした。当時から「いつか起業する」と話していたマークは印象に残る存在でした。

入社翌年、私はOracle日本法人の立ち上げのために日本で経営者として働き始め、マークはトップ営業賞を獲得後、ロサンゼルスのオフィスでソフトウェア開発事業の責任者になりました。

マークとのコラボレーション

ーーお二人とも入社直後から目覚ましい活躍をされていたんですね。しかし、働く国も部門も異なる中で、お二人の間にはどういった関わりがあったのでしょうか?

まずはじめに「Oracle Power Objects」という製品に関して、仕事上でマークと深く関わる機会がありました。AppleのUIや操作性を意識した「HyperCard」という、当時新しかった手法によりマークが開発したのがOracle Power Objectsです。この製品はOracleで初めてバージョン1から日本語対応するツールとして開発を進めました。Oracle日本法人からエンジニアを送り、プロダクトの日本展開も支援しました。
安価で使いやすいことが特徴だったOracle Power Objectsは、販売代理店からも「売りやすい」と好評で、間接販売が主流の日本では特によく売れました。

ーーお二人が深く関わった「Oracle Power Objects」は日本で特に好評だったんですね。

その後、マークとの2度めのコラボレーションプロジェクトとして、Oracle Network Computer構想、通称NCがありました。NCはネットワークを前提とした情報機器で、ディスク系記憶装置を必要としません。アプリケーションはネットワークからダウンロードが可能で、利用もすべてWebブラウザ上で完結する、いわばSaaSモデルの先駆けとなるようなコンセプトでした。上下水道や電気などの公共施設と同様に、センターで高い資産を所持しつつ、各家庭でユーザーが使うのはスイッチやボタンひとつ。そんなネットワークのあり方を、1994年頃から考えていたのです。

消費者向けNCと企業向けNCの2つの構想を持ち、マーケティングをOracle本社でマークが、日本国内での展開を私が担当しました。様々な日本の企業に話を持ちかけた中で、とある一社と企業向けNCの実現に向け、経営会議での承認を得ることができました。

しかしその翌日、ウォール・ストリート・ジャーナルからの取材の中でOracleのエリソン会長が「消費者向けNCは好調だが産業用NCは辞める」と発言したのです。それは、やっとの思いで日本企業から承認を得たNCの実現を、諦めざるを得ないということを意味していました。NC事業の本部長もウォール・ストリート・ジャーナルの記事を見て知ったくらいに、突然の展開だったにも関わらず、その決定を覆すことはできませんでした。ソフトウェアも電気のようにスイッチひとつで使えるようになる、そんなユーティリティコンピューティングの理想を、実現しようとしていた矢先の突然の意思決定。
このことをきっかけに、Oracleの外でソフトウェア産業のあるべき姿を実現しようと、マークと私が考えるきっかけになりました。

ーー2度目のコラボレーションプロジェクトが、結果的にお二人の独立・起業のきっかけとなったんですね。

その後、Oracle日本法人のIPO準備と同時に起業準備を始めます。当時(1998年頃)の日本は、まだインターネットが趣味の世界でしかなかったため、日本国内でのインターネットの本格的な立ち上げができたら面白いな、と考えていました。その後、IPOを経て99年のはじめ、マークと同時期にOracleを卒業しました。その後マークはCRMパッケージをサブスクリプションモデルで開発、Oracleの会長から設備投資を受け独立・起業しました。それが今日のSalesforceです。

ーーそこからどのような経緯でサンブリッジの設立に至ったのでしょうか?

起業準備中にアメリカと日本のインターネットの活用方法の違いに可能性を感じ、様々なビジネスアイデアを考えるなかで、amazonのように「オンラインで本の購入が出来るサイト」がありました。そのアイデアを発展させる中で、日本でそれに似たサービスを提供する会社を見つけ社長と話す中で、自分のやりたい分野でポテンシャルがある会社に投資をすることが日本のインターネットの発展に繋がるかもしれない、と投資することを決意しました。私が投資家に変わった瞬間でした。
そこで、日本のベンチャーを支援することをミッションに投資会社としてサンブリッジ(後のサンブリッジコーポレーション)を興しました。

↑当時のWeb掲載写真

誰もやったことがない形でSalesforce日本法人の設立を

ーーそれぞれが起業という形でインターネットの発展を進め始めたんですね。そこからどのようにSalesforce日本法人設立に至ったのでしょうか?

1999年に、「Salesforceの日本法人を作りたい」とマークから相談を受けました。その話を聞いて、本来は日本のベンチャー企業支援がミッションではありましたが、友達として力になりたいと思い、特別に立ち上げを手伝うことを決めました。Oracle時代の経験から、海外製品を日本に輸入する際の障壁を熟知していたため、せっかくやるなら、今まで誰もやったことのないジャパンエントリーモデルを考えようと、最初から失敗しない構造を考えました。

ーー具体的にセールスフォースの日本法人設立においてどのような支援を行ったのでしょうか?

共同出資、セールスフォース・ドットコム初代CEOの北村さんの採用や日本ビジネスのノウハウ提供、また、アメリカと日本の調整役を担いました。この時に採用した北村社長が「契約料金の先払い」モデルの構築を行いました。この料金モデルは後にアメリカのSalesforceへ逆輸入されることになり、本社のキャッシュフローを安定させ、経営危機を救ったとも言われています。

サンブリッジにとっても、Salesforceの日本法人を設立した経験はその後、Marketo、Concur Technologies、demandwareをはじめとした最先端のクラウドカンパニーの日本におけるジョイント・ベンチャー設立へ繋がりました

ビジネスにおいて大切なのは「深い人間関係があるかどうか」

ーーなぜSalesforceの日本法人設立は成功したのだと思いますか?

もちろん様々な要因はあります。しかし、Oracle時代にマークと協業した経験があったからこそ、マークは製品開発、私は日本でのビジネス展開というそれぞれの強みを発揮しながら進められたことは大きな要因です。Salesforceの日本法人立ち上げは、NCでマークと私がやりたかったこと。Oracleではできなかったソフトウェアのあり方を、サンブリッジとSalesforceで実現できました。友人のために何かしたい、そんな軽い始まりでしたが世の中を大きく動かすことができたと実感しています。

今年開催した私の還暦パーティーにはマークからのビデオメッセージが届くなど、マークとは今でも関係が継続しています。結局、ビジネスにおいて最後に大切なのは「深い人間関係があるかどうか」。そのことをSalesforce日本法人設立の経験から強く感じました。



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サンブリッジでは個々の強みを活かし、弱みをフォローし合いながらチームで成果を出すことを大切にしています。Salesforce日本法人設立は、まさにアレン・マイナーとマーク・ベニオフ氏がお互いの強みを生かした成果だったと言えるのではないでしょうか。Salesforceと長年パートナー関係を築いてきたサンブリッジで、自分の強みを活かしながら一緒に働いてみませんか。

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