ストーンシステムは、1990年の創業以来、30年以上の歴史を誇るシステム開発会社です。今回は、創業者であり現会長を務める石黒尚久に、その航海の軌跡と、未来への羅針盤についてお話を伺いました。
ストーンシステムの創業の原点について教えてください
石黒: 私がコンピュータに触れ始めたのは22歳の頃、今から40年ほど前のことです。当時はまだWindowsもインターネットも存在しない時代で、MicrosoftやAppleといった企業がBasicを開発していることに大きな刺激を受けました。私自身もBasicの動作を解析し、パソコンとソフトウェアに大きな可能性を感じていました。
しかし、当時の日本では、起業に関する教育がほとんどなく、手続きも支援体制も貧弱で、すぐに独立するという選択肢はありませんでした。25歳で大学を卒業後、独立系のソフトウェアハウスに就職し、エンジニアとしての道を歩み始めました。
新卒1社目に入社をしたIT企業で「オリコン」の業務効率化に携わる機会があったのですが、手作業で行われていたレコードの集計業務を見て、会社の倉庫に眠っていた高性能PCでシステム化できると直感したんです。一人での開発は難航しましたが、3ヶ月かけて完成させた時の「自分の力でソフトウェアを開発した楽しさ」は忘れられませんでした。この経験が、『ソフトウェア開発を本格的にやりたい』という強い思いに繋がり、その後、経験を積んだ上で1990年、30歳の時にストーンシステムを立ち上げました。
『ソフトウェアは体ひとつ。ノートPCと情熱があれば始められる』というのが私の信条でした。『好きなコードを書き続けられる環境』を最優先し、マンションの一室から事業をスタートさせましたね。先々のことは深く考えず、とにかく開発がしたかったのを覚えています。
IT業界で特に重視されていること、そしてストーンシステムの企業理念について教えてください
石黒: 常に心にあるのは、『日本はアメリカよりも品質が高いソフトウェアを開発できる』という思いです。ソフトウェア界隈でアメリカに負けたくないという気持ちが強くあります。
そして、ストーンシステムの根底にあるのは『ソフトウェアで人々を便利にする』というシンプルな願いです。現在のスローガンである『ITで人にやさしい世界を創り出す』は、その想いを言語化したものです。
そして私たちは、お客様の100の期待値に対して120以上の価値を提供することを大切にしています。これによりお客様の満足度が高まり、次の仕事に繋がり、永続的なお付き合いが可能になるのです。この姿勢を30年以上の歴史の中でずっと持ち続けています。
また、社員にはなるべく多くの選択肢を提供したいと考えています。ポジションを積極的に提供し、起業支援も行っていきたいと考えています。
「お客様満足度の高さ」について、ストーンシステムの特徴である社内での開発比率が高いことなどと、どのように関係しているのでしょうか
石黒: はい、ストーンシステムの大きな特徴の一つは、社内での持ち帰り受託開発が非常に多いことです。売上比率で見ると、受託(社内)が60%を占めており、全社員の半数以上が社内で開発を行っています。SESの比率は40%ですが、この中にも『社外受託』が含まれており、その60〜70%はチームで受託しているため、いわゆるSES形態(1人常駐系)は全体の約10%程度です。
プライム案件の比率も高く、会社全体で80%がプライム案件です。特に受託開発部署では90%がプライム案件であり、SES部署でも40%がプライム、60%が元請比率です。上流工程にタッチしないプロジェクトは非常に少ないですね。
業務系システム開発において、社外常駐ではなく社内に持ち帰って開発を任せていただける案件は多くありません。これは、Webサービス開発とは異なりセキュリティが重要視されるため、お客様からの高い信頼がなければ実現できないことです。
ストーンシステムが30年以上にわたって『100の期待値に120以上を提供し続けてきた』ことの蓄積が、今のストーンシステムを築き、著名な大手企業との取引が増え、結果として社内受託案件が多くなった一番の理由だと考えています。
新しい技術へのキャッチアップの速さもストーンシステムの大きな強みと伺いました。その秘訣は何でしょうか?
石黒: その通りです。世の中に出回る新しい技術のキャッチアップスピードは、弊社の特徴の一つだと自負しています。
例えば、iPhoneアプリ開発が注目され始めたのが2008〜2009年頃ですが、弊社は2008年には開発に取り組んでいます。Androidアプリ開発も同様に2009年から取り組んでおり、IT企業の中でも脅威のスピード感だったと思います。
また、Scalaの導入も日本でいち早く取り組んでいます。私がScalaに取り組み始めたのは2010年初頭で、日本で流行し始めた2012年頃にはScalaの本も出版しました。これは、米タイプセーフ社が多額の資金を調達してフレームワークを拡充させていた時期と比較しても、非常に早い段階での導入でした。
これらのスピードの理由は、私を中心とした社内技術者の新しい技術への興味・関心が非常に強いことにあると考えています。一般的にSES企業では社員の帰属意識が希薄になりがちですが、ストーンシステムのエンジニアは会社として技術力を上げるためのアクションを積極的に取っています。スマホアプリやScala導入の事例以外にも、新しいプログラミング言語の使用や、2017年のブロックチェーンのようにトレンドとなった技術にもいち早く目をつけ、書籍執筆にまで発展させています。競合他社とは比較にならないほどのスピードで最新技術・トレンドをキャッチアップしていると自負しています。
現在の事業内容と、今後の展望についてお聞かせください。
石黒: 現在の事業は大きく3つの柱で構成されています。
- FinTech DevOps Team: 金融系システム開発を行う部署で、大手金融ベンダー様や中堅証券会社様が顧客です。現在は証券系プロジェクトがメインで、口座申し込みシステムの開発やブロックチェーンシステムの開発も手掛けております。
- デジタル・イノベーション推進部: 金融以外のシステムを取り扱う部署です。大手自動車メーカー様やECパッケージベンダー様などが顧客で、この部署も社内での持ち帰り受託開発が中心となっています。
- ストーンミュージック/システム部: 米国製楽譜作成ソフトのローカライズや、楽譜浄書、楽譜出版を手掛ける部署です。日本における出版楽譜用のスタンダードフォント『Chaconne』の開発や、吹奏楽・合唱向けの合奏支援アプリ『Ensemble Friends』を開発し、国際的に展開しています。自社企画のシステム開発もこの事業部で行っています。曲作りとソフトウェア開発は似ていると思っており、構成とリズムが命です。音楽好きや音楽業界出身の社員も多く、クリエイティブな文化が技術にも良い影響を与えています。
そして、新しい取り組みとしては、2024年10月に『Smart Banking Team』を設立し、金融領域でのFinTechイノベーションを本格的に強化しました。証券中心だった事業を銀行領域にも広げていく形です。部署を任せられる人材が育ってくれたことが何よりも嬉しいですね。
会社としては、若い世代が主役となる『自然成長型組織』を目指しています。取締役社長である松丸のビジョンを、私は『後ろから風を送る』形で支援していきたいと考えています。会社は植物と同じで、環境を整えれば自然に伸びると考えています。
ストーンシステムで活躍できるのはどのような方だと思いますか?
石黒: 私たちが求めるのは、まずクリエイティブなことが好きな方です。それがすべての出発点になります。
具体的には、以下のような方を歓迎します。
- 自主性があり、主体性を持って仕事に取り組むのが好きな方。
- IT技術が好きで、新しい技術への興味・関心が強い方。
- 人の役に立つという喜びを感じられる方。
- 将来的に大規模なプロジェクトをまとめる力を磨きたい方。
- 音楽が好きで、ソフトウェア開発にも興味がある若者も大歓迎です。
新卒採用ではポテンシャルを重視しており、自由な発想で技術を伸ばしてほしいと思っています。『Boys, be ambitious』の精神で、技術で世界に向けた挑戦と将来はマネジメント視点に挑戦し、大きな価値を生み出して欲しいですね。
35年間会社を続けられたのは、社員、顧客、そしてパートナーの皆様のおかげだと心から感謝しています。35周年はまだ通過点です。これからも『やさしい便利さ』を皆様に届け続けていきたいと考えています。
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