社会人1年目を終えた社員たちへのインタビュー連載。仕事を通じて模索し続けた彼らは、社会人として、ひとりの人間として、どんな成長を遂げたのでしょうか。スパイスボックス2016年入社の2年目社員に、自身の1年間を振り返ってもらう連載です。
今回は、プランナーとしてweb広告施策のプランニングや自社の動画ニュースメディア「newStory」のコンテンツ企画・制作などに携わっている、私保坂の自己紹介をさせていただきます。
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「会社は勉強する場ではない」。自分の無力さとの葛藤に涙を流す日々
インターネットカルチャーが好きで、「デジタルの力で人の心を動かすモノづくりをしたい」と考え入社したスパイスボックス。入社後は、副社長 物延秀がトップを務める、デジタルプロモーションやコンテンツの企画立案・制作をするチームへ配属されました。
配属初日は、右も左も分からぬままスタジオで丸一日動画撮影。その後は、いきなりローンチしたての「newStory」のコンテンツ企画・制作や毎日のSNS運用を任されました。 “クリエイティブな仕事”は一見華やかに見えるかもしれませんが、撮影の準備で走り回ったり、広告主であるお客様と制作会社の調整をしたりと、実際には影で支える裏方仕事が多かったのです。
目の前のことで精一杯な日々を通して気づいたのは、会社は受け身で勉強する場ではなくて、実践する場だということ。その頃は、企画書も作れず、プレゼンでも上手く話せない自分の無力さが悔しくて、涙を流す毎日を過ごしていました。
初めて自ら手を挙げて掴んだ、憧れの人との仕事
そんな葛藤の日々を過ごしていた頃、私を見守り続けてくれたメンターの方が育児のための休暇に入ることになりました。早く自立しなくては、と焦り出した私の目にとまったのが、Webサイトと雑誌を連動させたコンテンツでお客様のアプリの魅力を訴求するという、ある広告案件でした。私が担当したのは、その雑誌部分。女性ファッション誌の見開き2Pの広告を作成するというものでした。
スパイスボックスの強みは、SNS上で生活者の話題・トレンドを収集・分析することで、生活者に“語られる”クリエイティブを企画・制作、配信し、お客様が真に伝えたいメッセージを生活者に届けるコミュニケーション設計力。案件を進めるにあたっては、まず、お客様の社名や商品に関するSNS上の声を収集・分析し、お客様が「伝えたいメッセージ」が最もシェアされるであろう文脈(コンテンツの方向性)を導き出しました。さらに、お客様のアプリ利用者となりうるターゲット像を明確化し、そのターゲットに向けてシェアされやすいコンテンツを制作することに。本施策の目的は、ターゲットにお客様のアプリを使用したいと思ってもらうこと、さらにはターゲットの持つお客様のブランドイメージをポジティブなものにすることでした。
先輩方が進めてくださった調査、分析結果をもとに、私はある女性雑誌で「仕事もプライベートも全力で楽しむ女性層」をターゲットに、ターゲット女性が「思わず共感してアプリを使いたくなるリアルなシチュエーション」を伝えるコンテンツ制作を担当することに。
そこで、私は、ターゲット女性がお客様のアプリを使いたくなるような「リアルなシチュエーション」を、イラストと共感を呼ぶハッシュタグで訴求するコンテンツを提案。イラスト制作では、「描写がリアルだ」とSNS上で話題を集めており、自分自身も大ファンだったあるweb漫画の作者を提案することを思い立ちました。
その漫画は、デザイナーたちのお仕事事情を描いたもの。ただストーリーが面白いだけでなく、登場人物が仕事に奮闘する姿や葛藤から生まれる言葉ひとつひとつに、頑張る人を励ます力があると感じていました。自分自身、仕事ができず落ち込んでいたときに読むと「よし、頑張ろう」と思える漫画だったのです。
この漫画の作者は人の気持ちをリアルに描写できるし、相手に寄り沿う表現で人を救う力があると信じていた私は、この案件を依頼するのはこの人しかいないと考えました。その気持を必死にお客様に説明し、さらに多忙なため一度は断られかけた漫画家さん本人も、自らが熱心な読者だったからこそ伝えられる最大限の熱量と愛情で口説き落とし、ついに一緒に仕事をするチャンスを掴んだのです。
夢のような仕事を手にしたことでさらに意欲がわいた私は、イラストや誌面デザインのディレクションなど、一緒に進めていた先輩から仕事を奪う勢いで動きはじめました。仕事に対して受け身の姿勢で自信を失っていた私が、初めて自主的に取り組む案件となったのです。
少しでもいいものを作るために。何度も壁にぶつかることで見えたもの
しかし、すべてが順調に進むわけもなく。大きな壁にぶつかったのがコピーライティングでした。学生の頃からライティングに関わる仕事がしたいと思っていたこともあり、張り切って取り組んだものの、ターゲットとなる女性に刺さるコピーがまったく作れず、何本出しても上司に一蹴される日々。再び自分の無力さを痛感してしまいました。
でも、この仕事は、自らの手で掴んだ憧れの人との仕事。だからこそ、「少しでもいいものを作りたい。多くの人に届けたい」と思っていました。そこで、これまでのようにただ落ち込んで涙を流すのではなく、なぜできないのかを自分の頭で必死に考えました。その結果、ターゲットとなる女性読者と自分の趣味嗜好が異なるため、ターゲットのインサイト(気持ち)を理解しきれていないことが原因だと気がつきました。
そこで、周囲にいる雑誌のターゲットに近い女性たちにヒアリングをしたり、さまざまな女性誌を買って読みあさったりと、毎日毎日研究を重ねました。デスクの周りには、ピンク色の文字や花柄が躍る雑誌が山積みに。さらには、日々読者から共感を呼ぶストーリーや絵を考えている漫画家さん本人も巻き込んでアドバイスをいただき、度重なるダメ出しを乗り越えて最後にはなんとか無事形にすることができました。
制作期間が長期にわたり、自分の拙さを日々痛感させられた案件でした。でも、書店に並んでいる雑誌のページをめくり、漫画家さんが描いた可愛らしい絵とその横に踊る自分のコピーを目にした時、初めて自分の仕事が形になることへの喜びを感じました。いいものを作ろうと模索し何度も壁にぶつかることで、モノづくりの本質的な楽しさを味わうことができた気がしました。
さらには、これまで「仕事もプライベートも全力で楽しむ女性」たちのことを、自分とは住む世界が違うとうがった見方をしていたのですが、「可愛い」へ全力で取り組んでいる女性の気持ちを調査し理解できたことで、素直にかっこいいな、と思えるようになりました。自分の視野を広げてくれたこの誌面にはたくさんの思いがつまっており、「自分の仕事です」と誇りを持っていえる大切なものとなりました。
デジタルを巻き込んだものづくりで、いつか誰かを救いたい
初めて全力で取り組めたこの仕事を通じて学んだのは、主体性を持って取り組むことで、自分に自信を持つことができること。仕事を自分事化できていなかった入社したての頃は、無力さに自信を失ってばかりでしたが、積極的に取り組むことで得意領域を広げ、自信をつけることができました。自分の取り組み姿勢が、仕事を面白くもつまらなくもさせるんだなと感じました。
だからこそ、それ以降は挑戦したい仕事に自ら手を挙げるようになりました。今は、広告のプランニングや制作にとどまらず、マーケティング(広告施策に関する調査・分析など)、記事制作やコピーライティング、そして採用広報など、様々な領域へと挑戦する機会に恵まれています。まだまだ広く浅くしか手がけられていないけれど、早くすべて自分のものにしたいです。
夢は、デジタル領域に通じた編集者になること。“ネガティブ”な自分を救ってくれたコンテンツに出合わせてくれたインターネットへ恩返しがしたいので、大好きなデジタルコミュニケーション領域にはずっと関わっていたいです。ただ面白いコンテンツを作るだけではなくて、自分が作ったコンテンツがSNSでシェアされて、どこかの生きづらさを感じている人へ届き共感してもらい、少しだけ生きやすくなるようなコンテンツを作ることが目標です。そして、一緒に仕事をした漫画家さんのように、いつか誰かの心を救えるようなモノづくりを手掛けたいな、と思っています。
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