【創業者インタビュー①】“正しさ” を「成果」と「信用」に。新しいデジタルマーケティングの世界をつくる。
SIVAの主力事業であるSquad beyond(スクワッド ビヨンド)。Squad beyondはこれまでになかったまったく新しいツールで、デジタルマーケティングの世界を大きく変えるツールでもあります。
そんなSquad beyondは、どんな思想のもとつくられたのか。そしてSquad beyondを通して実現したい世界とは——。
Squad beyondで目指す新しいデジタルマーケティングの世界について、SIVA代表の杉浦に話を聞きました。
杉浦 稔之/Founder CEO
1987年12月 千葉県生まれ。大学卒業後、システム開発会社やITベンチャーを経て、2014年に創業期のGunosy.Incに参画。圧倒的なトップセールスとして実績を残すだけでなくアドネットワークの立ち上げ、初期の自動入札機能の開発等を行い収益効率を劇的に改善。年商1億から100億までの急成長と東証マザーズ、東証一部上場を経験。2016年にSIVA.Incを設立し、マーケティングツール開発とサポートを提供する。
信用も安心も欠いていたWeb広告業界
—— はじめに、Squad beyondをつくろうと思ったきっかけや理由を教えてください。
私がこのWeb広告業界に入ったのは2014年。Gunosyという会社に入社し、広告営業に従事したところからはじまりました。
広告営業に携わる中で、もちろんWeb広告のいいところをたくさん見てきたのですが、それと同時にに良くないところもたくさん目にしてきました。
たとえば、成果を得るためのギリギリな広告表現。コレ自体は法の範疇であれば良いことだと思います。
しかし、ユーザーを騙しているような罪悪感からWeb広告を嫌いになってしまう人が多かったことは非常に残念でした。
また、成果を得てクライアントから利益を得るため、「広告掲載審査を無理やり通す」ような広告代理店が少なからず存在したのも事実でした。
せっかく一生懸命取り組んで成果をあげているのに、現場でそれを裏切られるようなことが起これば、パートナーであるはずの広告主や代理店に対しても疑いを前提に持たなければいけない。そんな気持ちをもって仕事をするのは嫌だし、すごくもったいないじゃないですか。そのような状況を改善したいと思っていたのが、まずひとつです。
もうひとつは、仕組みでこれらを解決したい。理想を言えば審査の必要のない世界を作りたいと思ったことですね。
Web広告を出すためには審査があるのですが、その審査によって「負」が生まれてしまうことがよくあるんです。
営業側は、頑張って獲得した案件なので審査を通過してなんとしても広告出稿したい。審査側は、リスク回避のために落とす前提で審査する。
そういう姿勢のぶつかり合いで、営業側と審査側でお互いを相容れないといったことがよく起こります。「〇〇さんの審査のやり方はどうだ」とか、「営業の〇〇さんは変な案件ばっかり持ってくる」とか…。
それぞれ一生懸命に仕事をやってるはずなのに、そういう負が生まれてしまうのは嫌だなと心の中で思っていました。だから、そもそも審査のない世界にできればいいんじゃないかなと。少なくとも、もっと信用を前提にした業務フローができればお互いを尊重して気持ちよく業務ができるのではないかと。
Web広告の現場にいながらそんなことを考えていたのが最初のキッカケです。
縦の業界構造がつくりだす、負の連鎖とブラックボックス化
—— そういった思いがSquad beyondの着想につながっていったんですね。悪いことができなくなったり、審査が無くなれば、Web広告業界はよりよくなるんでしょうか?
そう簡単にいかないと思っています。
Web広告はいまから20年くらい前にはじまっていて、発展する過程でさまざまなツール生まれ、そのツールを使ってWebページがつくられたり運用されたりしているんですが、各プレイヤーがそれぞれ自分の好きなツールを使って好きなように取り組んでいるので、ツールも手法もバラバラで管理しきれない状態になっています。
このようにコモディティ化し乱立する技術の発展方向と多重階層化が進む業界構造が相互に作用し問題に拍車をかけていると考えています。
——Web広告の業務環境と歴史、両方が作用していると。もう少し詳しく教えて下さい。
縦に階層化された業界構造によって関係者の業務がブラックボックス化され、目が届きにくいとということがまずあります。
広告主をピラミッド頂点にし、一次代理店から孫受け、ひ孫受けとなる広告代理店が乱立したら、一次請けの広告代理店はもう誰が何をやっているかわからないですよね。そこに個人のアフィリエイターなどが絡んできたら、もうカオスです。
広告主からすればどこの誰かわからない人が自社の商品を売っていて、それに対して報酬を払っているという状況が成り立ちます。
—— そのような構造だと、たどえばどんな悪事が起こり得るんですか?
極端な例ですが、仮に一番上にいる広告主が悪い人だったとしましょう。
「売れるから『飲めば絶対3日で10kg落ちる』“みたいな” 訴求をしてほしい」と、広告主がやんわり代理店に対して指示したとします。
そうすると、代理店から次の会社に指示が伝えられます。そしてその指示はまた次の会社に伝えられ…と、階層が重なれば重なるほど伝言ゲームになっていきます。そんな指示の伝達ではクライアントの温度感は伝わらず、最下層に指示が渡った時には、「あ、その表現使っていいんだ!」と、『飲めば絶対3日で10kg落ちる』という広告が世の中に出回ってしまう。
こんなことが起こってしまうんですよ。
場合によっては消費者庁から広告主に指導が入りますが、アフィリエイトというシステムを使っておけば、「私たちの知らない誰かが勝手に作った広告です。その会社や個人との取引を停止します」と言ってしまえば、今までの世界では逃れることができたんですよね。
—— 本当は広告主が悪いのに…。それではやったもん勝ちの世界ですね。
そうなんです。
でも、現在は経路を追えるようになってきていますし、景品表示法や薬機法も厳しさを増しています。だから実際に、逮捕者がでるようなことも起こっています。
もう世界が変わってきているんですよね。
そんなことが起こってしまわないように、誰がいつどんな作業をしたか履歴とともに可視化されれば、悪事は防げるし、逮捕される必要もない。そんな風に僕は考えていて、この信用を可視化する仕組みがSquad beyondの重要な思想のひとつです。
—— 他にも業界の課題はあるんでしょうか?
デジタルマーケティングの業務がまだまだアナログで、それが長時間労働を招いてしまっていることも、業界課題のひとつだと感じています。ターゲティングや解析タグなんかはテクノロジーの進化があるのに、それを業務で使う人たちの管理や運用が発展していないんです。
これらの課題もすべて解決するプラットフォームが、Squad beyondです。
正しさを信用と成果に変える、横構造のプラットフォーム
—— Squad beyondは課題解決にどうアプローチするのですか?
Squad beyondは、広告主・代理店・制作会社・運用者というWeb広告の関係者全員が使える仕様にしています。
先ほどツールや手法が乱立しているという話をしましたが、Squad beyondにはWeb広告に必要な、LP作成、広告運用、解析、最適化、レポート作成などすべての機能を詰め込んでいるので、全員が同じプラットフォームで仕事ができるんです。
もちろん単一組織のみでも使えるので、たとえば、広告主が普段の業務をもっと効率化したいといえばそれに対してできることがあるし、代理店が運用改善したい・広告主へのレポーティングを効率化したいといえばそれも可能だし、制作会社が制作物の納品を簡単にしたいといえばそれも可能です。
Squad beyondは広告に関わる誰もが利用できるオールインワンプラットフォームなんですが、主語が誰になるかでメリットが変わってくるツールです。
まだ正式リリースして間もないですが、
「60%以上もの工数が削減できた」
「売り上げが400%以上向上した」
という嬉しい声をたくさんいただけています。
それぞれの業務をSquad beyondで行うだけで、複雑で煩雑だった管理や作業がシンプルに簡単になっていきます。管理画面上に作業履歴が残っていくので、ブラックボックス化は食い止められるし、正しい手法やノウハウも同時に蓄積されていくんです。
そうやってSquad beyondを使うだけで、悪い手法を使わずとも自然と成果へつながるように設計しています。
また、すべてが一直線になったときに一番効果を発揮するツールでもあります。
—— 一直線とはどういう意味ですか?
つまり、ひとつのWeb広告に関わる利害関係者全員が共通してSquad beyondを使っている状態ができると最高!ということです。
僕たちが目指している世界観というのはそこにあって、横に一直線につながった時にWeb広告の健全性や透明性を担保しながら、費用対効果もしっかり向上させる。そんな世界を実現したいと思って開発・運用しているところです。
そういう一連の中で、いい手法を共有したりフィードバックしたりできれば、Web広告に関わる企業も業界ももっと良く発展できるんじゃないかと思っているので、それを実現するプラットフォームでありたいと思っています。
「信用」がより良い世界をつくる
—— Squad beyondによって、みんなが気持ちよく楽しく働けて、発展していく世界を実現できたら素敵ですね。
そうなったらいいなと思いますね。
すべてを可視化しているのは、決して誰かを捕まえたいからではありません。
正しいことをやっていた方が評価されるし、長い目で見たときにメリットにもなる。そういう世界であってほしいなと思うんです。
“全てが追えない“ことによってメリットを享受していた人が今まではいた業界でしたが、先にも話したように、これからは絶対にそうではなくなりますし、そんな新しい世界がもうすぐそこにきていると思います。
その世界で発展していくためには、やはり信用が必要じゃないですか。
「Web広告やってる人たちって、みんな信用できるじゃん!」って、そんな明るい世界になっていって、その世界にテクノロジーがかけ合わさることでさらに発展していけたらいいなというのが、僕の考えていることであり理想像です。
続きはvol.2「SIVAの歴史とともに——Squad beyondが月間広告流通額10億円を突破するまで」へ