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羊肉をめぐる冒険。「使命は羊肉の普及」

こんにちは、SHEEP SUNRISE 広報担当です。

今回は”羊をめぐる冒険”ということで、関澤社長に「羊との出逢い」や「開業までのストーリー」、「今後のビジョン」などを語っていただきました!

【開業までのストーリー】
ジンギスカンを100店舗食べ歩いたサラリーマン時代


- 開業に至るまでの関澤社長のキャリアについてお聞かせください。

僕は茨城出身で、元々は建築関係のサラリーマンをしていました。

20歳の時に地元でジンギスカンを食べて「こんなにも美味しいものがあるのか!」と感動し、そこから10年間で100店舗ほどジンギスカンを食べ歩き、32歳の時には「自分でジンギスカンのお店をやりたい」という気持ちになっていました。

その後、家族に頼み込んで脱サラし、当時100店舗ほど食べ歩いた中で、僕が一番美味しいと感じたお店、札幌の「札幌成吉思汗しろくま」というジンギスカン屋さんで、修行をさせていただくことになりました。

飲食業界が初めてだったということもあり、当初の計画では、1年間札幌で修業を積みながら、牧場で「生き物としての羊」を見て回る予定でしたが、ありがたいことに働き始めて3ヶ月ほど経った頃、”新橋店の店長になれる”というチャンスが巡ってきました。

これは独立の夢に一歩近づけるのではないかと思い、半年間という期限付きで新橋店の店長を引き受けたのですが、この時の僕は、飲食店のノウハウがほとんどない状態でしたので、店舗の売上を上げるのに非常に苦戦しました。

半年という短い期間で売上を上げるべく、試行錯誤した結果、ビジネスの基本に立ち替えようと思い、ビジネスシーンで最初に行われる ” 名刺配り ” を実行することにしました。

まずはご来店いただいたお客様に、僕たちの顔と名前を覚えていただくために名刺を配ろうということで、名刺を配り、名刺をいただいたお客様には、翌日中に「ご来店ありがとうございました。」と必ず連絡をするようにしました。

そのようにして、ビジネスシーンでは当たり前である名刺配りを続けたところ、2ヶ月ほどで新橋店の過去最高売上を叩き出すことができました。

飲食業界が初めてだった僕だからこそできたことかもしれませんが、店舗に来てくださるお客様はサラリーマンの方も多く、ビジネスシーンで活躍している方々は、そういった名刺配りというビジネスの基本を見て、評価してくださったのではないかと思っています。

ご来店いただいたお客様に対して「羊のお肉をプレゼンし、お客様を楽しませることこそが僕たちの役割であり、強みである」というベースは、この時に培われたものだと思います。

そして、半年間の任期を終えた後に開業し、2016年に「羊SUNRISE」をオープンしました。

羊肉への思い入れ「羊は鮮度が命」

- お肉の品質に対するこだわりをお聞かせください。

羊のお肉は、まだまだ”硬くて臭い”というネガティブな言葉で表現されがちです。

分かりやすい指標があって、2016年開業当時でいうと、羊肉の国民一人当たりの年間消費量はわずか200gでした。

個人的には、硬くて臭いと言われているようなクラシックなジンギスカンも好きですが、羊という生き物や羊肉を普及させるには、日本で羊肉の消費量が少ない理由というのを客観的に考えなければいけないと思いました。

実は、日本人にはあまり知られていませんが、羊は世界最古の家畜で、食肉としての歴史も非常に長く、日本以外ではメジャーなお肉です。

しかし、日本では消費量が少ないことから、流通のインフラなども整っておらず、99%以上が冷凍物に頼っているという現状がありました。

鮮度の「鮮」は新鮮さを求める「魚」と「羊」をあげてこの文字ができたそうで、その意味を守るためにも、僕はどうにかして鮮度の良い羊肉を扱いたいと思いました。

そのために、国内の牧場を回ったり、オーストラリアまで足を運ぶなどして取引先を開拓していき、その中でようやく冷凍物ではないお肉が扱えるようになったのですが、冷凍物ではない羊肉は希少性が高いが故に、今までの”リーズナブルな羊のお肉”という価値観から脱却をする必要がありました。

だからこそ、羊SUNRISEオープン当時は、ジンギスカン屋さんが1軒もなく、ジンギスカンの文化がより根付いていない場所。そして、羊肉を扱うレストランも多く美食家が集まる「麻布十番」という立地を選びました。

- 日本では羊肉の一人当たりの年間消費量が200gとのことで、普及しない所以はどんなところにあるとお考えでしょうか?

流通の在り方や品質というのもそうですが、「羊は硬くて臭い」という固定概念ができ過ぎてしまっているところも大きいと感じています。

歴史的な話になりますが、島国である日本に羊が定着したタイミングは、僕の中では第一次世界大戦中だと思っています。

当時、軍服を作るためにアメリカから生きた羊を連れてきたのが始まりで、軍服を作るために羊は100万頭近くまで増えていったのですが、戦後末の時代に、最も余っていた栄養源ということで、1、2万頭ほどまで食べ尽くされたのです。

そもそも食用ではなく、軍服を作るために育てられているため、当然、硬くて臭いので、はちみつやりんご、玉ねぎなどと一緒に醤油の中に漬け込んで食べる、ジンギスカンが生まれたと言われています。

ここで一つ「羊は硬くて臭い」という固定概念ができてしまったのですが、例えば、和牛とホルスタイン(牛乳を取ることを目的とした牛)を比べたら、和牛の方が美味しいという人が多いと思いますし、きっと羊に限らず他の家畜でも同じであったと思います。

高度経済成長期に入ると、化学繊維が発達したことで世界的にウールの需要が減速し、さらには、輸入自由化で羊産業を支える仕組みがなくなってしまいました。

その後、2000年代初頭、狂牛病やBSE、インフルエンザなどが流行し、羊以外の家畜が様々な病気にかかってしまったことで、当時、日本の焼肉屋さんが輸入が認められていたオーストラリア産のラムやマトンを仕入れてジンギスカン屋を始めたことでブームが起きました。

一時は都内近郊で、300店舗ほどにまでジンギスカン屋さんが増えていったのですが、国内で羊を生産しておらず消費量も少なかったため、良質なお肉というのがあまり送られてこなかったこともあり、「羊は硬くて臭い」という固定概念がさらに根付いてしまったのです。

なので、2016年開業当時の価値観でいうと、複数人で外食をする時のお店選びでジンギスカン屋が候補に出ても、そのうち1人は「いや~ジンギスカン臭いから苦手なんだよね。」と選択肢から外れてしまうこともあり、そういった積み重ねが、羊肉の一人当たりの年間消費量が200gになっている所以なのかなと思っています。

- 具体的に、羊肉と他のお肉の違いや利点があれば教えてください。

よく言われているのは、「L-カルニチン」という脂肪を燃焼させる栄養素の含有量が食肉の中でも多く、ヘルシーである点です。

また、脂の溶ける融点が高く、一番溶けづらい脂とも言われているので、ロースなどの脂がしっかりついた部位を食べても胃もたれしづらいです。

あとは、ここ数年インバウンドの影響もあり、日本でも羊ブームだったり、羊の消費量が増えてきている傾向にあります。アジア圏含め、世界中で羊は食べていられていますし、かつ、その時に様々な宗教の方が一堂に会した時、誰でも食べることができるお肉として、レストランなどでも扱われることが増えてきていますので、そういったところも羊肉の利点であると思います。

【今後のビジョン】
飲食事業を超えて羊肉の普及に貢献する

- 現在の事業や店舗のコンセプトについてお聞かせください。

「羊をプレゼンし、お客様に楽しんでいただく」というのが、羊SUNRISEのコンセプトです。

僕たちの役割である”羊肉の普及”というところで、やはりお店に来ていただいたお客様には、美味しいという価値観を持って帰ってもらいたいと思っています。うちでは、上質な羊肉だけを送っていただいているという自負がありますので、その美味しさというのは、仕入れた段階で羊飼いの方々が担保してくれているところがあります。

その中で、このお店で働く自分自身の存在意義を見出すためには「お客様を楽しませること」だと思っていて、これは僕自身の食体験にも紐付く考えなのですが、やはり楽しい場面やシチュエーションで食事をすることで、より美味しく感じられるというのがあると思っています。

羊という生き物や食べ方をプレゼンし、楽しんでいただくこと。そして、羊の美味しさを100%感じていただくことが、僕たちの役割であると考えています。

- 羊肉の普及について、飲食業界以外ではどのようにお考えでしょうか?

羊は人類最古の家畜ですが、食べるという側面以外にも、ウールで衣類を作れたり、皮でソファーが作れるなど、衣・食・住の全てをまかなえるところが、家畜化が早かった要因であると考えています。

日本では国産羊肉の流通が、わずか0.6%と言われている中、ありがたいことに今現在は僕たちが日本で一番、取引をさせていただいています。

開業当初は、羊飼いや飲食店業界の方々からは「国産の羊なんて余ってないから手に入らないよ。」と言われていましたが、なんとか取引先を開拓すべく、茨城の自宅からフェリーで北海道へ行き、2週間ほど車中泊をしながら牧場へ顔を出し、羊飼いの方々に僕自身をプレゼンさせてもらったこともあります。

牧場には、レストランのオーナーや料理人の方々なども訪れていたようですが、僕のように自分自身をプレゼンしたり、お肉としてだけでなく、生き物としての羊の話をする人は珍しかったようで、「ここまで羊のことを話せる人はいない!」というお言葉もいただきました。

そのようにして取引先を開拓した結果、今では日本で一番、国産の羊肉を取引をさせていただけるようになったので、羊を食べるという側面だけでなく、羊業界を盛り上げていくことが、僕の使命だと思っています。

- 関澤社長、ありがとうございました!

いかがでしたか?

羊との出逢いや、開業までのストーリー、さらには、羊肉の普及に対する熱い想いなどをお聞きすることができました。

最後にお話しいただいた「飲食事業を超えて羊肉の普及に貢献する」というところで、次回は羊肉の普及のために関澤社長が考えられている「ビジネス構想」に焦点を当てて、お話しを聞いていきたいと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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