2023年に新卒でSEESAWに入社したデザイナーの中野です。現在、SEESAWでは様々な案件でBlenderを活用したデザイン制作をおこなっています。この記事ではデザイン会社SEESAWがどうBlenderと向き合っているのかについて紹介します。
なぜデザイン会社がBlenderを使用するのか
Blenderとは無料で利用できる3DCGソフトです。
映画やアニメーションなどの映像作品やゲームの作成など、デザインの現場だけではなく幅広い業界で使用されています。
2022年ごろからデザイナーの間で徐々にBlenderを使用するデザイナーが現れてきました。当初は「自分も触ってみよう!」という興味のもと個人的に学習をおこなっていましたが、Blenderが持つ多様な機能が単なるCG画像作成だけでなくグラフィックデザインや Webデザインに応用できるものがあると感じ、実制作でもで活用し始めました。その結果、デザイン会社として表現の幅が大きく広がったと感じています。
こんなことにも使える!実制作でのBlender活用法!
実際にBlenderを制作の現場でどのように活用しているのかをまとめました。
今までにはできなかった新しい体裁での提案や新しいビジュアル表現が可能になるなどデザイン制作の幅を広げつつ、スケジュールやコストの削減といった効率化にも大きく貢献してくれました。
具体的にどう貢献してくれたのか、SEESAWの事例とともにご紹介いたします。
内装デザイン
SEESAWが総合的にブランディング(ネーミング、ロゴデザイン、ラベルデザインなど)を担当した佐賀県のブルワリー「GAME BREW」が博多駅にオープンした直営店「CONTINUE?」の店舗内装デザインを行いました。
内装デザインはSEESAWでは実績の少ない領域ですが、Blenderで3DCGを作ることによってスムーズな提案ができました。
クライアントがより想像しやすい完成形に近い状態での提案を行うために、実際の図面をもとにBlenderで店舗をモデリングし、内装の装飾や床や壁の色味、ライティングなど世界観の方向性ごとに複数のCGを作成しました。
GAME BREWの制作事例ページ
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実際に提案したデザイン案
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Blenderでの作業画面
Webデザインでの活用
東レ株式会社の半導体事業を紹介するWebサイトのデザインです。
CGレンダリング特有の物性のある質感を活かし、半導体の未来感のある世界観を醸成しています。スクロールに応じて動画が再生されるようにもなっており、このようなアニメーションを作成できるのもBlenderの特徴です。
東レ半導体サイトの制作事例
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Blenderで作成したWebサイトのキービジュアル
グラフィックデザイン、モックアップ
COEDOビールから発売されているシーズナルビールのキービジュアルデザインです。
ラベルデザインもSEESAWが担当しているのですが、製缶前の実物がない中でキービジュアルの作成を行うため、中央の缶をBlenderで作成しています。
実物の缶を観察してアルミの質感を追求したり、「青碧」は夏を感じさせるため水滴を追加するなど、グラフィックの細かなディティールまで調整しています。
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Blenderで作成したシーズナルビールのキービジュアル
また、紹介した内装デザインでご紹介したGAMEBREWでも缶や瓶のモックアップをBlenderで作成しています。
このようにBlenderで実物のようなレンダリングを行うことで撮影にかかるコストと時間を削減することにつながります。
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Blenderで作成したラベルデザインのモックアップ
アニメーション、モーションの作成
広告・マーケティングの専門誌『宣伝会議』など、多くの事業を展開するKAIGI GROUPのブランディングの一貫としてモーションロゴやモーション演出を取り入れたWebサイトのデザインをおこないました。
ロゴのシンボルマークは立体的に動かすことを前提にBlender起点で作成、それをベクターとして書き出す形で作成しています。これにより回転を行う動きがついたモーションロゴも作成することができました。
また、そのロゴのモデリングデータを展開する形でWebサイト内のアニメーションを作成。WebGLを用いた実装によりスクロールすることでシンボルマークが様々な形に変化する仕組みとなっています。
KAIGI GROUPの制作事例
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Blenderでアニメーション作成を行なったモーションロゴとWebサイト
撮影検証
オルビス株式会社が発売した低価格エイジングケア製品「ORBIS SHOT PLUS(オルビス ショットプラス)」の商品撮影にも活用しました。
実際の撮影を行う前にどのような構図や商品配置で撮影すれば良いか、商品パッケージをモデリングし、複数のカメラを配置することで検証しています。実際に現物を使った検証だと環境を整えることが難しかったり、検証できる構図も限られていたりするところ、Blenderを活用することによって低コストで自由度が高い検証が可能となりました。
ORBIS SHOT PLUSの制作事例
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Blenderを使用した撮影検証の様子

撮影検証を元に完成したキービジュアル
社内研修もおこなっています
このように表現の幅を広げてくれるBlenderですが、FigmaやIllustratorのようにデザイナーであればほとんどの人が使用できるツールではまだありません。
そのためSEESAWではBlenderを使用できるメンバーが操作方法や考え方を伝授しつつ、期間内に課題を作成する研修も行いました。
Blenderへの属人化が解消されたことにより、スケジュールの中でも安定したBlenderでの制作が可能に。特にWebデザインの企画や制作においてBlenderを活用したビジュアルの提案が日常になってきました。上記でご紹介したKAIGI GROUPの事例はそんな中で提案した制作物の1つです。
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研修で作成した作品
不定期で開催しているBlender勉強会について
Blenderの基本的な機能を活用した作品を作りながら、作品をブラッシュアップするワンポイントテクニックやおすすめのアドオン、AIの活用方法などすぐに実践で使える知識も解説しています。ぜひ参加ください。
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Blender勉強会の様子
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過去の参加者の感想
勉強会実施時にはX、Peatixにて告知を行なっておりますので、ぜひフォローください!
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