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こんにちは。
SCIENメンバーインタビュー企画を担当する松本です!
この企画では、SCIENにどんな人がいるのか。そして、どんな仲間と、どんなふうに成長していけるのか。そんなリアルで等身大のストーリーをお届けします。
今回ご紹介するのは、
「GPU環境×論文実装×マルチな現場経験」を武器に、技術とビジネスの両方を見据えて走り続ける東大3年生、向井さん。
医療系スタートアップでのデータエンジニア、地方創生のプロジェクト、花火大会の運営スタッフ、キックボクシング、金融コンテスト……。
一見バラバラに見える経験の裏には、「目的と手段を取り違えない」「現場を知ったうえで語りたい」という一貫したスタンスがありました。
AIエンジニアとしての成長と、その土台にある“負けず嫌いな学び方”について、じっくり聞いていきます 🎶
◆ 「広く浅く、でも好きなところは深く」── 東大システム創成学科での学びとこれまでの経験
Q1:簡単にご経歴(入社前・現在何をしているか)を含めて自己紹介をお願いします
向井さん:
東京大学工学部のシステム創成学科Cコースに所属している学部3年の向井です。
学科としては、いい意味で「広く浅く」工学を学ぶ場所で、機械学習やデータ分析、最近だとファイナンス系の授業を中心に取っています。会計などの授業もあって、起業家を増やす、というコンセプトの学科なんですよね。
SCIENに入る前は、医療系のスタートアップでデータエンジニアとして6ヶ月ほど働いていました。集中治療室のデータを扱っていて、看護師さんが手入力した“かなりノイズの多い”データを、アルゴリズム的な考え方でクレンジングしていく仕事です。
ただ、「やっぱりAIをちゃんとやりたい」という気持ちが強くなって、退職しました。
SCIENでは、今はシミュレーション系のプロジェクトで、VLM(Vision Language Model)など最新の知見を活かしたプロジェクトに入っています。もう1つ、OCRを使ったアプリケーション開発の案件にも関わっていて、Azure上で動かすWebアプリの実装なども任せてもらっています。
ー 大学ではAIとファイナンスを軸に学びつつ、医療スタートアップでのデータエンジニア、現在はVLMやOCRアプリの実装まで。
学部3年とは思えない「実装ベースの経験値の厚さ」に、すでにSCIENらしさを感じます…!
◆ 「起業は“目的”じゃなくて手段」── 流行に流されないキャリア観
Q2:周りには起業志向の人も多いと思いますが、ご自身のキャリア観は?
向井さん:
確かに、学科の同級生にも実際に起業してる人がいますし、「起業したい」という人は結構多いです。ただ、僕は起業そのものを“目的”にするのは違うかなと思っていて。
起業って、あくまで何か目的があったときに取りうる「手段のひとつ」だと思うんです。
「起業したい」がゴールになってしまうと、その先で何をしたいのかが抜け落ちちゃう。僕はそこまでリスクを取れるタイプでもないので、「ここで起業するのが一番いい手段だな」と思える目的が見つかったら、そのときにやればいいかな、くらいの距離感で見ています。
ー 「起業ブーム」から少し距離を取りつつ、“手段と目的を取り違えない”。
学生のうちから、ここまで冷静に構造を見ているのが向井さんらしいと感じました。
◆ 「環境がすべて」── GPUがあるからこそできる“論文実装”
Q3:SCIENのどこに魅力を感じて入社しましたか?
向井さん:
めちゃくちゃ正直に言うと、「家から近かった」というのも大きいです(笑)
あとは「AI系のことができそうだな」という直感で、とりあえず入ってみた、というのが本音に近いですね。
ただ、入ってから「ここに来てよかった」と強く思ったのは、GPU環境があることです。
普通はAWSとかGCPを契約したり、Google Colab Proを課金したりするじゃないですか。でもSCIENは、会社として高性能なGPUを自前で持っている。この環境を当たり前に持っているのはなかなかないことだし、他のインターンとの大きな違いだと感じています。
大学の授業では理論寄りの内容が多くて、GPU環境も十分ではないので、本気でディープラーニングの論文を実装する機会ってほとんどないんですよね。
SCIENに入ってからは、VLMや技術論文を実際に動かしてみる経験ができていて、「環境って本当に大事だな」と実感しています。
ー 「家から近い」から始まったご縁が、気づけば“昨日出た論文を今日動かす”環境との出会いになっているのがおもしろいところですね!
◆ 「相手の立場から逆算する」── タスクの飲み込みが速い理由
Q4:向井さんは実務での飲み込みの速さが印象的ですが、その秘訣や意識していることはありますか?
向井さん:
あまり大したことはしていないんですけど……一番意識しているのは「相手の立場で考える」ことです。
タスクを振られた時に、「この人は最終的に何が知りたいんだろう?」「どういうアウトプットだと仕事が早く進むんだろう?」ということを考えながら進めるようにしています。
資料を作るときも、「この資料を見る人は自分たちと同じ技術レベルなのか、それとも非エンジニアなのか」を想像して、どこまで噛み砕くかを調整しています。
具体的には、
- まずNotionや手元のメモに「やること」を全部洗い出す
- 優先度や依存関係をざっと整理する
- あとは一個ずつ潰していく
という、かなりシンプルなやり方ですね。
ー 向井さんの作る資料が「ちょうど知りたかったことが、ちょうどいいレベル感でまとまっている」理由は、まさにここにあるのだと思います。
タスク処理の速さは、単なるスキルではなく「相手への想像力」から生まれているのだと感じました。
◆ 「負けず嫌いだから、理解できないと気持ち悪い」── 学び方とLLMとの付き合い方
Q5:新しい技術やアプリ開発は、どのようにキャッチアップしているのでしょうか?
向井さん:
Udemyの講座を買って勉強したり、本を結構な数買って読んだりしています。勉強自体は好きな方ですね。
一方で、コーディングの細かいところはLLMにもかなり助けてもらっています。
内部のロジックやアーキテクチャは自分でちゃんと考えたいタイプなので、「こういう構成にしたいんだけど、雛形のコードを書いて」とか、「この部分のタイポを直してほしい」といったところをLLMに投げて、得意なところは任せるイメージです。
ー 勉強が好きと言える人はなかなかいない。日々の小さな学習の積み重ねが、実装の速さと成果物の正確さにつながっているのですね。
Q6:そこまで勉強を続けられる原動力は?
向井さん:
単純に、負けず嫌いなんだと思います(笑)
小さい頃からずっとテストの点数とか順位で勝負してきたタイプで、「わからない=負けている」みたいな感覚がどこかにあって、理解できないことが残っていると気持ち悪いんですよね。
本当は全部知りたいんですけど、それはさすがに無理なので、興味のあるところだけでも、自分が納得できるところまで掘るようにしています。
ー 「理解できないまま使うのが嫌」「負けるのが嫌」。
LLMを便利に使いながらも、内部ロジックには自分で踏み込んでいくスタイルは、まさにSCIENの“地に足のついたエンジニア”像そのものだなと感じました。
◆ 「イタリアン3日で退職、花火の玉詰め、金払って殴られに行く」── 現場を知るための“雑多な経験”
Q7:これまでのバイトや活動で、印象的なエピソードはありますか?
向井さん:
前は塾講師や家庭教師もやっていましたし、イタリアンレストランでバイトをしたこともあります。ただ、そのイタリアンは3日で辞めました(笑)
パスタが美味しい店だと聞いていて、「まかないでパスタが食べられる!」と期待していたんですけど、最初に出てきたまかないが唐揚げで…。唐揚げも嫌いじゃないんですけど、「いや、そうじゃない」と思って一気にテンションが下がってしまって(笑)
あとは、花火大会の運営スタッフとして、会場設営や花火玉を筒に詰める作業をしたこともあります。実家が広島県呉市で、祖父の家が農家だったり、イカ釣りをしたりと、いわゆる“地に足のついた現場”に触れる経験も多いです。
最近はキックボクシングジムに通っていて、「お金を払って殴られに行っている」状態ですね(笑)練習中に結構殴られるので、「なんでお金払って殴られてるんだろう」と思いながら通っています。
ー イタリアン3日退職、花火大会スタッフ、農家とイカ釣り、キックボクシング…。一見バラバラな経験の裏には、「現場をちゃんと知ったうえで語れる人でありたい」という向井さんの価値観が見え隠れしているように感じました。
◆ 「学生という特権で、現場と社会を渡り歩く」── 地方創生と金融コンテスト
Q8:SCIEN以外で、今チャレンジしていることを教えてください
向井さん:
今は、友人と一緒に金融系のコンテストに出ていて、ファイナンスの勉強を集中的にやっています。
それとは別に、地元・広島で地方創生に関わる仕事も少しずつやっていて、自分のバックグラウンドともつなげていきたいなと思っています。
他にも、いくつかの団体に所属していて、たぶん3〜4つくらいは平行して関わっていると思います。
でも、どれも「学生という立場で色々な現場を見に行けるのは今だけだな」と思っているので、いい意味で欲張って動いている感じですね。
ー 「学生の特権を使って、いろんな現場を見に行く」。
AIや金融のような“抽象度の高い世界”だけでなく、地方や現場にも足を運ぶスタイルは、将来「技術がわかるストラテジスト」を目指すうえで強い武器になりそうです。
◆ 「技術がわかるストラテジスト」── 目指すのは“現場に根ざしたビジネスパーソン”
Q9:将来どんな人になりたいですか?キャリアのイメージはありますか?
向井さん:
将来的には商社に行きたいなと思っています。
ただ、特定の会社名ありき、というよりは、「技術がちゃんとわかるビジネスパーソン」になりたい、というイメージの方が強いです。
現場がわかっていないのにビジネスだけを語る人って、あまり良くないなと思っていて。
そうならないように、まずはエンジニアリングのティアを上げて、技術の“外観”だけでなく、その背景や流れも含めてちゃんと理解したいです。
最終的には、技術や市場の流れを大局的に見て、「なぜ今この技術なのか」「どこに価値が生まれるのか」をストラテジックに判断できる人間になりたいですね。
ー 「技術がわかるストラテジスト」
論文実装で泥臭く手を動かしながら、社会やビジネスも見据えている向井さんの姿勢は、まさに“SCIEN発の次世代リーダー像”のひとつなのかもしれません。
◆ SCIENで得た成長 ── 「論文実装」と「資料作成力」
Q10:SCIENに入ってから、できるようになったこと・成長したと感じることは何ですか?
向井さん:
一番大きいのは「論文を自分の手で実装できるようになったこと」です。
大学の授業では理論中心で、GPU環境も限られているので、最新の論文を動かしてみる経験はなかなか得られません。SCIENでは、VLMやシーングラフなど、論文ベースのモデルを実装し、実際のプロジェクトに組み込むところまで経験できています。
もう1つは、クライアント向けの資料作成ですね。
前職ではほとんどデータクレンジングのみで、対外的な資料を作る機会はありませんでした。SCIENでは、「技術的な内容を、技術者ではない人にも伝わる形に翻訳する」というスキルが求められるので、そこはかなり鍛えられていると感じます。
ー GPU環境をフル活用した論文実装と、技術を“伝える”資料作成。
この2つの掛け算が、向井さんの「技術もわかる、話もできる」スタイルを支えているのだと感じました。
◆ 「GPUがあって、ガンガン試せる」── これからSCIENに来る人へ
Q11:これからSCIENに興味を持つ方々に向けて、一言お願いします!
向井さん:
とにかく、「GPUがあってガンガン試せる環境があるよ」ということは伝えたいです。
研究室や大学にもGPUはあるかもしれませんが、多くの場合は研究目的に限定されていたり、自由に触るのが難しかったりしますよね。
SCIENは、ちゃんとした設備が整っていて、かつ「どんどん試していいよ」という文化があります。昨日出た技術を、今日動かしてみる、みたいなことが本当にできる環境です。
技術を突き詰めたい人、現場で使われるAIに興味がある人には、すごく楽しい場所だと思います。
ー 環境と好奇心が交差する場所で、「技術をわかるストラテジスト」を目指して走り続ける向井さん。
GPUと論文実装文化、そして多様な現場経験という三本柱が、これからどんなキャリアにつながっていくのか、とても楽しみです。
次回も、SCIENで活躍するメンバーのリアルなストーリーをお届けします。お楽しみに!