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「ゲームのマダミス」ではなく「マダミス」という文化を創る。中国で人気沸騰の体験型エンターテインメントが描く新たな世界

はじめまして、株式会社Sallyです。私たちはマーダーミステリーという体験型エンターテインメントを気軽に楽しめるアプリ「ウズ」をはじめ、マーダーミステリーを起点としたサービスを制作しているスタートアップです。

マーダーミステリーは、人狼ゲームやリアル脱出ゲームのようなボードゲームの一種で、犯人や探偵などの配役に合わせて参加型でストーリーが進行していきます。

中国で爆発的な人気となり、現在は日本でもユーザー数が上昇しているマーダーミステリー。もともとは店舗で楽しむオフラインのエンターテインメントでしたが、コロナ禍という状況も相まって、最近はオンラインで遊んだり、実況動画が公開されたりと、観る・楽しむ環境がオンライン上に増えてきています。

私たちはそんなマーダーミステリーを広く楽しんでもらえるようにと考え事業を行っています。今回は、なぜマーダーミステリーに特化したビジネスを展開したのか、そしてSallyが目指す世界はどのようなものなのか。CEOの平石、CTOの茶屋の2名が語ります。

## 「チームで事業を創ってみたい」そんな小さなきっかけがSallyの原点

Sallyが会社として成立したのは2018年8月のこと。まだマーダーミステリーが日本に広まるよりも前のことでした。

実はマーダミステリーアプリ「ウズ」が誕生するのは、2020年と登記からは約2年が経過してから。それまではまったく異なる事業を展開する小さなスタートアップだったのです。


平石 「大学生くらいの頃からすでに起業して事業を創る人間になりたいなと思っていたんです。高校生の頃から文化祭のようなイベントごとで複数の人と一つのプロジェクトを実行するような経験が本当に好きで、大人になってもそういったプロジェクトを通して社会に価値を残すような営みに携わりたいと考えていました。

そういった想いから、大学在学時にはPOLというスタートアップでのインターンを経験しました。大学の先輩方がやっている事業だったのでお世話になったんですが、大企業との取引の様子や資金調達などサービスが大きく成長をしているタイミングに立ち会えたことで、起業したいという気持ちが一層強まったんです。

その他にも学習コンテンツの制作に携わるCOMPASS、プログラミング教育事業を行うライフイズテックなど複数社でのインターンを経験し、自分自身でも会社を創ることに決めました。

登記した当時はお世話になったスタートアップからビジネスモデルのヒントをいただく形でtoB向けのSaaSビジネスを行っていました。

ただ、正直toBの事業は自分ごと化できる感覚が少なく、社会人経験のない自分がやる意義というものに少し悩んでしまって……その後、toC向けのビジネスに切り替えていく過程で出会ったのがマーダーミステリーでした」

茶屋 「僕は創業後1年半ほど経過してからSallyにジョインしました。平石とは学生時代に共通の知人経由で知り合ったんですが、前のめりにビジネスに取り組んでいる姿勢がとても印象的で。なにか一緒にできたらなと思っていたんです。

僕自身も高校時代から起業して一つの会社を成長させたいという気持ちがありましたがまずは一人でもなにか創れるようなスキルが必要だろうと思い、エンジニアとしてスタートアップのインターンを経験しました。そうしてスキルが付いてきた中でSallyにジョインしtoC向けのプロダクトを複数開発しました。

その中の一つであった、オンライン飲み会ツール『wh.im(ウィム)』内で掲載できるゲームのアイデアを探していたときに見つけたのがマーダーミステリーでした」

## 中国で約2800億円の市場へと成長したマーダーミステリー。その魅力とは?

中国国内で人気が沸騰したマーダーミステリー。その人気の高さは、2021年のオフライン娯楽ランキングでは映画・スポーツに次いで第3位にランクイン(*1)したことからも伺えます。

2021年の統計によると、中国では約2800億円の市場(*2)が生まれています。日本でもだんだんとその魅力が知られていますが、まだ市場規模が算出されるほどのものではありません。

では、先んじてマーダーミステリーの魅力に着目し、ビジネスへと転換させた二人の考えるマーダーミステリーの面白さとはなんでしょうか。

平石 「人狼ゲームというと多くの人が経験していたり、見ていたりしますよね。マーダーミステリーはストーリーの付いた人狼ゲームというイメージのエンターテインメントです。人狼の役職を殺人者であったり、資産家、未亡人であったりと変えることで、さまざまな登場人物が織りなす物語の世界を楽しむことができます。

人狼ゲームでは人狼を見つける(追放する)ことが勝利条件であり、その目的に向かってゲームを実施しますが、マーダーミステリーはその特性上、勝ち負けはあるもののストーリー自体を楽しめるという没入感が魅力です。

そのため、これまではオフラインでマーダーミステリーを楽しめる専門店でのシェアが市場のほとんどを占めていました」

茶屋 「マーダーミステリーに魅了される人たちがどんな点に面白みを感じているのかというと平石が話してくれた没入感にあります。

物語がスタートする際にはあらかじめ用意された設定を記したシート(ハンドアウト)を読んで背景を理解することで、まるで自分が異世界で生きている別の人物かのような気持ちを味わうこともできるのです。

ただ、一方でハングアウトは詳細に記されているため1,000〜2,000文字のテキストで構成されています。それを読んでからでないと物語を開始できないので、人によってはその文章を読むことをハードルに感じてしまうこともあるようです。

また、物語には多くの登場人物が必要ですから、マーダーミステリーをやってみたいと思っても仲間が必要。そういった始めるためのハードルをなるべく取っ払うことで、誰でも気軽にマーダーミステリーを楽しめるような環境をつくりたいと思っています。

現在僕たちはマーダーミステリーをオンラインで体験できるアプリをメインに開発していますが、初心者におすすめの作品をレコメンドするレビューサイトを公開したり、今後はハングアウトを動画や漫画にするような取り組みも検討しているんです。

他にもVRを使用することでさらに物語の世界に入り込めるような仕組みをつくることもできそうです。マーダーミステリーに興味を持ってもらえるような入り口づくりをこれからどんどん活性化させていきたいですね」

*1・・・出典:https://www.bilibili.com/read/cv10660392
*2・・・出典:https://www.afpbb.com/articles/-/3371387

## 「マーダーミステリーというゲーム」ではなく「マダミス」をジャンルとして確立したい

マーダーミステリーを起点とした事業づくりに取り組んでいる現在、市場を生み出すために実現したいことは尽きません。その構想の一つに、マーダーミステリーを活用したクリエイターエコノミーの醸成があります。

平石 「マーダーミステリーは面白いことにあらゆる設定の物語が存在します。一度遊んだら物語の結末を知ってしまい二度は遊べないという性質上、日々新しい物語が誕生しているんです。

そして、そういった物語はクリエイターの方々によって生み出されているコンテンツ。つまり、マーダーミステリーを広める過程では、シナリオを創るクリエイターの存在が必要不可欠なのです。

実際、すでにマーダーミステリーのシナリオライターとして活躍している方の中には、有料のシナリオを提供することで生計を立てているという方も存在するほどです。

そういった新しい仕事を生み出すことができるのもマーダーミステリーの魅力の一つ。いずれ人気の作品が登場したら、IP展開することで広く認知されるタイトルが生まれていくかもしれませんよね」

茶屋 「その他、『ウズ』や弊社で開発しているマーダーミステリー専用エディタ『ウズスタジオ』も、どちらも新しいプロダクト。走りながら修正を続けてきている状況なので、今後さらなるアップデートを行いたいですし、加えて新しいサービスやプロダクトもどんどん開発していきたい。

僕たちと共にあらゆる観点からマーダーミステリーを育ててくれるエンジニア、デザイナーなどのクリエイターも探していきたいと考えています。サービスの成長にコミットしてマーダーミステリーの楽しさを届けたいと思ってくれる方と出会っていきたいですね」

平石 「今、マーダーミステリーは“ゲーム”の一種として捉えられています。しかし、僕たちが目指したいのはゲームとして知られる世界ではなく、マーダーミステリーがジャンルとして確立し、誰にでも伝わるエンターテインメントとなる世界。

『映画を観る』『スポーツをする』と同様に『マダミスで遊ぶ』と話してもらえるような、エンターテインメントの開発に全力で携わっていきたいです」

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