※この記事は代表の野村が2025年4月に『RightTouch公式note』に掲載した記事を転載しています。
誰しも一度は、サポートにたどり着けずに困った経験があるはずです。
問い合わせフォームは深く、チャットは自動応答。
電話番号は、どこにも載っていない。
いま、3.1兆円と言われる日本のカスタマーサポート市場の多くが、「いかに問い合わせを減らすか」という視点で最適化されています。
私は、そんな現場で「本当に困っている顧客の声」が届かず、大切な価値が置き去りになっている瞬間を何度も見てきました。「数字ばかりが優先され、顧客への理解をおろそかにしている」現状をどうしても変えたかった。
“負の体験”を一過性のクレームで終わらせるのではなく、真摯なサポートを通じて顧客との共創に昇華させたい。これが、私がRightTouchを立ち上げた原点です。
目次
“違和感”が事業になる瞬間
「なぜCSにKARTEを?」という違和感から始まった
「3社の成功は、偶然か?」——仮説を持って市場に出た日々
“挑戦の器”をつくるという決断
構造そのものに挑むために、会社を創った
「声を減らすCS」から「価値を生むCS」へ
サポートから始まる経営変革
“顧客の諦め”をなくすために、問い続けるチーム
最後に
“違和感”が事業になる瞬間
顧客企業に深く伴走する中で、2020年後半に思いがけない事業機会に出会いました。顧客企業との対話から生まれた閃きが、やがて新たなビジネスへと成長していく過程は、起業家としての私の原点です。
「なぜCSにKARTEを?」という違和感から始まった
私がプレイドに転職した当初のミッションは、同社のプロダクト「KARTE」をさまざまなエンタープライズの顧客接点で活用できるようにすることでした。
KARTEは、ユーザー行動をリアルタイムに可視化し、オンライン体験を最適化するツールとして定評があり、大手企業のマーケティング部門で続々と導入が進んでいた時期です。
当時主流だったマーケティング活用とは異なり、3社から立て続けに「CSでKARTEを使いたい」と相談が来たとき、最初は“違和感”でした。けれど私たちはそれを偶然とは思わなかった。長崎(現共同代表)とともに、「この違和感の正体」を探っていったのです。
初期プロジェクトが始動してから、わずか数ヶ月。私たちの想像を超えるスピードで、顧客企業の中に変化が現れはじめました。
「問い合わせ対応の中で、お客様の“本当の困りごと”がようやく見えてきました」
「単なるFAQじゃなくて、“文脈を読んだサポート”って、こんなにも違うんですね」
「KARTEを入れてから、うちのCSチームの空気が変わり、マーケティングの部署とも建設的にデータを見ながら会話できるようになったんですよ」
この変化を確かなものにするため、私と長崎は、導入の意思決定者(champion)と徹底的に対話を重ねました。
・製品に直接関係のないエリアも含めて、部門全体の重要課題を抽出
・自分たちの強みで解決できる課題と、そうでない課題を切り分け
・仮説をもとにラフ提案をつくり、何度も議論
・顧客企業のchampionが社内を巻き込み、実証フェーズに移行
・現場に浸透した結果、KARTEの評価だけでなく、CS部門そのものの見られ方が変化
この一連のプロセスは、普通のSaaS導入では決して起こらないレベルの深さだったと思います。
「ここまでやるパートナーは他にいない」と、顧客企業から言ってもらえたとき、私たちは確信しました。——このCS領域には、まだ誰も本気で取り組んでいない“余白”がある。これこそが新しい事業の芽だったのです。
もちろん、最初から確信があったわけではありません。「これは本当に事業になるのか?」「今までの使われ方と違いすぎるのではないか?」——そんな迷いや懐疑の声も、頭の片隅には常にありました。
それでも、現場の変化が、日々その迷いを塗り替えていったのです。
「3社の成功は、偶然か?」——仮説を持って市場に出た日々
目の前の顧客企業に深く伴走するなかで、たしかに手応えを感じていました。けれど、それが本当に“市場全体に通じる兆し”なのか、自分たちだけでは判断しきれない。私と長崎は、あらためて視座を引き上げ、市場そのものの輪郭を掴みにいくことにしました。
CS領域で実績のあるリーダーや実務担当 / 有識者を訪ね歩き、市場の輪郭を掴むための情報収集を開始、同時に自分たちの仮説をぶつけて回りました。並行して、展示会に出展し、そこで出会った企業のCS責任者と数多くの1on1を重ね、最初の実証実験の成果をプロトタイプとして提案していきました。
その結果、確信しました。最初の違和感となった3社のプロジェクトは、単なる成功事例ではない。顧客企業に深く向き合った先に、確かに“市場の痛み”があった。そしてそれは、まだ誰も本気で取り組んでいない、手つかずの可能性でもありました。この確信が、RightTouchという挑戦の起点になったのです。
“挑戦の器”をつくるという決断
新たな事業の芽を見つけた後、私はその可能性を現実のビジネスへと育てるため、本格的な準備に取り掛かりました。その過程で直面した選択と挑戦について、ここで共有したいと思います。
構造そのものに挑むために、会社を創った
このテーマに本気で取り組むなら、どんな制約もない状態でやりたかった。それが、RightTouchを立ち上げた最大の理由です。
当時のプレイドでは、大手企業のマーケティング部門と向き合いながら、着実なスケールを目指すフェーズに入っていました。一方、私たちが挑もうとしていたCS領域は、プロダクトの使われ方も、価値の出し方も、組織に入り込む深さも、すべてが異なっていた。
この違いがある以上、たとえ同じ会社の中にあっても、リソース配分や投資判断の局面ではどうしても「本体の優先順位」が影響を及ぼすことになります。そしてそのたびに、「今が攻め時だ」と思っていても、全力でアクセルを踏めない。その状態こそが、私たちにとっての最大のリスクでした。
“スピード感と集中力”は、初期フェーズの事業にとって生命線です。私たちは、そこを誰かに握られたままでは、この事業は育たないと直感していました。だからこそ、リソースや意思決定の構造ごと、新しく創る必要があり、「社内創業」という選択肢をとったのです。
プレイドの支援を受けながら、RightTouchという法人格を立ち上げ、自分たちの手で、自分たちの意思決定構造と事業サイクルを最初から組み立てる。
その器ごと立ち上げることでしか、CSという“長く深いテーマ”には正しく向き合えないと判断したのです。これは逃げでもわがままでもなく、この領域に本気で挑むうえで最も誠実なやり方だったと、今でも信じています。
「声を減らすCS」から「価値を生むCS」へ
私たちが変えたいのは、CSが「事業に直接貢献しないからコストでしかない」と見なされてきた構造そのものです。たとえば、CSのKPIが「問い合わせ件数の削減」になっている企業では、フォームの入口をあえて分かりにくくしたり、電話番号を隠す設計が今も当たり前に存在します。
一時的には対応件数が減り、コスト削減効果が出たように見えるかもしれません。でもその裏で、本当に困っていた顧客は声を届けられずに離脱していく。現場の担当者は、それを誰よりも理解しています。
けれど、「件数を減らすことが良いこと」とされる仕組みの中では、顧客に向き合おうとする行動ほど、評価されにくくなってしまう。
私たちは、この構造を3つの視点からCSの未来を創っていきたいと考えています。
1. テクノロジーと人間性の融合
AIが定型業務を担い、人は“文脈のある問い”に集中する。温度ある対応ができるCSへ。
2. 受動から能動へ
「問い合わせが来てから」ではなく、「つまずく前に手を差し出す」支援へ。
3. コスト部門から価値部門へ
CSの声を経営や開発に直接還流。サポート現場が戦略の起点になる。
私たちが目指すのは「カスタマーサポートを通じて、企業と生活者の関係性を進化させる」ことです。世の中には優れたプロダクトやサービスがあっても、顧客がそれを使いこなせずに終わるという構造的な課題が存在します。
企業のポテンシャルが100%、生活者に届く世界をつくりたい。その実現の鍵こそが、これまで過小評価されてきたCSにあると信じています。
サポートから始まる経営変革
RightTouchが向き合っているのは、3.1兆円とも言われる巨大なCS市場。その中でも私たちが注目しているのは、構造的に価値が埋もれている“現場”の変革です。多くの企業でカスタマーサポートは、評価されにくく、経営から遠い場所に置かれています。
しかし私たちは、既にいくつかのリファレンスカスタマーと共に、その前提を覆すような挑戦を、事業として積み上げ始めています。CSの現場で拾われた声が、経営や開発の意思決定に反映される。
サポートのナレッジが、組織全体の改善サイクルに還流していく。CSが単なる“問い合わせ対応”ではなく、企業の“変化の起点”になる。そんな動きが、確実に生まれつつあります。
その変化を支えるために、RightTouchではAI SaaSとして、各ワークフローに生成AIを組み込みながら、現場の業務構造と独自データを活用し、AIエージェントとの掛け合わせによって、より大きな事業創出も見据えています。
サポート体験そのものを進化させるだけでなく、SupportTechという新しい産業の先頭に立ち、 CSの価値を“企業の成長の一部”として社会に根付かせたい。そう本気で考えています。
そしてこの取り組みは、まだ始まったばかりです。今ここには、共に新しいスタンダードを築こうとする顧客資産と、変化の臨界点にある市場、そして、理想から逆算したプロダクト構想が揃っています。
ここから、RightTouchがどう変えていくか。ぜひ、続きを一緒につくっていけたら嬉しいです。
“顧客の諦め”をなくすために、問い続けるチーム
私たちが目指すのは、「サポートを起点に、顧客と企業の関係を進化させる」こと。そのためには、現場の違和感を見逃さず、それを構造的に捉えて再設計できるチームが不可欠です。
RightTouchでは、誰かが仕様を書き、誰かが売るという分業体制ではなく、顧客の声や行動から“問い”を立て、それをチーム全体で検証し、プロダクトとして形にするというアプローチが日常になっています。
- セールスとして目の前のユーザーと対話しながら、「この機能、わかりづらいですよね」と、使いこなせない理由を一緒に掘り下げてきた人。
- エンジニアとして仕様通りに動かすだけでなく、「この導線、本当にユーザーに伝わるか?」とプロダクト全体の体験を考え続けてきた人。
- PdMとして要求をまとめる前に、「本当に必要なものは何か?」を、現場の実情と照らし合わせて言語化してきた人。
私たちはそれぞれの専門性を持ちながらも、全員が「プロダクト担当」であるという自覚を持ち、職種を越えて問いを交差させられるチームがあります。
この密度と視点の交差こそが、RightTouchの空気をつくっています。「ユーザーの気づきが、そのままプロダクトになる」——そんなスピードと連動感を、私たちは当たり前のように持ち合わせているのです。そして何より、「顧客になり得る誰かがサービスを諦める瞬間」をなくしたいと思っている仲間がいます。
もしあなたもそう思うなら、きっとこのチームにしっくりくるはずです。この挑戦を一緒に進めていける仲間に、出会いたいと願っています。
最後に
RightTouchが目指しているのは、単なる業務効率化でも、テクノロジーの力で“人を減らす”世界でもありません。私たちは、プロダクトやサービスがきちんと使いこなされ、本来価値がまっすぐに伝わる社会をつくりたい。
それは裏を返せば、「このサービスに助けられた」「ちゃんと向き合ってくれた」と心から思える企業が増えていく社会のことです。そうした“愛される企業”が当たり前に存在し、選ばれ、広がっていく未来。その実現に、カスタマーサポートという視点から本気で挑んでいます。
もしあなたも、そんな未来を一緒に見てみたいと思ってくれたなら。その一歩を、RightTouchから踏み出せたら嬉しいです。
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