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会話のキャッチボール

4月1日。今日から社会人として新たなスタートを切る方も多いのではないでしょうか。今回は、約10年前の新卒1年目の時に苦労を味わい、それを乗り越えて2024年1月からRight Brothersの執行役員に就任している淺野さんに話を伺いました。

淺野さん:
2013年3月に早稲田大学を卒業後、インターネット関連事業を行う上場企業に就職。2017年12月にIT系スタートアップに転職し、Webメディアの運用経験を積む。2019年8月に個人事業主として独立し、主にコンテンツマーケティングの支援をしていたところ、2020年12月にWantedlyを通じてRight Brothersと出会い、今に至る。

この記事のポイント:
・コミュニケーションスキルが向上するかも
・営業で結果を出せるようになるかも
・仕事のモチベーションが上がるかも

実はトップセールスだった

ー 淺野さんって、もともと営業だったんですよね?(全くイメージできない)

大学を卒業後、GMOインターネット株式会社(現GMOインターネットグループ株式会社)に就職すると同時に、クーポンメディアの運営を行う子会社に出向して営業職に就くこととなりました。
ただ、実は僕は人見知りで、初対面の相手とのコミュニケーションも苦手でした。そんな僕が営業を担当することになってしまったものだから、当然のことながら結果を出すことができず、1年目は部署内でほぼ最下位の成績でした。自分では頑張っているつもりでも、結果が出ないのであれば意味がありません。上司からも厳しい指導を受ける日々が続き、次第にモチベーションも下がっていきました。
ところが、そんな僕が2年目にトップセールスの成績を叩き出せるようになったんです。その理由は2つで、1つは上司が変わったこと。もう1つは、「ソーシャルスタイル」を身につけたことでした。

ー 詳しく教えてください。

1年目の上司は、どちらかというと体育会系の気質でトップダウンの指導に特徴がありました。同じく体育会系の気質がある同期入社のT君は、その上司の教えを素直に聞き入れて行動に移すことができ、営業で圧倒的な成果を残して、グループ全体の約80人の新卒社員を対象にしたコンテストで新人賞を獲得しました。セルリアンタワーの地下にあるイベントホールに数千人の社員が集まる中、彼がステージに上がって堂々とスピーチをしていた姿は、ちょうど10年経った今でも鮮明に覚えています。正直、ものすごく悔しかったというか、劣等感に苛まれました。

ー そこからどのように這い上がったのか、気になります。

GMOに入社して2年目、僕は別のチームに異動することになりました。このタイミングで新たに上司となったHさんは、それまでとは違って文化系で、マネジメントスタイルが正反対でした。今でも忘れられないのが、Hさんのチームに入った初日に、Hさんから「淺野君が納得できないことは無理にやらなくていいよ。でも僕は淺野くんに納得してもらえるまで説明するから」と言われたことです。その瞬間、なぜか心が軽くなり、「この人についていこう」とモチベーションが回復しました。
Hさんは、それから本当に何度も僕と向き合い、営業としてほとんど結果を出せていない僕の意見にも耳を傾けて、そして僕の気持ちに寄り添ってくれました。そのHさんに対して、いつしか僕は信頼感を抱くようになっており、Hさんの言葉を信じて素直に行動するようになっていました。この時の経験が、その後の仕事における僕の原点となりました。
念のためお伝えしたいのは、「1年目の時の上司が悪かった」と言いたいわけではなく、単純に僕とのコミュニケーションの相性が合わなかったのと、僕の能力が低かったということです。実際、同期入社のT君は新人賞を獲得していたわけですし。

人間は4つのタイプに分かれる

ー 淺野さんが身につけた「ソーシャルスタイル」についても伺いたいです。

モチベーションが回復してきたところで、Hさんのさらに上長にあたるマネージャーのIさんから教わったのが、心理学者のDavid Merrillが提唱した「ソーシャルスタイル」でした。これが僕の人生を大きく変える武器になります。
ソーシャルスタイルについては、䋆井さんが別の記事でも紹介してくれていますが、要するに「誰かと共に物事を進めるためには、相手のタイプに応じたコミュニケーションを取ることが重要」ということです。
その見分け方はいたってシンプルで、「行動基準が論理的か感情的か」という軸と「自己主張が強いか弱いか」という軸によってテーブル型のマトリクスを作り、4つのタイプに当てはめればいいだけです。

・自己主張が強く論理的:ドライビング型
・自己主張が強く感情的:エクスプレッシブ型
・自己主張が弱く論理的:アナリティカル型
・自己主張が弱く感情的:エミアブル型

ー それぞれ、詳しく教えてください。

まずドライビング型に関して。こちらは経営者に多いタイプで、理由や過程よりも結論や結果を重視しており、レスポンスが早く簡潔なコミュニケーションを好みます。「結論、なにが言いたいの?」と言ってくるような人の多くが、このタイプです。

それとは対極にいるのがエミアブル型で、このタイプの方を相手にした場合は、まず本題に入る前に人間関係の構築に努めます。相手の気持ちに共感し、こちらのことを信用してもらえるように働きかけることが、遠回りのようで近道になります。「どうすれば心を開いてくれるだろうか?」ということを考えて接するようにすれば、結果は後からついてきます。

エクスプレッシブ型は、あまり先のことを考えず、ノリと勢いで「今を生きる」ようなタイプです。このタイプの方と接する時は、メリットやデメリットなどを論理的に訴求するよりも、「楽しい」「おもしろい」などポジティブな感情を共有することが大切です。

そして最後がアナリティカル型です。こちらは分析的な思考を持つタイプであり、僕もここに該当します。アナリティカル型は、他人から何かを勧められたり押し付けられたりすることに不快感を覚え、自分自身が納得するまで行動に移すことができない傾向があります。このような人を相手にした場合は、一定の距離感を保って本人が自分の意思で決断するのを待つことが有効です。

ー これらをどのように身につけたのでしょうか?

営業時代、アポイントを獲得するために数十件の電話を毎日かけ続けていましたが、僕はその都度「今の相手はドライビング型だな」とか「今の人はエミアブル型かもしれない」などと分析し、それをメモに残して、再びそのお客様に電話をする際の参考にしていました。
その地道な努力の末、徐々に相手のタイプに応じたコミュニケーションを取れるようになり、結果として入社2年目の後半からトップセールスの座を掴みました。最終的に、電話越しの相手の「もしもし」という一言だけで、ある程度は判断できるようになっていたと思います。

コミュニケーションは受け手が決める

ー 最近もソーシャルスタイルを意識されていますか?

営業で結果を出せるようになった時には、反射的に相手のタイプに応じたコミュニケーションを取れるようになっていたので、それからはほとんど意識しなくなりました。
ただ、ありがたいことに仕事の悩みや相談をしてくださる方が何人もおり、その方々に対してソーシャルスタイルの知識を共有していくうちに、あることに気がつきました。

ー あること?

どうして野球のキャッチボールをする時は「相手がキャッチしてくれるように投げる」のに、会話のキャッチボールになると「自分がうまく投げる」ことばかりを意識する人が多いのだろうか、と。もともと僕自身が後者側の人間だったので、その気持ちは分からなくはないのですが、こちらがどんなに綺麗にボールを投げたとしても、相手がキャッチする準備をできていなければ、ボールは落ちてしまいます。場合によっては、相手の体にぶつかって怪我をさせてしまう可能性もあります。
ボールを投げる時のタイプを先ほど紹介したソーシャルスタイルに当てはめると、おそらく次のようになります。ただし、あくまで「傾向」の話なので、これが絶対というわけではありません。

・ドライビング型:
 ボールを投げてから「投げたぞ!」と相手に大声で叫ぶ。
・エクスプレッシブ型:
 ボールを投げた直後から別のことを考えている。
・アナリティカル型:
 相手の体勢を見てからボールを投げ、その結果を分析する。
・エミアブル型:
 相手のところまで駆け寄ってボールを手渡しする。

ー なんとなく理解できました。(笑)

僕はアナリティカル型なので、相手がグローブを構えているかどうかを確認してからボールを投げ、その後の検証まで行いたい。ただし、これは僕にとってのスタンダードであって、このコミュニケーションスタイルが絶対に正しいと主張したいわけではありません。場合によっては、ドライビング型のようにボールを投げてから「投げたぞ!」と相手に大声で叫ぶほうが良いケースもあります。一つだけ言えるのは、「コミュニケーションの起点は自分ではなく相手にある」と考えるようになってから、僕の人生は好転したという事実だけです。

ー 今後の抱負や目標について教えてください。

僕の現在のモットーは「相互理解とリスペクト」です。この気持ちと価値観を大事にしながら、これからも人の役に立てるような人材になっていきたいと考えています。
また、GMOの時に僕を伸ばしてくれたHさんのような存在になりたいです。いま結果が出せていない人も、本人が地道に努力を継続していれば、あとは「周囲の理解とほんのちょっとのきっかけ」で化けることができるはずだと信じています。

ー 最後に、なにか伝えたいことはありますか?

ポッドキャストでも『Night Brothers』という企画でいろいろおしゃべりしてるので、興味のある方はぜひ聞いて、そしてフォローしてくださいませ。
あと、Right Brothersが転職を支援させていただいた方々の体験談『Bridge』も、䋆井さんが心を込めて執筆しているのでよろしくです。


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