三浦 裕/データエンジニア
2019年、新卒で人材教育を主軸とする会社に入社。営業およびITインフラ業務を経験した後、「データを活用して企業の課題を解決したい」という思いから2020年にクイックに入社。人材紹介事業のデータ分析基盤運用、領域別の分析から施策立案・実行まで担当。現在はAI活用を見据えた基盤高度化やデータガバナンスを推進中。
最近始めた趣味の登山では、残りの人生で日本百名山の登頂を目指している。
「データエンジニア」という職種は今、かつてないほど市場から求められています。しかし、すでに完成されたデータ基盤の「保守・運用」を担うのと、「全社を巻き込むデータ基盤の『思想』と『文化』を、ゼロから自分の手で組み上げる」のとでは、得られる機会も経験値もまったく異なります
今回は、クイックに「データ活用の波」を起こすべく発足したプロジェクト『AI_Data Lab』の推進者であり、データエンジニアの三浦裕さんに「クイックでデータエンジニアとして働く圧倒的な面白さ」を聞きました。
競合が「AI自動化」へ走る今、クイックが目指す「真逆」のAI戦略とは?
――三浦さんが率いる『AI_Data Lab』は全社的にも注目のPJですね。その取り組みが評価されて、三浦さんはWeb本部賞(※)も受賞されました。
改めて『AI_Data Lab』がクイックの中でどんなミッションを担っているのか教えてください。
ひと言でいうと、クイックのデータ活用基盤を根本から整え、自社サービスにAIをビルトインするための「土台(スタートライン)」を作ることです。人材紹介を足がかりに、最終的にはグループ全体が保有する膨大なデータを一元管理する巨大な構想を描いています。
すでに競合他社はLLM(大規模言語モデル)を利用したAIを続々とサービスに組み込んでいます。当然、私たちも1秒でも早く開発を進めなければなりません。
※挑戦的な取り組みをした、高い成果をあげたなど、Web本部内で最も活躍したメンバーを表彰するもの。受賞者は半期ごとと年間で選出。
――他社に後れを取るわけにはいきませんね。AIによって競争が激化するなか、クイック独自の「勝ち筋」はどこにあると考えていますか?
ここがポイントなんですが、私たちは競合と同じ方向を向いていません。
AIだけで職務経歴書の添削から求人紹介、面接設定まで「すべてを自動で完結させる世界」を目指す競合企業は少なくありません。しかし、クイックが目指すゴールは真逆です。私たちがデータとAIを使って実現したいのは、これまでクイックが磨き抜いてきた「人による介在価値」を最大化することなんです。
――人による介在価値の最大化とは、どういうことでしょうか?
情報が氾濫し、誰もがAIから同じようなレコメンドを受け取る時代だからこそ、求職者さんに誠実に寄り添い、その決断を後押しすることや、顧客企業と血の通った信頼関係を結ぶといった「人にしか生み出せない価値」が圧倒的な意味を持ちます。
AIにできる作業はすべてAIに任せ、コンサルタントは「人にしかできない本質的な業務」に100%専念する。そんな理想を実現するために、AIを最強の伴走者にする。これが私たちの描く未来です。
――まさにこれからのHRビジネスの土台を作っているんですね。
これまでユーザーファーストのサービスを追求してきたクイックは、ユーザー心理やサービスの付加価値を定性的に深く思考してサービスに落とし込むことが得意です。ただ、まだまだ伸び代はあるはずで、ここにデータ活用による定量的な分析が加われば、まさに”鬼に金棒”だと思ってるんです。
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洗練された自社独自のデータで競合優位性を生み出す
――クイックのAI開発は、今どういうフェーズにあるのでしょうか?
AI開発ができるデータプラットフォームの整備を進めています。昨年11月から進めてきたDatabricksの導入検証が終わり、この4月から本格稼働に入りました。
AIをサービスに組み込むには、まずはデータを根本から整備し直す必要があるんです。これまでのように「主に表やグラフで可視化するため」にデータを整備するのではなく、AIが正確に読み取れる形にデータを整えて、AIによる学習や人による深い分析ができる状態を作る必要があります。
このときもう一つ重要なのが、クイックの圧倒的な競合優位性を作る「データの新陳代謝(データライフサイクル)が高速で回る状態」を実現することです。
――??データの新陳代謝が高速で回る、とはどういうことでしょう?
LLMを使ったAI開発で、クイックは後発です。ただAI開発ができるようになっただけでは競合に到底勝てません。勝負の分かれ目になるのは、サービス向上に活きる「自社にしかない独自の高品質なデータ」をどれだけAIに学習させられるか。AIのアウトプットを向上させるには、AIに学習させるデータの品質が重要です。
だからこそ、本当に価値あるデータだけが残り、学習に不要なデータは消えていく―。そんなサイクルを高速で回し続ける必要があります。常に洗練された自社独自のデータでAIを育てていけば、確かな競合優位性が生まれるはずなんです。
――おお! データの品質ってそんなに重要なんですね。
はい。だからこそクイックのデータエンジニアは、データプラットフォームの構築(データエンジニアリング)だけでなく、データガバナンスの策定やデータマネジメントの実施なども担います。
今後の業務としては、AI開発に有益なデータパイプラインの構築やLLMに渡すビジネスコンテキスト(オントロジー)の整備なども見据えています。
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クイックには「やりたい熱量」に120%で応える組織風土がある
――まさにクイックの未来に関わるAI開発ですが、それを進める三浦さん自身の行動力も凄まじいと聞いています。自ら動いて関連部署をどんどん巻き込んでいったそうですね。
新しい基盤を安全に本番環境へ繋ぐには「インフラチーム」の力が必要ですし、デリケートな個人情報を扱うためのセキュリティチェックは「情シスチーム」、予算やコンプライアンスは「管理部門」と、多くの部署の力を借りなければなりません。
スピード感を持って開発を進めるためにも、とにかく「お願い!!」と助けを求めて巻き込んでしまいました(笑)
――Databricksの資格も取得したとか?
何か問題が起きたときに、私自身が対処できないと話にならないなと思って。家には0歳の娘がいるので、もちろん業務と育児の合間にですが、30時間ほど勉強して資格を取得しました。
――かなりの熱量で取り組んでいることが伝わってきます…。インフラやセキュリティのことも学んだそうですね。
Databricksの導入に向けて、インフラチームや情シスに何か依頼するとき、私が知識を持たないまま「なんかいい感じに基盤を作りたいです」とフワッと依頼したら、相手にめちゃくちゃ翻訳の手間をかけさせてしまう。それが嫌だったんです。「せめて関係部署のスペシャリストたちと、同じ目線・共通言語で話せるようになろう」と思って基礎的な解説書を買って読み込みました。
――その姿勢に周囲のメンバーはどう応えてくれたのでしょうか?
驚くほどの熱量で返してくれましたね。なかには4時間も質問攻めにしてしまったメンバーもいて…(笑)
――4時間も質問攻め!? いったい何をしたんですか?
インフラチームのあるメンバーに話を聞きにいったときのことでした。現在のクイックのインフラ環境の図をホワイトボードに描いてもらって、「このインフラ構成図の、この線はどういう意味ですか?」「この記号は?」とひとつひとつ教えてもらったんですが…。
なんと4時間もの間、嫌な顔ひとつせずに私が理解できるまで丁寧に噛み砕いて説明してくれて、本当にありがたかったですね。
――そこまで付き合ってくれるってすごいですね。
データエンジニアって、自分の専門領域だけをやっていればいいわけじゃないんです。インフラや情シスはもちろん、時には営業部門とも一緒にチームワークを発揮しなければなりません。
インフラや情シスは多忙ですし、新しいツールの導入に対して保守的な会社もあると思います。でもクイックには、誰かが熱量を持って『これをやりたい!』と踏み出したとき、自分の直接の担当業務じゃなくても、決して“他人事”にせず“自分事”として120%の熱量で背中を押してくれる人たちが集まっています。
部門間で垣根のある会社もあると聞きますが、クイックは事業部間の関係性も良好で、Web本部と営業部門が同じ方向を向いて泥臭く一緒に議論ができるんですよ。
一例をあげると、今、Localで稼働していたプラットフォームをクラウドに移行する取り組みを進めているんですが、私から営業部門にクラウド移行の意義を伝えたところ快く受け入れてくれて。現在は移行に向けて営業部門と一緒に進行しています。私がBIツールで読むためのデータを作り、営業部門でBIツールでグラフや表を作ったりするなど、役割分担をしながら進めてきました。
クイックのこうした風通しの良さ、チームワークの良さは、エンジニアにとってもこれ以上ないほど働きやすい環境だと断言できますね。
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データと向き合うと寝食を忘れるくらい没頭してしまう
――三浦さんご自身は、どのようにして「データエンジニア」という天職に巡り合ったんですか?
私はもともとデータに関わる仕事がしたくてクイックに入社したんですが、はじめてデータ整備に触れたのは、あるサービスのデータ基盤を構築するプロジェクトを任された時でした。やってみたらこれがものすごく楽しくて。
その後、決定的な転機となったのが、社内のデータを一元管理するプロジェクトの立ち上げでした。あるデータ抽出ツールの更新をきっかけに「データ活用が叫ばれる中、会社としてもデータを一元管理して整備しないとマズいのでは?」という声があがり、「じゃあ、私がやってもいいですか?」と手を挙げたところからプロジェクトが発足したんです。
――そうやって手を挙げた人にチャンスが与えられるのもクイックの良さですね。
いざ腰を据えて調べてみると、事業部・チーム間でデータの定義がバラバラで、「データ活用のスタートラインにすら立てていない」ことがわかりました。何とかしなければならない。この時強く感じた危機感は、いまのDatabricks導入にまで繋がる原動力になっています。
データの処理をしている時間って、寝食を忘れるくらい没頭できるんですよ。たとえば、アメリカ式の日付(月/日/年)を統一するとか、カンマの有無を揃えるといった地味なクレンジングの作業って、普通の人は「面倒くさい!」と投げ出したくなると思うんですが、私は全くネガティブに思わず楽しくやれちゃうんです。
――すごい…それはもうある種の才能です!
そうやって整備したデータを渡した時に、みなさんが「ありがとう!」と言ってくれる。これは全身に鳥肌が立つほど嬉しくて、自分の仕事が役に立ってると感じることができましたし、「自分はこの仕事が好きなんだ」と思えました。
――ご自身の適性に気づいたことが大きな原動力になっているのですね。
はい。ただ、だからこそ気をつけていることもあります。目の前の業務にのめり込むあまり、本来の目的からズレたアウトプットを出してしまわないよう、常に目的を意識して業務に当たっています。
たとえば、各部署から「効果検証のためにデータを出してほしい」と相談が来た時も、ただ言われた通りにデータを渡すのではなく、「どんな効果検証をしたいのか」を一緒に考えるようにしています。
というのも、正しいデータ活用ができないと、間違った事業判断に繋がってしまうからです。極端な話、データが3件しかないのに「ユーザーはAよりBを好んでいる」なんて、言えないですよね。だから、時には「目的を踏まえると、違うデータの取り方がいいかもしれません」と、こちらから提案することもあります。
――徹底した目的思考ですね。
現在はクイック全体を巻き込む巨大なプラットフォーム構築を進めていますが、「事業拡大やサービス向上に繋がるか」という視点を見失えば、それはただのコストになってしまいます。それはどんな仕事でも同じで、私だけでなくクイックで働くすべての人が、常に目的を問い続けることを意識しているはずです。
そんな組織だからこそ、クイックで働くことでデータエンジニアとしての技術的な専門性に加えて、ビジネス価値を最大化する能力が身に付くと確信しているんです。
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「AI時代のあるべきHRビジネス」の土台づくりに挑戦しませんか?
――今後の展望について教えてください。
なによりまず、AI開発ができるデータプラットフォームの実装を急ぎます。
実装できれば、Geminiと会話するように自然言語で質問するだけで、裏側でプログラムが生成・実行され、数分で分析結果が返ってくるような世界が実現します。他社ではすでにできているようですから、決して夢物語ではありません。
――AIとどんなやり取りができるようになるんですか?
たとえば「前年同期と比べて、KPIの進捗は好調?」と聞けば、「エントリー数の低下により、不調です」と返ってきたり…。ゆくゆくは、なぜエントリー数が低下しているのか、その要因まで押さえてくれるようになるでしょう。ここは他社ともどこがいち早く実現できるか競争ですね。
目下、クイック独自のデータでAI開発ができる土台を、来年(2027年)の3月までに作ることを目標としています。そこから4~5年かけて運用を安定させ、データの新陳代謝が自動で回り続ける状態を作るのが理想です。
――とても大きな構想ですね。
ただ、この構想を実現するには、もっとデータエンジニアが必要なんです。今の体制だとカバーできる範囲にも限界があって、AI開発を推進していくにも、運用を安定させるにも圧倒的に人手が足りません。もし私が倒れたら、クイックのデータ基盤が全部止まっちゃうなんていう、全然笑えない状況なんですよ(笑)。
だから「絶対にデータエンジニアチームが必要だ」と組織に提案して、人材要件の整理や求人票の作成まで任せてもらいました。今はHR部門と連携して、面接やカジュアル面談にも入っています。
――組織づくりにまで奔走されてるんですね。では最後に、クイックへの入社を検討している方へメッセージをお願いします。
クイックでは、自ら手を挙げた人にはどんどんチャンスが与えられますし、やりたいことを実現するために周囲を巻き込んで前に進めていける組織です。能動的に考え、行動できる人にとっては申し分ない環境だと思います。
そんな環境に魅力を感じてくれる人と「AI時代のあるべきHRビジネス」を実現するための土台づくりに、高い熱量を持って一緒に取り組みたいですね。
AIが生み出した時間で、われわれの強みである人間力を存分に発揮できる世界を一緒に実現しましょう。AIと人が共創する「データ文化」を共に創り、最高の未来を目指しましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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