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オーナーは、一番槍を入れた人。

スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。
新規事業開発を成功へと導くために「未来の物語」を書く事業作家として働く中で考えていることを、書き留めています。


職業、事業作家。(毎週月曜日更新予定)|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantum(クオンタム)のクリエイティブ担当役員であり、事業作家である川下和彦が、日々新規事業開発に取り組むなかで考えていることをまとめたマガジンです。
https://note.com/kazukawashita/m/mf634b5615c93


ここまで、新規事業のアイデアのつくり方について紹介してきました。


マシン脳とアニマル脳。|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。「事業作家」として、未来の物語を書く中で得た気付きをnoteにまとめています。 前回は、製品やサービスをつくってからPRの方法を考えるのではなく、開発の川上工程から 「ニュース性=人に伝えたくなること」をプリインストールすることの重要性 について書きました。 今回も引き続き、 ...
https://note.com/kazukawashita/n/neb9e3c768cae

ここから、そのアイデアを具現化していくチームのつくり方について書きていきたいと思います。

突然ですがここで、1つ質問があります。
皆さんは、普段どのようにしてプロジェクトマネージャーを決めているでしょうか。

ある程度の社歴があり職務経験豊富な人や、既存事業で実績をつくってきた人をリーダーに立てるケースが多いのではないでしょうか。

確かに、ビジネス経験豊富なリーダーが自ら周りが惚れ込むような新規事業アイデアを捻り出し、オーナーシップを持ってプロジェクトを推進していくことができれば、まさに鬼に金棒と言えるでしょう。しかし、新規事業開発に関しては、既存事業で功績を挙げたからと言って、必ずしもオーナーにはなれないというのが、わたしの考えです。

例えるなら、既存事業の遂行は「出来上がった航路を進む航海」です。船の行き先がわかっている乗組員と共に、いかに事故なく効率よく船を進めるかが重要で、旅の途中に起き得るリスクの予測やトラブル発生時の対応という観点で、繰り返しの職務経験が大きくものを言うように思います。

一方、新規事業開発は「未知への冒険」です。いくら準備したところで、想像もつかないようなリスクやトラブルが起こることもしばしばです。そんなとき、北極星を示し、乗組員を結束させ、船を進められるのは、繰り返しの職務経験ではなく、まぎれもなくそのプロジェクトに対するオーナーシップです。

ですから、わたしは新規事業開発においては、先にプロジェクトリーダーを決めるのではなく、沈潜の中からブレイクスルーするアイデアを生み出し、その実現に向けて並々ならぬ情熱を注ぐことのできる人をプロジェクトオーナーにすることを推奨しています。

そんなことを言っても、例えばそのプロジェクトオーナー候補が、職務経験が浅い人であった場合、オーナーが務まるのかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。そんなときは、オーナーよりも職務経験が豊富なベテランで脇を固めればよいのです。そう言うと今度は、そのオーナーに歴戦のいぶし銀社員を率いることができるのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自分よりも経験や能力がある人をうまく巻き込んで北極星へと向かって進んでいくことはオーナーにとってまさに最初の試練であり、そうした能力をプロジェクトを通して培っていくべきだと、わたしは考えます。

既存事業の経験の多寡ではなく、新規事業アイデアのブレイクスルーを生み出した人、言い換えれば、アイデア開発という戦場で「一番槍(戦場で最初に敵陣に槍を突き入れること。また、その人。最初に手柄をたてること。)をいれた人」をプロジェクトオーナーに据え、オーナーにはない、あるいは、オーナーよりも優れた専門性を備えたメンバーでプロジェクトを支えることができれば、未知の世界に向かう船は嵐の中の荒波を乗り越え、北極星へとにじり寄っていくことができるのだと思います。

次回も引き続き、新規事業開発におけるチームのつくり方について紹介していきたいと思います。

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