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資金調達、CI策定、求人募集。Psychic VR Labが次なるフェーズへ

XRのスペシャリストが集う、株式会社Psychic VR Lab。誰でもファッションやアート、カルチャー、音楽、ライフスタイルに特化したXR(VR/AR/MR)の制作や配信ができるツールを提供する「STYLY」を手がけている。

同社が目指すのは、XRによって進化していくであろう人類の未来の担い手となり、黎明期を担う企業としてその責任を全うしていくことだ。



XRが世の中を変える。その未来に確信を持ちながら、2014年の設立当初(2016年に法人化)からひたすらに手と頭を動かしてきた。そして2021年、これまで辿ってきた道を振り返り、CI(コーポレート・アイデンティ)策定を行った。完成したCIについて、山口征浩代表と採用担当の水谷享平執行役員には格別な納得感があったという。

CI策定をひとつのきっかけに、Psychic VR Labはいよいよ次のフェーズへ突入しようとしている。「XRが人類の超能力を解放する未来」に共に熱狂できる、新しい仲間を心待ちにしながら。

(執筆:小山内彩希/撮影:藤原慶/取材・編集:くいしん

‟バイブス”共有からCI策定へ

── まずは、CI策定へ至る経緯を教えてください

水谷 2020年末に資金調達を行い、組織としてどんどん拡大していくフェーズに入ったことがきっかけです。大前提として、これまでたしかにCIはなかったんですけど、今回策定したCIのミッションとビジョンに連なる部分は、すでに山口さんが会社ホームページで文章化していました。

しかし、「これがミッション」「これがビジョン」と共通理解となるワンセンテンスはなくて。30人規模の社内で、なんとなくみんなが会社のバイブスを共有している状態でした。

山口 水谷さんが入社する前くらいは、ミーティングもせず「阿吽の呼吸でわかる人間以外は採用しない」みたいなことを言っていた時期もありましたね。議論するよりも手を動かせ、のテンションでやっていた時期があったんですけども。

水谷 阿吽の呼吸だからこそのメリットもある一方で、共通理解になっていない部分もあることに気づいたんです。もともと弊社のミッションに「人類の超能力を覚醒する」という一文がありました。

でもあるとき、エンジニアによる週一ミーティングで、「結局、超能力ってなんなの?」ということが積極的に議論されていたことを知ったんです。そもそも30人規模でもちゃんとした共通理解がなかったことを痛感しました。これから組織が拡大していくとなると、不文律のまま今の空気感を担保していくのはさらに難しくなってしまうだろうと懸念しました。

なので、新しく人が入ってきたときのために共通理解の言語化が必要だったのはもちろん、社内としても様々な意思決定するときに指針となる言葉が必要だったんです。そこに資金調達の流れもあって、CIを策定するにはいい機会だと、着手することになりました。

山口 一旦、社内に多少の秩序をもたらすという感じですよね。まぁ、最終的にはそれを僕がぶち壊すんですけど(笑)

水谷 ええっ!?(笑)。

山口 取りまとめようとしている水谷さんの前で言うのもアレですけど、今はテクノロジーの進化で社会のシステム、ひいては世の中の仕組みまで大きく変わろうとしているとき。なので、今回のCIを元に一旦はしっかりと組織の形をつくってはいくんだけど、そんなものは作ったり壊したりしながら進化させていけばいいというのが根本にあります。

再整理した「ミッション」と「バリュー」。真新しい「コンパス」

── 策定したCIの内容を教えてください。

山口 CIは大きく三段階に分けました。我々は何のために存在するのかという「ミッション」と、我々が提供する価値は何なのかという「バリュー」、そして、我々はどうあるべきかという「コンパス(行動指針)」です。

この三段階に分け、長・中・短期的な視点を、地に足がついた形で定義していこうとしました。

水谷 ミッションとバリューに関しては、これまで社内で話してきたことの再整理ができたんじゃないかと思います。

山口 まずはミッションについて。我々は何のために存在するのか──この答えを「人類の超能力を解放する。(FREE INNER CREATIVITY.)」とし、改めてミッションにしました。僕らは2014年にPsychic VR Labを立ち上げているのですが、きっかけはその頃に市場で出回りはじめた民間型のVRヘッドセットを使って、大きな可能性を感じたからでした。

山口 これは単なる映像や情報を提示する装置ではなく、人間を進化させるほど大きなポテンシャルを持ったテクノロジーだと感じたんです。このテクノロジーで人間そのものが変わる。そこの「人類の進化に貢献したい」想いを、「人類の超能力を解放する」と表現しました。

また特に事業を通して、ヒトや企業の創り出す力、うちに秘めたクリエイティビティを解放していくというメッセージを「FREE INNER CREATIVITY.」という文言に込めています。

そういった思いがある中で今回、僕たちの中で再定義して共有しておく必要があったのが、「そもそも僕たちは何であり、どういう時間軸に存在するのか」についてでした。僕たちは、今が人類のレベルの転換期で、人類の考え方の前提となる部分が大きく変わろうとしていると思っています

新しい技術によって、現実とバーチャルリアリティ、生命と機械、生と死、これらの違いについての前提が大きく変わり、人々の考え方や哲学も変わってくると考えられますが、今がまさにその過渡期にあると考えています。そもそもビジネス的な価値観、たとえば「人々が収益を上げないといけない」という価値観や企業の仕組みそのものも、僕たちの生きている時間軸の中で変わる可能性が高いんじゃないかと考えてきました。

そういう未来を想像し、そこに対して事業を生み出していく中で、「黎明期を担っているスタートアップ企業は、ビジネスだけでなくもっと本質的な役割が大きいんじゃないか。世の中が良くなったり悪くなったりする中での人類の未来に対しても、自分たちが本当に責任を全うする企業でありたい」。ミッションに紐づく部分でこういった思いを再定義し、共有しました。

── Psychic VR Labは、空間の情報レイヤーを自由自在に操れる時代に基盤となるサービス「STYLY」を提供しています。ミッションの「人類の超能力を解放する」ために、バリューはどういった内容に整理されたのでしょうか?

山口 僕たちが再整理したバリューは、「STYLY」を通して「空間を身にまとう時代」をつくる(=CREATE A NEW-LAYER OF LIFESTYLE.)」ことです。

山口 前提として、僕たちはXR型のグラスを日常的に身につける時代が来ると考えています。どういうことかというと、コンピューターで作られた空間自体を体の一部として生活の中に取り入れていく時代が来るということです。

たとえば、インターネットやコンピューターも従来は仕事や学術的研究、表計算など、目的に合わせて立ち上げていた時代がありましたけど。iPhoneの登場でインターネットを人々が身にまとったまま街に出ていくというような、ライフスタイルに溶け込んでいく変化があったわけです。

XRも黎明期の今はまだ、ゲームのため、研究のため、不動産のためなど目的に合わせて使われています。しかしその後は、ライフスタイルの中で体の一部として生活に溶け込んでいくフェーズになるんじゃないかと考えているんです。

そういう世界の中で価値を提供していくということを、僕たちはしていかないといけないんじゃないかと、バリューを考えていく上で再確認しました。

「身にまとう」と表現したのは、服もそうですけど、自分の体と一体化するまでライフスタイルに溶け込む意味合いを含めたかったからでした。

水谷 ミッションとバリューはこれまで社内で話されてきたこと・やってきたことの再整理だったけれど、コンパス(行動指針)に関しては、今まで全くなかったものを新しく創り上げました。実際の業務に即した、明日から使えるものが必要だな、という背景から生まれたのが、5つのコンパスです。

水谷 まず、コンパス1は「プロセスまでクリエイティブか?」。どんなことをやるにしても、やり方から工夫していくことが大事、ということです。コンパス2の「『最高』に執着しているか?」は、技術にしてもビジネスにしても、XRという業界的に「試すだけでもすごい」の側面があるからこそ、そこに甘んじずにきっちりと圧倒的な結果に結び付けたい思いから生まれました。これは僕らが関わることの多いアーティストの方々の、アウトプットに執着する姿勢へのリスペクトの表れでもあります。

コンパス3は「ものさしを磨いているか?」。やっぱり多様な価値観に触れて世界を見る解像度を上げていかないと作るものが小さくまとまってしまうという、危機意識から。そしてコンパス4は、「打席に立ち続けているか?」。この業界はそもそも、当たるものと当たらないものが読めない側面があります。かつその流れが変わるのも早い。だから一つのことに執着する一方で、どんどん新しいことに挑戦していかないと生き残れないという意識から設定しました。

最後はコンパス5、「尊敬と覚悟を備えているか?」。仲間のことや関わる人々のことをひとりの人間として尊敬して接し、ともに覚悟を持って行動できるかという意味合いを込めています。

明文化されてはいませんが、5つのコンパス全体への思いとしては、社員一人ひとりが「自分はPsychic VR Lab出身だからこういう考えが身についているんだ、と誇れるもの」にしようと、作りました。

また今回、CI策定にあたり、アンケートを取って社員全員の意見を聞いたんです。結果的にみんなの熱い思いを知れた良い機会だったし、それをちゃんとCIに反映させていこうという気持ちも強くなりましたね。実際、特にコンパスについては、基本的にアンケート結果を元にして作ったものになっています。

Psychic VR Labの未来、求めるのは四六時中XRな人

── CI策定により社内の共通理解も深まり、新たに人を採用していくというフェーズに来ました。ここから向かう未来を、どのように描いていますか?

山口 まずは想像する前提として、さっき出たグラス型XRの話ですが、ここから10年ほどの間で浸透していくんじゃないかと思っています。それも、スマホと同じように10億人の単位で日常的に使用する人が増えていくのではないかと。

生まれるマーケットとしては、たとえば1日8時間そのデバイスを見ている人が10億人いたとしたら、年間では「8時間×10億人×365日=3兆時間」ほど、XR世界と現実世界が重なる状況が生まれてくる。つまり、いまだかつてないサイズのビジネスの土壌が生まれるわけです。今後はおそらくそこのシェアを取り合うビジネスになってくる。

その後の10年はXR世界がインフラ化していく時代になるでしょう。人間の精神と肉体と近いところに、僕たちが提供していく「STYLY」が入り込んでいくような。そして次の10年で、人類が進化していくところまで進むんじゃないかと予想しています。

山口 なのでPsychic VR Labとしては、直近の10年は、人々の生活の中に「ライフスタイルOS」としての「STYLY」が基盤として入り込んでいくというのが目標の一つ。そしていろんな企業とシェアを取り合う競争をしていく中で、一つ1,000億円程度の事業を10個ほど立ち上げたい。そこを担ってくれる人が来てくれたらいいなと思っています。一緒に成長しながら、僕らもそこを目指して生きたい。

水谷 その規模感の事業をつくれるという前提で、応募が来ますかね(笑)。

山口 市場の黎明期の面白いところは、個々の力で会社も成長するし、それで世の中自体も大きく変わるところじゃないですか。個人の熱量、強い信念で組織も市場も変えることは、このタイミングでしか味わえないところでもあるし、その環境で働きたい人が来てほしいですね。

あんまりね、安定していると思われると困るというのはあります。社会保険もあるし、有給休暇もあるけど、調達した資金は来年全部使っちゃう予定なので(笑)。安定なんて、うちにいたら一生来ない。

水谷 どうなるかわからない業界な上、理屈じゃないところである種の宗教のようにXRがくる未来を信じている人ばかりを取ろうとするから、採用が難しくなっているんですけど(笑)。あとやっぱりXRが好きと言ってもその方向性はたくさんあるので。うちの会社のカルチャーが合っているのかも含めて、今回のCIはチェック項目になれると思うので、ぜひ見ていただきたいです。

山口 つまりどういう人が来てほしいかと言うと、昼はXRと「STYLY」に向き合って仕事をして、土日はXRと「STYLY」で遊んで趣味もして、夜になるとXRと「STYLY」でうなされるような……。大げさだけど、それくらいXRに惚れ込んでいる人。そういう感じのテンションで一緒に働けるといいなぁと考えています。

水谷 そうですね。それに加えてこれからは、XR以外の領域で活躍されている方がうちを受けたことがきっかけでXRにハマって、入社してくれるという流れが増えてくれると嬉しいなと思っています。XR業界自体がまだまだ黎明期の狭い業界ですから、どんどん新しい風を取り入れていきたいです。

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