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世界中の人材マッチングの最適化を目指すポーターズの原点

ポーターズ株式会社は、人材ビジネス向けのマッチングシステムをクラウドで提供するHR Tech企業として成長してきました。顧客が目的を達成し、心から満足するサービスを目指すーーこの想いを胸に、人材の可能性を信じ続けてきた代表取締役、西森康二の創業ストーリーを紹介します。

業界に先駆けたプロジェクトを率いて感じた想い

「スタートラインに立ったら、いつも1番になりたくてドキドキする」という西森。お客様や社会など自分の外にあるもののために仕事をしたいし、ポーターズもそういう会社にしたいといいます。そんな西森のキャリアの原点は、社会人をスタートしたリクルートでした。

1990年代前半、西森はリクルートで、求人広告媒体の営業として大手商社を担当。そのクライアントで、業界に先駆けた大規模プロジェクトが行なわれることになり、西森はその求人広告を取るために奔走しました。

先方の採用目標は正社員60名、パート300名という大規模なもの。西森は商談を進める中で、先方のニーズは総勢360名の採用ではなく、半年後の事業稼働開始のために採用した人材がうまく動くことである、と気付きます。

そこで、「人材の採用だけでなく、教育なども含めた総合的な人材サービスを提案することが必要だ」と感じた西森は、当時の上司に了解を得て、その採用オーダーに対し、広告・採用戦略、教育プログラムなど、半年後の稼働開始に向けた総合人材サービス提案を行ないました。プロジェクト側は、その提案に全面的に合意。一円も値引き交渉せずに発注しました。

そこから西森の挑戦ははじまりました。通常、求人広告媒体は人材の獲得にコミットはしません。広告の掲載の対価をいただくからです。

人数にコミットする義務のない広告営業の常識を覆し、そのプロジェクトにおける人材のプロジェクトマネージャーとして半年間クライアントのもとに出向。採用人事、教育、経理や庶務などの実務担当として席を設けてもらいました。対象となる食品を知るために工場のラインで実際に作業したことも。

半年後、正社員・パート360名の採用と教育を終了し、事業を無事に開始することができました。

この経験を通じて西森は、ビジネスにおける新たな目標を見出します。

ひとつは、マーケットが何を求めているのかを調査し、製品開発しお届けするという、バリューチェーンづくりをやってみたいということ。

当プロジェクトの様子を間近で見る中で、西森はバリューチェーンの仕組みが大変合理化されていることを感じました。こういったバリューチェーンの仕組みを普及させることで、企業や社会に規模感をもって貢献できるのではないかと思ったのです。

そしてもうひとつは、お客様の目的にコミットする仕事がしたいということ。採用求人のオーダーという表層のニーズではなく、お客様とゴールを共有する仕事がしたいと感じました。

また、当時のリクルートは求人広告の会社から人材総合サービス企業を目指しはじめた時期。この西森の手掛けたプロジェクトは、必要な人材を集め、教育して提供するという人材総合サービスの成功事例として、リクルートの中でまさに『プロジェクトX』のように取り上げられました。西森にとってもこのプロジェクト成功が起業の原点となったのです。

人材情報マネジメント実現への道


その後、西森は新規事業のコンサルティングをする会社に転職し、人材獲得の支援をします。新規事業の立ち上げ時、多くの経験を積んでいる経営者人材や立ち上げの障がいを突破していく優秀な人材をジョインさせることは、その事業の成功を左右する、つまり事業を成功に導くのは“人”ということを強く再確認することとなりました。

そこで事業を支援する毎に人材ニーズの高まりを感じ、人の採用を支援する人材紹介事業を社内で立ち上げることに。

しかし、実際に人材紹介を行なってみると、自分ひとりの時は自分が動けば成約がもらえましたが、チームメンバーやCA(キャリアアドバイザー)を増やすほど生産性が落ちていきました。

当時起きていたのは、求人と求職者の情報とその推薦決定までのプロセスが全員で共有されていないという問題でした。そこで、それらの情報を全員で有効活用すれば生産性が上がるのではないかという確信が強くなっていったのです。

当時同僚であったポーターズの共同創始者である渡邊智美とは業務プロセスの整理や、生産性向上のための情報共有の在り方などをとことん話し合いました。動かずにはいられなかったふたりは、人材紹介の情報マネジメントを可能にするシステムの設計をはじめ、プロトタイプを3カ月ほどで作成。

ちょうどそのころ、労働市場への規制緩和が続き、人材紹介の参入障壁がなくなり人材紹介事業者が増加し、優秀な経営者人材がマーケットに入ってくるようになったという背景がありました。西森は情報の活用により、人材紹介業界そのものが発展し、ひいては企業の成長支援が促進される、やるのは今しかないと確信するようになりました。

その確信は、「考え抜いたものは創れる」という西森の信念に基づくもの。

人材紹介業界であれば、どういうツールがあるべきなのかについて、ずっと考え抜くことができるという自信が西森にはありました。

そして、ポーターズが生まれます。西森38歳の8月のことでした。

七転び八起きの創業後


▲創業間もないころのオフィスにて


ポーターズ設立後、西森と渡邊で昼間は人材紹介業でなんとか会社を切り盛りしながら、夜間にシステムの開発を進めました。開発会社に払う資金を借金して、なんとか『PORTERS プロ・エージェント』ファーストバージョンをつくり上げます。

PORTERS プロ・エージェントは人材紹介業を行なうために必要不可欠である「顧客(企業情報、求人情報と転職者情報)管理」「求職者管理」「マッチング」「プロセスマネジメント」などの機能を網羅した業務管理のASPサービス。

当時は開発会社への発注のスキルも低く、思ったものと違うことが多かったので、プログラム修正を自ら行なうなどしてシステムを改善していくしかありませんでした。資金も尽き、会社の残高が6万円になったことや、社会保険料も払えず、消費者金融を8軒回ってカードをつくって、400万借金したこともあります。

営業はというと、当時ASPという概念があまりなく、さらに人材業界はデジタル化が大変遅れており、システムのニーズは多くありませんでした。

しかしセミナーなど地道な活動で、ASPサービスのアイデアに共感してくれるところを少しずつ集めていきました。併せて紹介事業者だけでなく、その先の求人企業でも仕事と候補者の管理システムへのニーズの高まりを感じて、求人企業向けの採用管理システム『プロ・リクルーター』という製品を開発・販売開始したところ、予想以上に反響があり、業界トップを行くIT企業など大手企業に導入することがでました。

この勢いでさらに販売を拡大しようとしていたところ、ソースコードを開発会社に持ち逃げされるという事件が発生。今では考えられませんが、そのソースコードは他社から同じサービスとして売り出されることに。当時リスクマネジメントがまったくできていなかったため泣き寝入りするしかなかったのです。

ただ、これを機にPORTERS プロ・エージェントの販売に集中することができ、大手の紹介会社にも導入して頂くことができました。ユーザーが増えるとお客様は現実の課題を突き付けてきます。システムが安定稼働すること、足りない機能に対する強い要望などをいただき、飛躍的にシステムとして進化していきました。

その結果として、PORTERS プロ・エージェントは『V2(バージョン2)』まで進化し、リーマンショックまでは毎年対前年170 %の成長を実現。

しかし、リーマンショックをきっかけに、既存ユーザーが対前年60%に。新規ユーザーが40%取れていたこともあり、なんとか採算はとれていたものの、ポーターズのような小さい会社が経済の影響を受けるということは経営努力が足りないのではとあらためて感じました。

人材紹介だけのシステムではなく、あらゆるマッチングに活用できる自由な構造のシステムをつくる必要があると感じた二人は、新しい製品開発に着手。そして、2012年にPORTERS HR-ビジネスクラウドをリリースしたのです。

世界中のマッチングプロセスを支え、企業活動を活性化していく存在を目指して


▲2018年1月の賀詞交歓会にて。2018年、ポーターズはミッションを再定義した


『PORTERS プロ・エージェント』および『PORTERS HR-ビジネスクラウド』のご導入社数が1,500社を超えました。人材紹介ビジネスでは高いシェアを誇るシステムとなっており、毎日多くのお引き合いをいただいていて、大変感謝しています。

2014年には海外でのサービス提供に着手し、現在では世界11エリアで利用されているうえ、派遣事業向けのソリューションも提供しており、少しずつですが他業種で利用されるようになってきました。

創業15周年を過ぎ、ユーザー様や社員も増えた今でも、ポーターズの起業の時の想いを大切にしています。それに加えて今後のポーターズを導くミッション(使命)を2018年にあらためて定義することになりました。

マネージメント陣と合宿をしてたどり着いたポーターズの使命は、『Matching, Change your business』 。

企業が成長するには間違いなく人材が重要。最適な人材をスピーディに獲得できるのは企業にとって価値があります。われわれのサービスによって企業が最適人材を見つけ、事業をすばやく展開するために、スピーディにマッチングできることを追求していくという姿勢をミッションに込めました。

今後は事業開発のスピードを上げていき、事業開発型の組織に転換していきたいと考えています。一般的に新規事業の成功可能性は7%と言われていますが、人材マッチングに関する事業開発のスピード、エリアを広げていくことに取り組んでいます。

また、ポーターズのカルチャーである、『顧客が目的を達成し心から満足するサービスを目指し、自ら行動する』ことが社内に浸透してきているので、さらに強い組織を目指していけるはずです。

考え抜いたものは創れるという信念は今も変わりません。

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