This page is intended for users in Singapore. Go to the page for users in United States.

「日本の学生はなぜ博士号を取得しないのか?」について考えてみた

初めまして!
株式会社POLでインターンシップ生として働いている伊藤嘉玖と申します。

本記事では、現在日本の研究領域を取り巻く課題と、POLがこのLabTech(研究×Technology)領域に取り組む社会的意義について、自身の経験を交えながら取り扱っていきたいと思います!

この研究領域にまつわる課題は、文理問わず多くの方に認知していただきたい問題です。
POLのビジョンである「研究者の可能性を最大化するプラットフォームを創造する」を実現するためには、少しでも皆さんの課題意識を高めることが重要であると考え、今回筆を執りました。

以下の目次に沿って、説明していきます。

1. 日本の研究者を取り巻く環境とは

2. 「放浪する頭脳」ポスドク問題

3. 若い研究者のポテンシャルを最大化できる社会に

——日本の学生は、なぜPh. D. (博士号)を取得しないのか?

これは昨年参加したとある国際学会で、私が実際にされた質問です。この質問をした彼は、現地の大学院で研究する博士課程の生徒でした。

日本の学生が博士号を取得しない理由を、単に国民性や文化の違いであると断じることは簡単です。
恥ずかしいことに、私はその場において彼の質問に明確に答えることができませんでした。

それでは、日本の研究者を取り巻く環境とはいったいどんなものでしょうか?

1. 日本の研究者を取り巻く環境とは

日本における博士号は大学卒業後、大学院の修士課程へ進み、博士課程を修了することで取得可能です。

しかし、大学院へと進む理系学生の大半は、修士課程を修了後、企業へと就職します。
実際、私の所属する研究室でも博士号を取得する学生はほんの一握りです。

一方、アメリカでは修士課程へと進む者の大半が博士号を取得し、企業へ就職もしくは大学に残って研究を続けます。修士号はあまり意味を持たず、むしろ博士課程をドロップアウトした者へ送られるような学位でしかないという側面もあると言います。

——日本とアメリカでなぜこのような差があるのでしょうか。

実際に多くの研究者と触れ合っていく中で、大きく二つの理由が浮かび上がってきました。
それは、博士課程中のバックアップ制度と修了後の就職先です。



アメリカにおける博士課程では、大半の場合で授業料免除かつ在学中に給与が存在します。
ところが日本では、授業料が免除となる仕組みは一般的ではないがあるものの、在学中の給与に関しては、特定の奨学金を除けば存在しません。

また、アメリカの企業では博士号を持つ者を多く採用するのに対し、日本では博士号を敬遠する企業すら存在します。日本企業では、専門性より人間性を重視する雇用慣行が維持されているためです。そして、入社後も研究で培った専門性は評価されにくいとされており、アメリカと日本では博士号取得者の年収には大きな開きが存在します。

「社会」に出ても稼げないため、博士課程の学生の75%は研究者としてのキャリアを歩むようです。
詰まるところ日本で博士課程に進むということは、一般企業に進むことをあきらめ、研究者として生きていくことになるということです。

——なるほど、日本の学生が博士課程に進みがたい現実が透けて見えてきました。

2. 「放浪する頭脳」ポスドク問題

——それではアカデミアの世界に残ることを決心した、研究者のキャリアはどうなるのでしょうか?

博士課程修了後、研究機関で任期付きの職に就いている研究員をポストドクター(ポスドク)と言います。ポスドクは大学の研究室もしくは国の研究機関などで、研究予算獲得のための申請書の作成や論文を執筆することが主な仕事になります。

ポスドクの雇用形態は基本的に任期制です。そのため、任期中に一定の研究業績を上げることができなければ、すぐに解雇になることも少なくありません。そして、すぐ次の仕事に転職できるとも限りません。

日本の研究力の根幹を担う若い研究者が、将来のキャリアも描けず、不安を抱えながら放浪する。
これが「ポスドク問題」です。

私自身、研究室に在籍している優秀な博士課程の先輩が、次の就職先が見つからず苦労している姿を見るのは心苦しいものがありました。

ちなみに欧米では博士課程を修了後、ポスドクとして複数の研究機関を周り、複数の研究領域の知見を得たのち、大学の正規職員もしくは民間企業の研究職に就くのが一般的なキャリアパスになっています。

——ポスドク軽視のしわ寄せとは?

日本でイノベーションを生む源泉が枯れつつあります。

近年、日本の科学技術は衰退の一途を辿っています。上記のグラフは、各国の人口当たりの論文数を算出したものです。
この結果は私も衝撃的でした。アメリカや中国の研究力が高いことは容易に想像がつきますが、日本より経済規模の小さいハンガリーよりも下回るとは考えられませんでした。

——現在日本で起きている「研究者離れ」が根本の原因ではないかと考えます。

近年の日本における産業分野の停滞は、このようなことが要因の一つではないでしょうか?
博士号を取得できるような学生を産み出す制度、またそれらの学生を産業に組み込む体制。日本におけるこのような脆弱性はただちに改善されるべきだと考えます。

3. 若い研究者のポテンシャルを最大化できる社会に

グローバル化、デジタル化に対応しながら、明日の社会に変革をもたらすイノベーション創出を目指すなら、博士課程の学生を上手く活用する社会に転じなければなりません。
実際、企業内の博士号保持者の数とその企業のイノベーション創出の確率には相関関係があるようです。

「不安定な職種」の代名詞となりつつある研究者の数は現在減少しており、優秀な学生は修士課程を修了した後、企業に就職するケースがほとんどです。

しかし研究者の可能性は、本来研究の場だけに留まるものではありません。
海外では大学の教授や企業の研究職だけでなく、自身の研究内容をもとに起業する方、投資家、実業家など研究者のキャリアパスは実に多種多様です。

「未来を加速する(Accelerate the Future.)」

私たちは、研究者の可能性を最大化することこそが、未来を加速させる肝になると思っています。
そして、そのためにLabTech(研究×Technology)領域で、意義ある事業を創っています。

POLの事業の一つである『LabBase X』は、国内1万件の研究者情報や技術シーズのデータベース、および400名の博士人材による技術探索により、企業と研究者をマッチングするサービスです。自分の研究をPRする機会や研究資金に恵まれなかった研究者と、研究者の探索に苦労していた企業が、共同研究のパートナーとして出会うことができます。
LabBase X(ラボベースクロス):https://material.labbase.jp/x/business/main/

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

POLでは「未来を加速する(Accelerate the Future.)」をミッションに、研究者の可能性を最大化させ、日本の科学技術の未来を明るくしたいと思う仲間が集まり、日々切磋琢磨しています。

現在、複数の職種にて、共に働く仲間を募集中です!
少しでも興味を持ってくださった方、まずは1度気軽にお話してみませんか?

株式会社POL's job postings
18 Likes
18 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
If this story triggered your interest, go ahead and visit them to learn more