2022 年 4 月より執行役員 CPO & CTO に就任した長田が進めた組織戦略の一つに『E2C 組織戦略』があります。社員と業務委託スタッフについて、業務範囲、ポジション、権限、責任の差異を撤廃し、コスト削減、生産性向上を目指すための戦略であり、導入してから4ヶ月でCVR 192%、カゴ入り率 180%、開発生産性 800% アップを達成しました。今回は具体的に何を行ったのか、長田に色々聞いてみたいと思います。
目次
- テクニカル Div. とは
- E2C 組織戦略の導入
- 業務委託スタッフ・社員の役割
- E2C 組織戦略による効果
- 業務委託人材として求める人物像
- 最後に
テクニカル Div. とは
ーー今回E2C組織戦略を導入したテクニカル Div. のミッションは?
CosmeTech を推進して『テクノロジーでコスメ業界の課題を解決し、ユーザーにあたらしい「あたりまえ」を届ける』事です。
CosmeTech
- Cosme x ライブコマース
- Cosme x メタコマース
- Cosme x vSKU
- Cosme x フェイストラッキング AI
- Cosme x スキン解析 AI
- Cosme x ビヘイビアル解析 AI
- Cosme x サイコグラフィック解析 AI
- Cosme x DNA 解析
- Cosme x マイクロクラスタリング
- etc…
ーーテクニカル Div. の強みは?
プロダクト目線、ユーザー課題感を強く持ってるディビジョンです。あとは、みんなカバーリングが上手く、開発生産性もこの 4 ヶ月で 800% と爆上がりしつつ、プロダクト KPI 向上にも貢献しはじめていますので、このディビジョンは、これからどんどんスケールしていくと思います。
E2C 組織戦略の導入
ーー戦略導入の背景は?
私が技術顧問としてノインに関わりはじめた去年(2021 年)の 11 月は、ちょうど技術責任者の長期不在、エンジニアの退職が続くなど、組織課題が顕在化しいてる時期でしたので、組織の立て直しが急務でした。
そこで、導入した組織戦略の 1 つが E2C 組織戦略でした。
私が社外 CxO 時代から各社で導入してきた組織戦略ですが、今年(2022 年)4 月の就任からノインで導入して、4 ヶ月で CVR 192%、カゴ入り率 180%、開発生産性 800% アップなどに貢献した戦略の 1 つです。
ーーE2C 組織戦略とは?
E2C 組織戦略は、社員と業務委託スタッフ協働化のために、社員と業務委託スタッフの生産業務上の扱い(権限、責任、ポジション、業務範囲、コミュニケーション等)の違いを極力減らしつつ、
- 業務委託スタッフのパフォーマンス向上
- 社員の成長サイクルのスピード向上
- 採用コストの低減
などを進める事で、「事業生産性の最大化」を目指す事を目的とした組織戦略です。
戦略の詳細は「E2C(社員 & 業務委託スタッフ協働化 / Employees & Entrustees Co-working)組織戦略とは?」をご参照ください。
ーー導入した組織の構成は?
まず、テクニカル Div. とマーケティング Div. の2つのディビジョンにてE2C 組織戦略を導入しました。社員と業務委託スタッフの割合は1:1です。
ーー導入のポイントは?
導入ポイントはいろいろありますので、リストで例示します。
業務委託スタッフについて
- 同等化
- 組織は、業務委託スタッフの生産業務上の扱いを社員と同等にする。
例)権限、責任、ポジション、業務範囲、コミュニケーション等
- 組織は、業務委託スタッフに同等意識を求める。
例)業務委託スタッフは生産業務上において組織をクライアント扱いしない。
例)社員を特別視しない、遠慮・忖度をしない。
- 成果
- 組織は、業務委託スタッフに社員の育成を求める。
例)経験・知見・スキル・マインド等のトランスファー
- 組織は、業務委託スタッフにコミットメント意識を求める。
例)役割:リード、プリンシパル、マネジメント等の遂行意識
例)KGI / KPI、メトリクス、目標等の達成意識
- 組織は、業務委託スタッフに社員へのポジション引き継ぎを求める。
例)成長した社員へポジションを引き継ぐ
- 市場価値の向上
- 組織は、業務委託スタッフにポジション、ロール、成果等のアウトプットを推奨あるいは依頼をする。
例)ポートフォリオ、経歴書、ブログ、登壇、取材、執筆等
- ネクストアクション
- 組織は、業務委託がミッションを達成した後、次のミッションを用意する。
例)社員へのポジション引き継ぎ完了など
- 組織は、業務委託スタッフがネクストキャリアを求めた場合にはバックサポートする。
例)リファレンスチェックやインタビューのサポート等
社員について
- 同等化
- ロールモデル環境
- 組織は、業務委託スタッフによるロールモデル環境を社員に提供する。
- 社員は、キャリア形成や成長等に活用する。
- ポジションの受け継ぎ
- 社員は、業務委託スタッフからポジションを受け継ぐ。
ーー導入する上で苦労したことは?
E2C 組織戦略は対象者のメリットが多く、会社、社員、業務委託スタッフ、エージェントともに理解を得やすいので、ノインでも初動は順調に進みました。ところが、途中から一部、思うように戦略が進まない事もありましたね。
分かりやすい例で挙げると、この戦略を進める中で全社に組織図が展開されたのですが、ところが意図せずに社員と業務委託スタッフが色分けがされたものが配布されました。
これは、業務委託スタッフの立場からすると、疎外感や心理的障壁を感じたり、主体性を削ったりなど、事業生産性を落としかねない代物なんですが、管理部門の立場からすれば通常の業務をしっかりと遂行しただけの話であって、これは私が会社に「非生産業務」と「生産業務」の言語化を一部怠ったまま戦略を進めた結果として招いた事でした。
要するに、本来は社員と業務委託スタッフの契約内容の違いや、手続き管理上の扱いの違いは「非生産業務」範囲に留まらせつつ、「生産業務」範囲ではそれらを持ち込まず、社員と業務委託スタッフ一丸となって事業生産性の最大化を目指す必要があるという事です。
業務委託スタッフ・社員の役割
ーーE2C組織戦略において、業務委託スタッフの役割は?
まずは、経験、知見、スキル、マインドのトランスファーなど、社員を育成して頂く事です。次に、コミットメント意識をもってミッションを遂行して頂き、そして、成長した社員へポジションを引き継いで頂く事です。
これらのパフォーマンスや成果を、ポートフォリオ、経歴書、外部リソース、登壇、取材などで発信して頂き、どんどんご自身の市場価値を高めて頂きたいなと思います。そして、ノインの次のミッションに就いて頂くか、次のキャリアへ進まれる場合は、できる限りのバックサポートをさせて頂きます。
ーー社員の役割は?
会社は、業務委託スタッフによるロールモデル環境を用意しています。これは、社員だけで構成していない組織になりますので、よりクリエイティブでテクニカルな環境を自身の成長のために十分に活用する事です。そして、成長できたら業務委託からポジションを受け継いでキャリアを進める事です。
E2C 組織戦略による効果
ーーE2C組織戦略の導入メリットは?
それぞれの立場のメリットは多いと思います。
- 業務委託スタッフは、
パフォーマンス環境の享受と、市場価値の向上
- 社員は、
ロールモデル環境の享受と、成長サイクルスピードの向上
- 会社は、
生産性・組織成長性の向上と、採用コストの削減
- エージェントは、
収益化と、リソース最大有効化
あたりでしょうか。
ーーデメリットは?
デメリットは、あえて挙げるとすれば、体制変更に伴う工数とか、権限変更に伴う工数とか、戦略に伴って発生するであろう工数や多少のコストでしょう。
業務委託人材として求める人物像
ーーE2C組織戦略での業務委託人材に求めるスキルは?
募集ポジションに相応する即戦力性を求めています。あとは、コミュニケーションスキルを大事にして欲しいです。
ーーマインドは?
コミットメントしたい、やりがい感じたい、いいものつくりたい、自分の市場価値高めたいという気持ちを待ってます。あとは、社員や会社との協働や、ベンチャーマインドによって、一緒にグロースさせていきたいです。
最後に
ーー記事を読んでいる方へ一言お願いします!
ノインでは、社員も業務委託スタッフも契約形態が違うだけで、一緒に良いサービス、プロダクト等を創っていくという目的は何も変わりません。
ノインのこの制度には、社員、業務委託スタッフ、組織、エージェントさんがお互いで得られるメリットが多くあると思いますが、この取り組みを通じてお互いがお互いの価値を高めあう事で、ノインのユーザーや関係者にも嬉しい事が起きますし、みなさんが関わっておられる方々にもいい事が広がっていくと信じています。
また、もしみなさんの会社で、この組織戦略の導入を検討されている場合は、この取り組みのメリットだけでなく、導入しない事でいまこの瞬間にでも起きているデメリットも同時に言語化しながら、関係者の方々へ勧めて頂けると進みやすいかもしれません。
この記事が、少しでも何かのお役に立てれば幸いです。
ーー長田さんありがとうございました!
最後まで読んでいただきありがとうございます。E2C戦略における業務委託スタッフの評価制度については、今後記事化をしていく予定なので乞うご期待!
ノインでは社員・業務委託ともに採用強化中ですので、もし少しでも興味を持っていただけましたら是非一度お話しましょう。