株式会社日本農業CEOの内藤祥平です。本日弊社はシリーズBで11億円の第三者割当増資を実行したことを発表しました。節目のタイミングでもありますので、改めて農産業の面白味と我々が解こうとしている構造的な課題について記させてください。
資金調達の詳細については、こちらのPRTimes掲載プレスリリースをご覧ください。
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農産業の面白み
農業という領域が、「やればやるほど面白い」、この率直な感覚を皆さんに伝えたいのです。
「なぜ農業で起業されたのですか?」とよく聞かれます。当然、起業の背景にも色々とあったのですが、創業からもうすぐ6年。どちらかというと当時のことよりも、農業ビジネスは「やればやるほど」「知れば知るほど」面白いということを改めて実感している今の感覚を知ってもらいたいと思っています。
農業ビジネスがこんなにも楽しい理由は二つあります。
農業が面白い理由その一
「人類にとっての重要度が高い巨大産業であるにも関わらず、非常に未成熟な産業」なので面白い。
ここでの核となるのは、「産業の歪み・非効率が非常に大きい」、そして「改善=人類にとって確実にプラスである」ことです。
農業界の歪みを下記にいくつか挙げますが、その根幹に共通している鍵は「分断」だと考えています。
- “豊作貧乏”という言葉に代表されるような、限定されたマーケットで短期的には生産性改善が正しい行動にならないという歪み
- 地球規模で人口増、食料不足のトレンドは確実。それなのに日本では耕作放棄地がどんどん増えているという歪み
- 品目、栽培方法の選定、実行オペレーションの質によって同じ農地でも生み出す収益が全く異なるというギャップ=裏を返すと改善余地
農業がビジネスとして成り立つ為には、下記の四要素の融合が必要です。
- R&D
- 品種や栽培方法。机上の収益構造を定義する
- 生産オペレーション
- 机上の収益構造のうち、生産部分(収量、品質、コスト)を現実に落とし込む
- 販売
- 机上の収益構造のうち、販売部分(単価、ロス率)を現実に落とし込む
- ファイナンス
- 事業をスケールさせる
しかし、日本だけに限らず世界において、概ねこの四要素が分断されているのが現状です。
- R&D
- パブリックな研究機関などが担う。儲かる技術を適切にジャッジし、現実に落とし込むことができていない。
- 生産オペレーション
- 農家が担う。過去から受け継いだオペレーションのみに集中。
- 販売
- 流通業者、小売が担う。シンプルな価格調整機能および、バイイングパワーを生かしての川上への価格交渉の価値しか出せていない。
- ファイナンス
- 世の中にお金は余っているし農業分野への投融資意欲もあるが、どこに貼ればいいのか分からない。
我々は、この四要素を統合した事業の開発を行っています。産地のグランドデザインから、現実への落とし込みまで一気通貫で遂行。農業の世界において、高収益率 (R&D, オペレーションに起因) × ハイグロース (販売、ファイナンスに起因) を両立させ、農業をビジネスとしてもっともっと盛り上げる。それが目的です。
さらに上記四要素の分断に加えて、農産業は他産業に比べ、地域をまたいだ分断も散見されます。
農業は「人類にとっての重要度が高く市場規模が大きい産業であるにも関わらず、非常に未成熟な産業」です。この農産業で、四要素を統合するため試行錯誤を繰り返す、ビジネスを大きく育て上げていく、世の中に価値を出していく、このプロセスがとてもエキサイティングなのです。
農業が面白い理由その二
「全てがリアル。ビジネスを五感で感じる。」から面白い
これは弊社がパートナーと青森で開園したりんごの広大な園地の様子を写真に収めたものです。ここでは前述した四要素の統合を体現しています。
- R&D
- 高密植栽培という面積あたり収量が通常の3倍の技術を導入。
- 生産オペレーション
- 言うだけでなく、とにかく現場に入って実行。大規模オペレーションを愚直に構築。
- 販売
- 国内マーケットだけでなく、成長著しいアジアのマーケットに輸出。
- ファイナンス
- 初期投資に対して、総額20億円のプロジェクトファイナンス
この写真は弊社がチェンマイで開園したいちごの園地を写したもので、こちらも四要素を統合しています。
- R&D
- 高品質な日本のいちご品種を権利保護し、活用。
- 生産オペレーション
- 言うだけでなく、アジアの農業現場に入って実行。
- 販売
- タイのアッパーミドル層に現地販売。
- ファイナンス
- 今後、10億円規模で実行。
詳細は割愛しますが、他にも、下記のようなリアルな現場があります。
- 日本品種のキウイフルーツの生産 (香川)
- 輸出用さつまいもの大規模生産 (静岡)
- バンコクの販売棚の様子
何もなかった土地を、世界のマーケットで戦う高収益な農地に転換する。その商品を海外のお客さんが棚で手に取って購入してくれる。そういったリアルな瞬間に立ち会う度、「よし、もっと頑張ろう!」と思えるのは、このビジネスの直感的な分かりやすさであり魅力だと思います。
繰り返しとなりますが、弊社は絶賛採用中です。リアルビジネス農業で、日本の高品質な農産物の価値を高め世界で戦っていく産業変革の旅路を一緒に歩んでいただける方、ご連絡をお待ちしています!