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2022年11月、サービスデザイナーの永井菜月さんがDEI領域の執行役員に就任しました。
ニューロマジックでは以前から女性社員の割合が多く、チームリーダーの半数以上を女性メンバーが担っています。過去には女性の執行役員が就任していたこともありますが、ここ10年ほどは執行役員に就任しているのは男性のみでした。
そんな中、サービスデザイングループ設立当初からインターン生としてジョインし、ニューロマジックのサービスデザイン事業を引っ張ってきてくれた永井さんがDEI担当執行役員に就任することになりました!
今回は、永井さんがどんな意思決定で執行役員の就任を決めたのか、そして彼女に役員の打診をした取締役COOの木村さんがどんな考えで彼女に打診をしたのか等、たっぷりと語ってもらいました。
【Member】
■木村 隆二
取締役COO / Director, Service Design Group
■永井 菜月
執行役員 / Chief DEI Officer / Senior Service Designer
ーーはじめに永井さん、執行役員の打診を受け、どんな意思決定を経て就任を承諾したのでしょうか
永井:私は元々多様性や公平性といったDEI領域への関心がとても強く、プライベートでも「食を通じて多様性を考える」というテーマで本の翻訳や執筆をしていました。なので木村さんからDEI担当執行役員のお話をもらったときは「是非!」と迷いなく承諾に至りました。
大学院生の頃は文化人類学を専攻してアメリカのマイノリティコミュニティを研究しており、当事者の視点から社会課題を見つめる活動もしてきました。社会人になってからもその試みを続けるべく、先述の本の執筆や勉強などをプライベートで進めていたんです。今回ニューロマジックのDEI担当執行役員に就任することで、企業組織で働く自分のアイデンティティーと、これまでの自分の思考軸が一致した!と感じ、とても嬉しかったです。
実は執行役員のお話をもらう前から、同性婚の社内ルール改定のために有志メンバーで動いていたので、そのタイミングが重なったことも躊躇なく話を受けられた要因だと思います。
ーー次に木村さんに伺いたいのですが、永井さんに執行役員を打診しようと思った理由を教えてください
木村:まず執行役員とは、自分の部門の理屈や忖度ではなく、会社にとって正しい判断、決断をできる人でなくてはいけません。
永井さんはインターン生の頃から近くで見守ってきて、目覚ましい成長を遂げてきてくれました。普段から自己内省を繰り返し問題解決に取り組んでいく姿が心強く、彼女の成長の曲線の描き方や将来を考えたときに、執行役員という未来もありそうだと次第に考えるようになっていきました。
そんな中、彼女が自らの意思でフェムテックのビジネスユニットを立ち上げたり、同性婚の社内ルール改定等のDEI領域を自発的にやろうとしているのを見て、DEI担当執行役員なら彼女の興味領域や適性にあっていると思い、黒井さんと相談した上で打診するに至りました。
永井さんは旗を立ててものごとを推進していく求心力があるので、その魅力を執行役員としても存分に発揮してもらえたらと思っています。
ーー永井さん、執行役員に就任して半年ですが、就任してから意識や働き方に何か変化はありましたか?
永井:正直に言うと、劇的に変化した!ということはないですね。
もちろん、執行役員として設定する目標やそこに紐づく制度改革によって130名の社員の働き方や環境にインパクトがあるというプレッシャーを感じることはあります。それに執行役員という”肩書き”がついたことで、変に周囲に構えられてしまいこれまで同様フラットに議論をしてもらうことができるのか、また、私自身奢らずに真摯に物事に向き合い続けられるだろうか、という不安を抱いたこともありました。
ですが、DEI担当執行役員就任時に、「マイノリティや課題を持つ人たちにとって、当事者ファーストの施策となること。そして公正(=Not 平等)であることを優先して考えます」という宣言を社内に向けてしたんです。この考え方を改めて自分自身にも問いかけることで、当事者の方々や、ときには自身の内なるマイノリティ性や傷ついた経験と対話しながら制度策定していけば良いと冷静になることができ、“執行役員”という肩書きへの漠然とした不安やプレッシャーは、現在ではそこまで大きいものではなくなってきています。
ちなみに執行役員に就任してインパクトが大きかったのは、経営会議に参加したときでした。企業が存続していくためにはこんなに多くの課題に向き合う必要があるのかと面食らいそうになりました(笑)。
色々な課題が言語化される中で「私は組織の理想像について、旗を掲げ続けられるだろうか……」と不安にも感じたりもしましたが、他の役員の方々から受け止め方や取り組み方を教えてもらい学んでいく中で、そういった不安も解消されていきました。
なので、現在はありがたいことにフラットな状態で執行役員としての活動に取り組むことができています。
ーー永井さんは以前から多様性や公平性に興味関心が強いとのことですが、何かきっかけはあったのでしょうか
永井:原体験は色々ありました。
私自身は首都圏出身で幸運にも高学歴でバイリンガルという特権性を持ってはいますが、学生時代に家庭が困窮して奨学金を受けたり、私自身のメンタルヘルスが崩れて通院・休学をしていたことがあります。
一昨年の2021年には市民活動家や弁護士の方などが連名で行っている女性の支援活動にお手伝いとして参加し、貧困や家庭内暴力、セクハラなど生活やお仕事で困っている女性たちをサポートするネットワークがあることを知ってもらうため、歌舞伎町での夜回りを実施しました。そういった経験を経て、困窮したりマイノリティになる可能性はどこにでも潜んでいることを身に染みて実感し、その可能性を少しでも低くしていきたいと考えています。
もう少し遡ると、小学生の頃に起きた9.11が私の中では大きい出来事でした。当時どのテレビ番組でもイスラム教は悪い!悪だ!と放送されており、私もその世論に流されかけたのですが、授業でイスラム教を調べていくうちに、とてもピースな宗教だということが分かったんです。確かに過激派の人がいるのも事実ですが、もっと多面的に物事を捉える大切さや、よく知らないまま偏見を持つことは暴力に加担しているのと同じだと幼いながらに感じました。
そこから情報を疑うことや答えのない問いについて考え続けることの重要性を学び、現在の多様性や公平性への関心に繋がっていきました。
様々な個性を持つ私たちが、楽しく平和に生きられる社会にしたいというのが、私の人生のテーマです。
ーーDEI担当執行役員として永井さんが現在取り組んでいることを教えてください
永井:現在は主に4つの取り組みを行っています。
①現状把握
②社内ルール改定
③相談窓口の拡充
④社内外のコネクションづくり
それぞれお話しさせてもらいますね。
①現状把握
全社アンケートや社外の評価指標を用いて、ニューロマジックの現状調査を行っています。
②社内ルール改定
直近では、家族の定義を同性婚や事実婚までを含み、福利厚生の活用を可能にできるよう模索しています。他社さんの事例や社内の当事者のメンバーにも話を聞きがなら、まずは自社でできることから取り組みはじめています。
また、ニューロマジックには日本語を母国語としないメンバーも在籍しているので、社内Slackにおけるアナウンスの英語翻訳強化や、社内の重要情報がまとまっているnotionの英語翻訳も進めています。
③相談窓口の拡充
執行役員に就任してから、DEIオフィスアワーをバーチャルオフィス内で実施しています。また「DEI相談BOX」という相談フォームも設置し、無記名/記名どちらでも投稿できるようにしています。
ニューロマジックには元々、社員であれば誰でも相談ができる心理カウンセラーの先生や弁護士さんもいるのですが、外部の方だと前提条件から説明しなければいけないので大変、ということもあると思うので、公平かつ前提条件が分かる窓口としても、DEIオフィスアワーや相談フォームを活用してもらえたら嬉しいです。
実は先日のオフィスアワーでは、メンバーのお子さんがお話にきてくれるという嬉しい出来事がありました!
私は組織の環境は働いているメンバーだけではなくご家族やご友人などにもインパクトがあると考えています。ニューロマジックという会社がメンバーの周りの人たちにもポジティブなものでありたいと思っているので、お子さんとお話ができるという機会はとても嬉しかったです!
④社内外のコネクションづくり
DEI領域に元々興味関心が強かったとはいえ、まだまだ試行錯誤の連続です。そのため、社内メンバーのお知り合いやイベントを通じて知り合った先輩方からお知恵をお借りできたらと思っています。
もしこの記事を見てご興味持っていただけたら是非ご連絡ください(笑)!
ーーここまで永井さんの熱い想いを語ってもらいましたが、木村さんから見て永井さんの活躍はどのように映っていますか?
木村:申し分なくやってくれていると思いますね。
これまで蓄えてきた力を存分に発揮してくれているので、心強いです。
先ほど経営会議の話が出てきましたが、そういった場でも他の役員陣に萎縮せず永井さんの意見や考えをしっかりと共有してくれるので、僕たちにも新しい視座を与えてくれています。
きっとここからニューロマジックは更に良い会社になっていくだろうという期待があり、ワクワクしています!
ーー取締役COOとして、DEI担当執行役員が就任したことで今後期待したいことを教えてください
木村:まず、DEI担当執行役員が就任したことは、ニューロマジックのビジョン【「都市」のような組織を目指し、社会の変化に対して影響し続ける】と深く関わっていると考えています。
受け皿としての会社を謳っているなかで、永井さんには多様なる個性が集まってくる上での価値創出ができる旗振り役になって欲しいと思っています。
これまでは、僕や他の役員は外へ向けた活動を主に行ってきました。ですが帰ってくる場所を大事に耕すことをおざなりにしてはいけません。ニューロマジックという場所を良い状態にすることで、ニューロマジックに集いたいという価値を生み出し続けていくことはとても大切なことだからです。
僕らは元々多様性を受け入れる環境が自然と作られてはいましたが、今後も自然の流れに身を任せたままでは推進していくスピードがゆっくりだったり、何かを始めるにあたっても誰かの強い意思がなければ進まないことも出てくるでしょう。その誰かがいつか来ることを待っていては、僕らのビジョンは達成されません。
今回永井さんが執行役員に就任してくれたことで、これまで自然と生み出されていたカルチャーがよりスピード感を持って良い方向へと進んでいける。そして自然の流れに任せたままでは着手出来なかったような部分にも踏み込むことができ、ニューロマジックという場所が更に良い状態をつくっていけることを、とても楽しみにしています。
ーー最後に、永井さんが執行役員の目線で今後目指していきたいニューロマジックの姿を教えてもらえますか?
永井:ニューロマジックという都市が To Be Happy を体現している状態、ですね。
特に私のDEI領域は自分らしくあるための制度を整えることができる役割だと思っていて。DEI担当執行役員として、その人「らしく」生きることができる手伝いを全力で推進していきたいです。
生き方、働き方に正解はありません。誰一人同じ人はいなくて、その人「らしさ」は十人十色ですよね。私はニューロマジックがその十人十色の受け皿でありたいと思っているので、一つの方向にただガムシャラに走っていくのではなく、ときには後ろを見たり横を見たり、上や下を見たりしながら、メンバーのその時その時の人生のタイミングでベストな状態をつくり上げるお手伝いをしていきたいです。
そしてそれらが影響し合うことで、ニューロマジックのビジョン【「都市」のような組織を目指し、社会の変化に対して影響し続ける】に繋がっていくと思っています。