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「スマホひとつで簡単に歌や声が盛れる」 文原が考える、「nana」の “本質” とは。

新たな事業戦略として「スマホひとつで簡単に歌や声が “盛れる”」を打ち出したnana music。その戦略の背景には、一体どのような思いがあったのか。これまでの施策を振り返りながら、なぜ今、新しい戦略を立てる必要があったのか、これからの「nana」のあるべき姿とは。代表の文原に話を聞いていきます。

nana musicが新たに目指す「スマホひとつで簡単に歌や声が”盛れる”」とは?

今回、新たな戦略を再定義しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

── そうですね。特にここ2、3年くらいで「人々がnanaを使う理由」というのが昔に比べると弱くなってきたなという印象がありました。やはり、今の時代、歌う場所は他にたくさんあるんですよね。まもなくサービスを開始してから9年目ですが、ここで改めて「nana」の価値について再定義しなくてはいけないと強く感じました。

新たな戦略として「スマホひとつで簡単に歌や声が”盛れる”」を打ち出した背景とは?

── スマートフォン1つで、編集の知識が無くてもハイクオリティな作品をつくることができる。それを簡単な言葉で「盛れる」と表現しています。今は技術進歩のおかげで、あらゆるものを「いい感じ」に編集・加工することが可能になりましたね。例えば、化粧のスキルに自信がない人でも、動画の解析処理によって顔を変化させ、メイク上手に見せることができるとか。でも、その「声バージョン」というものがまだ世の中に無いことに気づいたんです。「nana」で歌うとなぜか上手に聞こえる、自分だけでなく他者からも上手いと言われる…これこそが、人々が「nana」を使う理由になるんじゃないかと思いこの戦略を定めました。


考え抜いた末に見つけた「nanaの強み」

社長の中で、この方針はすぐに決まったのですか?

── いえ、かなり模索しました。もともと僕たちは、創業時から「音楽で世界をつなぐ」というビジョンからスタートしていて、一人一人がいかに繋がれるか、というところにフォーカスをしてやってきました。そうした中で、「nana」は一体何が面白いんだろうというところを突き詰めていった結果、1つ出たアイディアとして、カラオケとして徹底的に振り切ることでした。カラオケは、歌って楽しみながらストレスを発散できる素晴らしい遊びだと思います。でも、これまで「nana」を通じて大切にしてきたのは「ここから何かが生まれていく」「創作の多様性、幅がある」ということでした。だとすると、ここにはある程度作り手側の自由度が無ければいけない。既存の楽曲を歌うことの多いカラオケとは違い、その曲自体を誰かが伴奏していたり、もしくは完全オリジナル楽曲だったり。そういう風に、創ることへの自由度を大切にしたいと考えています。

カラオケサービスは「nana」が提供したいことではなかったんですね。他にどんなアイデアが出ましたか?

── はい。もう1つは、最近人気が出てきている音声配信です。この波に乗るということももちろん考えられたのですが、やっぱりちょっと違う。自分の創る「音楽」にこだわっていける、その音楽によってみんなが繋がり、どんどんコラボレーションして新しいものが生まれていく。そして結果的に、自分の音楽を応援してくれる人が現れ、人生の可能性や選択肢が広がっていく…こういうことが1番やりたいことだっていうのに気がついたのです。

直近までは、動画でのコラボレーションにも注力されていたと思うのですが、進捗や手応えはどうでしたか?

── 今や動画やライブ配信が全盛期です。それに比べ、音声だけのコンテンツを使ってもらうハードルがものすごい高いと考えます。ですが、その音声に視覚情報、映像表現が入ればより注目され再生されることで、よりたくさんの人に歌の魅力が届くようになるんじゃないか。自分の創った音源、歌という表現に対して、動画をつくれる人が映像という表現でコラボレーションすることにより、全く新しいコンテンツが生まれる可能性があるのでは…そう考え、動画を戦略としてして追求しようという考えがありました。まだ完全な理想形ではいないけれども、色々機能追加もして、最低限の動画コラボレーション機能は追加できたと思います。

動画コラボレーション機能を追加した後、ユーザーの反応はいかがでした?

── そうですね。実際みなさんの反応やコメントなどを見ていて、残念ながら「何か大きく跳ねそうだ」という実感はなかったです。これはなんとなく感じていながらはっきり見えていなかったのですが、動画をつくって投稿する場は、すでにYouTubeにありますよね。また、音に対して動画でコラボレーションするのはTikTokで出来ます。だから極論を言うと、既存サービスと同じようなことができるようになったというだけの話なんです。


一方で、ほぼ同時期に音声のステレオ化を始めました。この反応がとても良かった。ユーザーにすごく喜んでもらえました。そこで改めて感じたのは、僕らの強みである「音」やユーザーの「作品」に関するところが、1番反響がある、喜んでもらえるポイントだったということです。現在、音声配信がトレンドとしてきている中で、音が良く聞こえるという編集加工機能の部分にすごく大きな「活路」があると信じています。今後、「nana」のコアな価値は、と問われたときに「声が盛れる」というのが答えになるんじゃないかと考えています。

「音楽で世界中の人々をつなぐ」を目指して

新しい「コアな価値」を掲げ、現状は具体的にどのようなことに取り組んでるのですか?

── 自分自身が音楽をやっていて、歌唱という表現がすごく好きなんです。だけど、音楽の編集作業ってものすごく複雑で大変ですよね。例えば、パソコンの音楽編集ツールなんてたくさんありますがどれもややこしくて使い方がよく分からない。多機能で複雑だからこそいろんな編集ができるんですけど、やっぱり扱いにくい。でも、誰しもが自分の作品にはこだわりたいはずです。それが、スマートフォンという簡単なインターフェース1つで、簡単に満足のいく作品をつくることができるのなら、さらにほんの少しの知識でよりクオリティを追求できる、こだわれるのなら。こういうことを実現するために鋭意開発を進めています。


あと、これは一つの遊びだと思いますが「声のアバター化」も実現しようとチャレンジしています。僕の声を特定の○○に変えれる、という感じにです。ここ最近では、自分の顔を撮ると、特定のキャラクターの顔になるというサービスが流行しています。自分の顔に自信がない、さらけ出したくない。でもキャラクターになれるなら顔出しのハードルが下がりますよね。それと同じように、声にコンプレックス抱えている人はたくさんいると思います。でもそれが自分じゃなくて誰かの声だったら、より声で表現することを楽しめるようになると思うんです。こういった、声や音の編集をものすごく充実させてユーザーの皆さんに提供していく。これも現在取り組んでいることですね。

新たな戦略を掲げたことで、今後nana musicはどのように変わっていくのでしょう。

── 新たな戦略を打ち出しましたが、「音楽で世界中の人々をつなぐ」というもともとのゴールは何も変わらないです。今回サービスを見直したことで、nanaの強み、価値が改めて明確になった。僕は、この「スマホひとつで簡単に歌や声が “盛れる”」という戦略にとても自信があります。


今後、nana musicが強化していくのは、音声の変換処理。もう少し具体的に言うと、音声信号処理技術や機械学習ですね。エンジニア組織が一丸となって技術をさらに磨き、それに投資していく。音楽サービスの領域や、音声技術ものすごく力を入れていくつもりなので、そこに興味がある人たちとぜひ一緒に働いていきたいですね。

──

今回、自社サービスの本質・価値を見直したことで、新たな事業戦略に踏み切ったnana music。
「スマホひとつで簡単に歌や声が “盛れる”」
…実現できたら、今よりもっと魅力的なサービスを提供できるに違いありません。

今回のインタビューでは、文原の「音楽で世界中の人々をつなぎたい」という、真剣で一途な想いを聞くことができました。

皆さんにnanaで新たな感動を味わっていただけるよう、そして1日でも早く「音楽で世界中の人々をつなぐ」を成し遂げられるよう、今後も開発を進めていきます!

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