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「自産自消」とは:自分でつくって食べることで、人と自然の距離を近づける。│特集・自産自消 Vol.1

「自産自消(じさんじしょう)」という言葉があります。

「自産自消」とは、その字の通り、自分で生産した食べ物を自分で消費すること。
つまり「自分でつくって、自分で食べる」ことです。

実はこの「自産自消」という言葉、マイファームの創業者であり現在も代表を務める西辻がつくった造語です。

2007年。
“食の安全”や“食糧自給率”、また“耕作放棄地”といった食や農業に関係する問題がクローズアップされるようになっていた当時。

『消費者が自分で農作物を作って自分で食べる「自産自消」が拡がれば、そうした食や農業の問題が一気に解決できるかもしれない…!』

そう考えて、貸し農園(体験農園)を事業としてスタートさせたのがマイファームでした。


【参照】
J-Net21「「株式会社マイファーム」自産自消で自給率アップを目指す!」(2009年5月26日掲載)
日経クロステック「これからは「自産自消」、レンタル農園と利用者をSNSでつなぐ」(2009年12月15日掲載)


△ 耕作放棄地 ※ を体験農園にリメイク(2007年、京都府内に開園した第一号農園)

※耕作放棄地…「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する考えのない土地」のこと。農林水産省「農林業センサス」で定義されている用語。

■「自産自消」の言葉としての広がり


言葉が生まれてから16年が経ち、現在では「自産自消」という言葉は広く一般に使われるようになってきています。

たとえば、経済アナリストの森永卓郎氏が2021年に出版した著書『森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ: 都会を飛びだし、「自産自消」で豊かに暮らす』という本のタイトルでも使われています。

また、2021年に環境省が公表した「サステナブルで健康な食生活の提案」の中の一つにも、「それぞれの生活にあった形で食の自産自消を楽しみましょう」という内容が盛り込まれています。

【参照】
農文協『森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ: 都会を飛びだし、「自産自消」で豊かに暮らす』
環境省 脱炭素ポータル「サステナブルで健康な食生活」(2021年9月13日掲載)


さらに農業や食の分野以外でも、「(電力を)自分で生産して、自分で消費する」という意味で、太陽光発電などのエネルギーの分野でも「自産自消」の言葉が広く使われています。



△ 太陽光パネルの下で農業をする「ソーラーシェアリング」

■「地産地消」や「自給自足」との違い


「自産自消」と似た言葉に、「地産地消(ちさんちしょう)」「自給自足(じきゅうじそく)」があります。
これの言葉と「自産自消」の違いは何でしょうか?

まず、「地産地消」
地産地消は、地域で生産して、地域で消費する、という意味の言葉です。
国内のある地域で生産された農林水産物を、その生産された地域内において消費する取り組みのことを指します。

【参照】農林水産省「地産地消(地域の農林水産物の利用)の推進」

「自産自消」はこの地産地消から派生した言葉ですが、地産地消は範囲が「地域」であるのに対し、自産自消は「個人(自分)」に向いています。仕組みというより内発的なもので、ジブンゴトが重視されます。

次に、「自給自足」
自給自足は、生きるために・食べるために自分で食物を調達する、という意味の言葉です。
「自産自消」も文字だけを見ると「自分で生産して、自分で消費する」と書くので、自給自足と同じような意味にもとれますし、弊社でもよく違いをご質問いただきます。

「自産自消」が自給自足と異なるのは、その目的です。
自給自足の場合、「生きるため・食べるため」という収穫・獲得することが目的であり、それは人間の生存本能に基く非常にシンプルなものです。

一方で「自産自消」の目的は、単に「生きるため・食べるため」ではなく、その過程を含めた全体を重要視しています。

少なくとも、マイファームが掲げる「自産自消」は、「(生きるため・食べるためだけに)自分でつくって、自分で食べる」という言葉ではありません。



△ 自分でつくって、自分で食べる。

■「自産自消」に込めた想い


マイファームが理念として掲げる「自産自消」は、自分でつくって、自分で食べる。
その経験を通して、

・自然と触れる「楽しさ」や「面白さ」
・自然と共に生き、「それを仕事にするすばらしさ」
・その産物をまるごと食べ、自然について「会話」し、「感謝」すること
・人が作物を育てるように、人も自然に育てられていること

こうした、『気づき』を得ること。(※この気づきは人それぞれです)

生活の中で「農」や「自然」に触れる経験をすることで、そうした『気づき』を得られる、“人と自然の距離が近い”社会をつくりたい。

そういう想いを「自産自消」という言葉に込めて、それぞれを感じられる社会になるための事業を展開しています。



株式会社マイファーム 会社紹介動画(※YouTube動画にリンク) より

■「自産自消」のできる社会を目指す、マイファーム


都市部に住んでいる場合、生活の中で「農」や「自然」に触れる機会はどれくらいあるでしょうか?

ご自宅のお庭や貸農園などで家庭菜園をされている方であれば、すでに生活の一部になっているかもしれません。
ただ一般的には、現代人が「農」や「自然」に触れる機会はどんどん減っているように思います。

様々な娯楽がある中で、その好きなことをしている時間の一部を、「農」や「自然」に使う。
そんな人が増えれば、人と自然の距離が今よりも近づいていく。

そうなれば、冒頭に書いたような食や農業の問題のみならず、世界中で起こっているほとんどの社会問題は解決するのではないか、とマイファームは本気で考えています。

たとえば、フードロス。
たとえば、戦争や紛争。

2007年に体験農園の事業からスタートしたマイファーム。
2023年現在、農業教育事業、流通・小売事業、農産物生産事業、農業コンサルティング事業…など、「農」にまつわる様々な事業を展開しています。

そして、そうした農にまつわる多面的な活動の一つひとつがつながり、輪となり、循環していくことで、つくる人と食べる人、人と自然の距離が近い「自産自消」のできる社会を目指しています。



△ 「自産自消」のできる社会はこのイラストのようなイメージ。自然、農業、食生活の境目が無いような形を思い描いています。


では、「自産自消」のできる社会とは、具体的にはどういう状態なのでしょうか。

この「特集・自産自消」シリーズでは、当社が目指す「自産自消」のできる社会について、様々な切り口から掘り下げていきたいと思います。


《『特集・自産自消 vol.2』に続く》

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