こんにちは、マイクロアド広報の井野口です。今回の記事では、改めてマイクロアドの事業についてこれまでの歴史を交えてお話をしていきたいと思います。
マイクロアドは2007年の創業時より、インターネット広告の配信効率を上げるためのシステムを提供する「アドテクノロジー企業(以下、アドテク)」として、業界を牽引してきました。現在では、インターネット広告の会社という枠を超えて、膨大なデータを活用したさまざまなマーケティングプロダクトを提供する「データカンパニー」へと事業を拡大しています。
「マイクロアド」という社名は、” 広告を、ユーザーに合わせて細分化することで、必要かつ意味のあるものにしたい” という思いから名付けられました。
今は思いこそ同じですが、さらに進化し、データ分析力を活かして、インターネット広告やコンサルティングなど、幅広いマーケティングサービスを展開する会社となっています。
会社のスローガンも、インターネット広告事業主体だった頃の「広告を情報へ」から、2016年以降は、データとテクノロジーの力で人々の未来の暮らしをよりよくする、をモットーとする「Redesigning the Future Life」へと変更しています。
会社の成り立ちと事業内容については、IR noteの記事も読んでいただければ幸いです。IR担当の「てつお」が連載しているので、よければ登録してみてください^^
なぜデータビジネスへ参入したのか?
マイクロアドは創業以来、インターネット広告事業として、広告配信プラットフォーム(DSP)「UNIVERSE Ads ※」、媒体社の広告収益化プラットフォーム(SSP)「MicroAd COMPASS」を広告主企業やメディア企業に向けて提供してきました。
※)初期のDSPは「MicroAd BLADE」という名称でした。
これまでネット広告において、多く使われてきたリターゲティング広告という手法があるのですが、これはユーザーのWebサイトの訪問履歴をもとに追跡するかたちで広告が配信されます。マイクロアドは、このリターゲティング広告の商標を保有していた時期もあるほど、業界を牽引していました。
リターゲティングは、すでにユーザーが認知している商品・サービス = 広告主のニーズが顕在化しているユーザーに対するマーケティングということになります。さらにリターゲティング広告というのは、配信技術の仕組み自体がシンプルなので、同業他社の市場参入が一気に増加したことで、サービスの付加価値や差別化を発揮しづらいマーケティング手法となっていきました。
そのような背景から、インターネット広告の市場において、これからイノベーションを起こすのであれば、まだ商品認知のない潜在的なニーズに対する新しいマーケティング手法の開発を目指すべきだと考えました。
その結果、さまざまなデータを使ってユーザーを多面的に分析し、潜在層にアプローチをする精度の高い広告配信へと事業の舵を切りました。
この、アドテクからデータを軸とする事業へ転換していったのが、2016年あたりになります。Tポイントの保有企業や、キャリアデータを保有するソフトバンクとの提携などを皮切りに、ここからオンライン・オフラインの膨大なデータを収集する基盤「多次元データベース」の構築が進んでいきました。
多次元データベース構想とは?
インドに「群盲象を評す」という寓話があります。数名の盲人が象の一部を触り、ある人は象を「壁」といい、またある人は「柱」だと言うなど、感想を話し合うも正体が分からないという、物事の本質を見失うことの例えで使われるお話です。
この寓話でいう “象” は、我々にとっての “ユーザー” です。
これをインターネット広告に置き換えてみると、潜在的な顧客に対するマーケティングを行うためには、もっとユーザーを多面的に捉えなければ意味がないのではないか。人は、仕事やプライベートなど、いろいろな側面を持っているので、たくさんのデータを収集し分析することで、ユーザーの消費行動を立体的・多面的に予想し、捉えることができると考えました。
それを実現するためのデータ収集基盤が、現在提供しているマーケティングプラットフォーム「UNIVERSE」です。構想当時は「多次元データベース」と呼んでいて、立体的に人を分析するプラットフォーム構築を考えていました。
↓ 多次元データベース構造をベースとする「UNIVERSE」初期のコンセプト図
UNIVERSEは、現在では200以上の企業・メディアから提供を受けるオフライン・オンラインを含めた膨大なデータを活用し、さまざまな業種に特化したマーケティングプロダクトを展開しています。提供を受けるデータ内容は、ビジネス系・金融系・ライフスタイル系・位置情報やレシートデータなど、多岐にわたります。
そして、この膨大なデータを保有しているだけではなく、データを分析・加工して、何に応用するかを考え、サービスに落とし込んで価値を見出しています。BtoB企業・医療製薬・飲料食品・自動車・エンタメ・美容化粧品向け・自治体向けなど、現在では19の業種それぞれに特化したマーケティングプロダクトを展開しています。
※UNIVERSE:世の中のあらゆるデータを吸収し、膨張し続ける宇宙のようなデータベースにしたいという想いを込めて「UNIVERSE」と名付けました。
データビジネスの面白さ、可能性
では、データを使って何ができるのか? UNIVERSEの自動車向けのプロダクト「IGNITION(イグニッション)」を例にあげてみましょう。
IGNITIONは、自動車専門のWebメディアからデータを提供いただいているプロダクトです。このデータ単体では、単純に「ユーザーがメディアにアクセスした時間帯」などのログデータである、ということしか分かりません。
ですが、マイクロアドの解析技術により、ユーザーの興味関心のある、メーカー・車種・価格帯など、はたまた検討段階か購入直前なのか、ということを分析することが可能です。ここではじめてマーケティングに活用できる価値のあるデータになります。これによって、例えば600万円台のSUV車を購入したい、と検討をしているユーザーにのみ広告を配信することができます。
さらに深く分析をしていくと、ユーザーが検討から購入段階までのどの時期にあるか、ということも分かってきます。そうすると、検討時期には車種の広告を配信、購入段階においては、ディーラーへの来店を促す広告や自動車保険の広告をタイミングよく配信することができます。
単純に車に興味があるというだけでなく、ユーザーを多面的に分析し、家族構成やライフステージの変化などを汲み取っていくことで、精度の高い広告配信を実現することができるのです。
ここでは自動車にまつわる例をあげていましたが、UNIVERSEは、さまざまな業種の多様なデータを保有しているので、それぞれの施策に対して、より親和性の高い層を捉えることで最適化された広告配信が可能です。また、広告配信の前後を比較し効果計測を行うことで、広告主は、今後のプロモーションに活かすことができます。
データは21世紀の石油・・?
「データは21世紀の石油」と言われています。20世紀には原油を精製してさらに石油からさまざまな製品や産業が生まれたという歴史がありますが、21世紀では、データとテクノロジーを使ってさらに多くの産業が生まれると考えています。
データはただ大量に保有していても、価値がなければ意味がありません。例えば同じデータであっても、それをどう加工するかによって、マーケティング・株価予測・需給予測など、活用先は幅広くあります。
そこから考えるとマイクロアドも、現在はマーケティング事業がメインですが、それ以外の事業も今後立ち上がっていく可能性があると言えるかもしれません。
データを加工して価値にするとはどういうこと?
データを加工して価値に変えるには段階や工程があります。
マイクロアドのUNIVERSEをレストランの運営に例えると、まず『料理をするための厨房 = UNIVERSEや広告配信システムUNIVERSE Ads』と、『料理を作るシェフ = データ分析官やAIなど』、続いて『たくさんの食材 =膨大な消費行動データ』が必要です。
これらが揃って、ようやく『レシピ・料理 = さまざまな業種に向けたデータプロダクト』ができるわけです。
そもそも、膨大なデータ・データ分析官・データ収集基盤の3つを揃えないと、サービスを作ることができません。さらにここに、自社の販売網によるマネタイズという強みが加わるので、他社が容易に真似することができず、参入障壁の高さにもなっています。
さいごに
データは手に取ったり目に見えるものではないですが、それを使って人々の暮らしを変えていくことはできると思っています。データやテクノロジーの力で、世の中がより便利になったり、よくなってほしい。そう想い続けてマイクロアドでは、エンジニア・営業・バックオフィス、それぞれのメンバーが日々努力を重ねています。
この想いがまさに、冒頭にあるスローガン「Redesigning the Future Life」ですね。