僕のはじめてのリモートワークは、25歳のゴールデンウィーク明けのことだった。
マツリカという会社に入社して数日。
当時のマツリカは社員が〜20名以下で、もともと企業理念やバリューに共感を持っていた僕には、会社の雰囲気を掴むのは造作も無いことだった。
「そろそろ……いいんじゃないか」
僕は期待していた。マツリカの就業規則はフルフレックス・リモート可。
自宅で仕事をしていいなんて、僕にとってはまさに夢のような環境だった。
思い出す、毎朝通勤ラッシュすし詰めの日々。
雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダは20歳まで。
スマホすら手に持つ空間もない東京都内満員電車に乗ることが当たり前だった僕には、リモートワークはまさに希望の光。
それから希望の会社で仕事はしたいけれど、事情があって全国各地に在住している優秀な方々にとっても希望の光になっているだろう。
インターネットが布教した今、仕事をするのにもはや場所の制約など意味のないことだ。
緊張と不安を胸に、僕はSlackに打ち込む。
「明日、リモートします!」
なんてやりとりはありませんでした。残念。
「電車遅れて時間かかりそうなのでしばらくリモートにします」
実際は2018年5月8日にそう投稿してました。そうだよね、だって電車動かないしね、仕方ないね。
この記事でわかること
- マツリカプロダクトチーム(製品開発に関わるメンバーが所属)メンバーがどのようにリモートワークをしながら働いているのか
- リモートワーカー / オフィスワーカーの本音
- リモートワークをする理由
- 効率の良い働き方
- みんなのリフレッシュ方法
- 業務への支障
- フルリモート、リモート&会社併用のメンバー間で取り組んでみたいこと
実際にプロダクトチームへのアンケートを実施したので乞うご期待。
これまで公開したマツリカの働き方
本記事のサムネイル画像は、筆者Ryoの実際の自宅作業環境です。
そして、これまでもいくつかマツリカの働き方について記事を書いてきました。
マツリカプロダクトチームがどのようにリモートワークをしながら働いているのか
僕も所属しているプロダクトチームは、
- プロダクトマネージャー
- デザイナー
- データサイエンティスト
- エンジニア
- QA
という構成を取っています。なので、今回は彼らの働き方にスコープを当てます。
マツリカにおけるリモートとフルリモートの違いは?
↓僕が入社した頃の図。ほとんど人がいない
リモート可とフルリモート(地方)の違いは、五反田オフィスへ出社可能かどうかの差です。
フルリモートメンバーは、遠方に住んでいるため基本的に業務は文字通りフルリモートとなります(2ヶ月に1度ですが五反田オフィスへ出社する制度があります)。
一方のリモート(可)メンバーは、五反田オフィスに出社する(便宜上オフィスワーカーとします)こともあるしリモートすることもある。というハイブリッドな体制です。その日リモートするかどうかの許可は必要ありません(重要な会議やオフラインで実施したほうが効率がよいことについてはその都度相談しましょう)。
フルフレックスは、コアタイムなしのフレックス制のことです。始業時間と就業時間を僕らが決めることができます。裁量労働制と異なる点は、フレックスは総労働時間が予め決まっている点です。
さて、僕はフルリモートではなくリモートと五反田オフィスを併用するタイプの働き方をしています。
併用しようが毎日オフィスに顔だそうが、それは僕らの自由(Liberty)として尊重されています。
リモートするときの僕の一日
リモートしているときの写真でも載せようかと思ったのですが、ずっと自分の席にいるだけの同じ絵なのでやめました。
10:00 起床
10:10 デスクでPCのスリープを解除。仕事開始
……とまあ少し極端な例だと思いましたか?残念ながらだいたいこんなものです。
起床して顔を洗うなどの一連の作業をしたら目の前にPCがあるので仕事が開始できてしまいます。なんということでしょう。僕のキャリアはずっとインフラエンジニアだったので、起きてすぐ仕事をする訓練がされてしまったのでしょうか……(サービス障害時は夜中いきなり起きて対応するため)。
その後、いくつかのミーティングを終えてだいたい12時です。
~13:00 ミーティングなど
プロダクトチームのミーティングは原則オンライン化されています。会議室も必要なく、エコエコのエコです。
いくら場所に規制がないからと言って、周囲がワイワイガヤガヤだとノイズがすごいので、なるべく静かなところで実施することをおすすめしています。
14:00~15:00 昼
昼はいつ取ってもいいです。というか、会議中以外は誰がいつ何してるかわからないのです。マツリカのメンバーは気を使って「今から取るよ」って宣言してから食べに行く人が多い気がします。しばらく離席してて連絡が取れないという確信があるときによく言ったりします。
僕がリモートするときはたいてい自炊なので、まず連絡取れないことはないのでスーッと知らない間に食べて仕事に戻っていたりします。
15:00~ タスク消化
これは言わずもがな。このあたりはリモートしてようがしてまいがあまり変わらないと思うのですがどうでしょう。おそらく大きな違いは、家にチームメンバーがいないので相談などを気軽にできない?とかそういったことでしょうか。実際慣れると隣にいないからって困ったりしないですよ。
Slackで通話して話すこともできるし、エディタもLive Shareできる時代です。何を恐れることがあるでしょう。
~好きな時間に退勤
何時でもいいです。僕はだいたい18:00, 19:00には退勤して飲みに行くか身体を動かしに行っちゃってます。退勤するぞ!とかも特に宣言しないです。よって、働いた時間で評価されることはありません。
他のメンバーを飲みに誘ってみたら「すまん、もう富士山行きの電車に乗ってるんだ。仕事はしてるけど!」と言われることもあります。富士山の山頂でエクストリーム勤務でもするんでしょうか。
僕の一日はただの一例です。人はそれぞれ、自分にとって最も生産性の高い働き方を持っています。
ここからはメンバー含め、リモートワーカー / オフィスワーカーたちの本音を見ていきましょう。
リモートワーカー / オフィスワーカーの本音
今回のアンケート回答者は14名。結構な割合で回答してくれて嬉しいです。
さて、彼らがリモートかオフィスかを選択している理由を見ていきましょう!
リモートワークをする / 会社に来る理由は?
遠い、出社できないなどはフルリモートメンバーの回答でしょう。さすがに毎朝沖縄から出社するわけには行かないですねえ。
僕のリモートする理由はもっとシンプルで、「暑い」「寒い」「や、今日行く必要……ないな。ないね」とかです。もうひとつは、自宅作業環境には割と投資しているから。HHKBのコトコト音や青軸キーボードのでかい音を気にせず「ターーンッ」できるのは家だけです。
逆に意気揚揚と行くのは飲み会がある日などです。
マツリカプロダクトチームのよいところは、リモートワークでもオフィスワークでも、できることが変わらない点です。
会議もオンライン、コミュニケーションもオンライン。
前提条件がオンラインなので、環境が変わっても問題がないのです。
もしこれからリモートワークを導入したい、という方は
- 情報はオンラインでやり取りされること
- オフラインでやり取りされたこと(会話など)はオンラインにも共有すること
- メンバーが何をしているか無理に把握しようとしないこと
を意識するとよいのではないでしょうか。
あなたにとって効率のよい働き方は?
作業にどれだけ集中できるか?というのが多い様子。
逆にオフィスワーカーは「仕事とプライベートを分ける」という意見も見られます。
この質問に対する答えは、「効率を求めるならこうありたい」というものです。
なので、これを実現できる方法をマツリカメンバーは選択することができます。
家が集中できるならその選択を。
プライベートきっちり分けたほうが集中できるならその選択を。
リモートワークとは本来そういう使い方でいいのでは?と思っています。
0か100で考えすぎない。
その人にとっての最高を選択できるような環境を用意すれば、きっと僕らはいい仕事ができるはずです。
とっておきのリフレッシュ方法は?
リフレッシュはリモートワーカーに限らずだと思いますが、リモートワーカーは出社しない分余計に身体が動かないので身体への負荷が懸念されます。
(※メンバーのリフレッシュ方法は業務中とは限りませんが、社内で飲酒が許可されている分「飲酒」というリフレッシュ方法が業務中なのかプライベートなのかわかりません)
特にリモートワーク始めたてだと
- 今日誰とも喋ってない…
- 今日の歩数500歩…
- やたら集中できる代わりに超疲れた
- 家にずっといるから仕事の終わり目がわからねえ
などなどいろんなことが発生して「こいつァやべえぜ」と不安になります。
なので、オフィスワークしていたときよりも積極的に休む!という気持ちを持つとバランスが取れることを僕自身は体験しました。
ポモドーロ・テクニックを使って時間を区切り、休憩時間はベッドにダイブする手も使えます。
場合によっては肩こりを解消する体操を実施!
エンゼル体操も効果があるかもしれません。
オフィスで仕事をしていると、なんだかんだ割り込みが合ったり話しかけられたり(?)して作業を止めたりすることがありますが、リモートワークをしているとその割り込みがないので休むことを忘れてしまうことがあります。
これが実は恐ろしいと思います。
ねむ!と思ったらさっさと寝てくるくらいのお気持ちで積極的に休息を入れ、効率を維持しましょう!
そうは言ってもリモートワークの支障、あるんでしょう……?
意外にも「なし」と答えた方もいますね。この「なし」回答者は、フルリモート派と週5で会社出社派の両方がいらっしゃいました。もう場所はあまり関係ないかもしれないですね。
別の方は、家で別の作業(家事)をしていると時間を忘れてしまうというトラップ。
そうなんですよ、家事しながら仕事できるんです。これ結構最高で、洗濯物を休日にしなくてよくなるとか色々メリットがあ(ry
上流工程担当者の、議論はやはりオフラインのほうがいいという声。これはそうだと思います。
オフラインに勝るものはない、というのは認識しています。なので、オフィスワークが現実的に可能な位置に住んでいるならばオフィスに行くという柔軟な対応をすれば良いと思っています。
最も効率のよい手段として選択するのです。
ちなみに僕は支障はあるかを考えたのですが、家のネットワークが遅いくらいでしょうか。docker imageをPushすると異常に時間がかかります。
コミュニケーション的には、オフィスに行っても会話が一度しか成立しなかったこともあるので、リモートでもオフィスでもあまり関係ない会話数です。(以下、実話)
せっかくなのでマツリカプロダクトチームのコミュニケーションのコツをご紹介しましょう。
リモートワーカーが所属するチームのコミュニケーション
なんと言っても情報は集約が一番です。メインのコミュニケーションツールは分散させないほうが良いと考えます(つまり、必ずしもSlackである必要はありません)。
「Slackが使い慣れてない人がいるから」といった理由などでエンジニアチームとは別のコミュニケーションツールが並行で運用されるパターンをたまに見ますが、自分の知らないところで何かが決定される場合もあることを考えると避けたい状況です。
ほとんどの情報がSlackを見ればどこかにログが残っているとわかれば、探しものがあっても探しやすいと思います。
- 情報はSlackに(自動的に)集約されるようにする
- 原則オンラインで会話する
サードパーティの通知や、マツリカのプロダクトであるSensesからの通知も、Slackに自動的にポストされます。また、新入社員の自己紹介情報も自動的にSlackのチャンネルにポストされるようにしています。
↓Googleフォームに入力された自己紹介情報がSlackにポストされてるいる様子です。
ひとつ難しい点をあげるとすれば、DM(ダイレクトメッセージ)問題があります。
これは、誰かと誰かが直接メッセージをやり取りすることです。原則、業務に関することはDMしないようにしています。これは、同じやり取りが別々のメンバー同士で二度以上発生すると非効率だからですね。Slackにテキストのログがあればそのキーワードを検索して発見するか、書いた人がリンクを貼れば終わります。
なお詳しくはマツリカの隅田氏がDMしない方がいい理由をまとめています(Slack社内でも展開されたとの噂)。
しかしながら、リモートワーカーがいるマツリカでは、オフィスで直接会話するのもDMと同じ効力を持ってしまいます。通話による業務連絡もSlackにテキストとして残らないので同じです。
これは難しい点です。
僕の場合であれば、意図せずオフラインで会話した場合などはすぐにSlackにも書いてチームメンバーに通知します。
「こういう会話が誰とあって、こういう話になりました。もし別意見があれば今通話しましょう」と言った具合です。
リモートワークを認め運用していくのであれば、思考停止でルールを施行するのではなく「なぜこの行為はよくないのか?」を全員が考えていくことが大事です。
この問題の意味を入社してくる人も皆理解していければ、きっとこの問題は乗り越えることが出来るでしょう。
フルリモートワーカーとオフィスワーカーの交流でやってみたいこと
東京組と書いてますが、これは現実的にオフィスへ出社可能な人のことを指しています。
やはり交流が乏しくなるのは同じチームとして寂しい。ならみんなでできることをやろう!となるのがマツリカの良さだと思います。
これまでオンライン交流でやってきたのはこちらです。
- リモート飲み会(オンラインを会場にすることでリモート参加している人を置いてけぼりにしない)
- e-sports部でスマブラ交流
逆にフルリモートワーカーメンバーが五反田オフィスにくる制度は存在しているので、実際に来たときにランチしたりしています。
何名かの人が話していますが、たまにはこちらがフルリモートワーカーメンバーがいる土地へ行くのも楽しそうです。地元案内してほしい。
発想は無限大です。
「マツリカはリモートワーク推奨なの?」「いいえ」
よく間違われますが、推奨はしてません。
先程も書きましたが、「その人にとって最も生産性が高くて良い手段を取ってください」というだけです。
マツリカでは、創業時からオンラインが前提であることで、リモートワークは文化として根付いています。
はじめてリモートワークをした人は驚くでしょう。これは向いている人、向いていない人がいます。
それは会社に集まって働くのも実は同じです。向いている人、向いていない人がいます。
全員を強制的に同じ働き方で縛るのはもう限界の時代です。
けれども、お仕事は人とするものです。
その誰かとオフラインで話すほうが生産性が向上するなら、必ずしもオンラインにこだわる必要はないですよね。
僕たちメンバーはこれを理解しています。
社員数が増えても変わらず運用できるのは、こうした根底の部分を理解できるメンバーが揃っているからこそと思います。
まとめ
- リモートワーカー、オフィスワーカーが混在していても業務は可能
- コミュニケーションはオンラインが前提。オフラインで決まったことがあったらSlackで共有を忘れずに
- 休憩は積極的に取る。リモートワークで身体を動かしてない人は意識しよう
- リモートワークによって発生する業務の支障は文化の根付きで解消できることが多い
- メンバーはリモートワークを目的ではなく手段として捉える
リモートワークという働き方のイメージがついたなら幸いです。
マツリカでは「俺 動きます。」とInitiativeが取れる方を募集しています