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【グローバルプラットフォーム室事業リーダー 坂井 フレジアーノ 勇磨】海外との垣根をなくしたい。まだ世に出ていない日本の商品を海外に広く届けていく

自分のミッション「日本と海外の垣根すらもないボーダレスな世界を創る」がマクアケとシンクロした

世界中で「Makuake」が広まれば、日本のモノづくり事業者にとって新たな門戸が開く

プランニングの目的は「伝えたい相手」を「笑顔」にする。それを決して忘れない

――グローバルプラットフォーム室事業リーダー 坂井 フレジアーノ 勇磨

中途半端な帰国子女……。自分のアイデンティティのために起業を決意

ブラジルで生まれ、オランダとイギリスで幼少期を過ごし、小6から日本で育った僕は、どこにいても「部外者」みたいな気持ちで過ごしてきたように思います。

例えば、小2から始めたサッカーでは、転校先で「アジア人」という見た目のためか、パスが回ってこないことがありました。パスが来ないと当然点は取れず、プレーすらできません。数か月は悶々として、フラストレーションがたまりました。

ピッチの真ん中からドリブルで上がって点を決めたことで、ようやく周囲の目が変わり始めたものの、自分が「部外者」だと思う気持ちがなくなったわけではありません。

日本に帰国すると、「帰国子女」という目で見られ「坂井は英語ができるから楽でいいよね」と言われる。英語ができるのは自分の実力ではない気がして、いい気持ちはしませんでした。得意な英語を活かして大学で帰国子女の英語クラスに入ったものの、周囲はそれまでずっと英語圏で暮らしていた人ばかり。早くから日本に戻った僕は、彼らと比較すると「英語が喋れない」という状況でした。

自分に付きまとっていた「帰国子女」というレッテルが剥がれると、むしろ「自分って何なんだろう?」と迷いはじめました。

自分の軸が欲しくて、似た境遇を持った友だちと「起業しよう」と盛り上がりました。その後ご縁があって静岡県沼津市の社長さんと知り合い、ラーメンフェスタに出店することになった。それまで偉そうに能書きを垂れていた自分が、現場で売り上げを上げる厳しさを知った初めての体験でした。

マーケティングがどうとか、戦略がどうとかじゃない。見ず知らずの人に話しかけて、目の前の人に買ってもらわなきゃいけないんです。がむしゃらでしたが、その当時の泥臭く地道なやり方は、マクアケに入ってからも生きています。


「世界をつなぎ、アタラシイを創る」のビジョンが自分の想いと重なった

学生時代に個人で掲げたのが、「日本と海外の垣根すらもない世界を創る」というビジョン。それが、当時のマクアケのビジョン「世界をつなぎ、アタラシイを創る」と重なった。その頃の僕には、その2つはまったく同じだとすら思えました。就活では、起業への思いがマッチしたサイバーエージェントに内定をもらいましたが、入社してすぐマクアケにジョインすることにしました。

マクアケにジョインして、キュレーターとして担当したのが、「玉鋼(たまはがね)」という日本刀の原材料を復興させる島根のプロジェクトでした。海外にいた頃、疎外感を持っていた僕が友人たちの注目を集められたのは、当時持っていた「刀のキーホルダー」だった。だから、思い入れが強かったんです。

プロジェクトを通して、困っているメーカーさんを助けることができる実感と、過去の経験がマッチして、「この仕事を極めたい」と思いました。

その後、こだわりの技術を持った町工場のプロジェクトを担当しました。1ミクロン単位まで精密に作れる技術を使ったハンドスピナーで、熱量がたっぷり。僕自身が「売りたい!」と思い、社内の人たちを巻き込みながら取り組みました。多くの人が結集したときのワクワク感が、たくさんの人に通じることを実感しましたね。

その後、この町工場のプロジェクト担当者は、このハンドスピナーをきっかけに事業を立ち上げ、独立されました。事業も拡大し、ご活躍されています。自分自身が関わることの影響や責任を感じ、ますますやりがいを感じたんです。


新たなチャレンジは海外版「Makuake」の事業リーダー

現在は、2021年8月にスタートした海外版「Makuake」である「Makuake Global」の事業リーダーをしています。メイドインジャパン、デザインドインジャパンといったMade with Japanの商品を「Makuake Global」に掲載し、海外の方に届ける仕組みを作っています。日本のメーカーに営業する側面と、海外の生活者に伝えていくプロモーションや広告の側面、さらに、サイトのUI/UXを整備していくといったディレクションの側面もあります。

事業責任者は初めての経験で、驚いたのは「全部自分がやるんだ」ということ。例えば、事業計画書やPLの作成、カスタマーサービスの対応方針検討のみならず、補助金の書類作成などもやります。また、チーム編成もアメリカ人やメキシコ人、パートナー企業の担当者は香港やイギリス在住の人たちがいて多種多様です。

そもそも、海外向けのユーザーエクスペリエンスは雲をつかむような感覚なのに、全員が母国語ではない言語でのコミュニケーション――とても高いハードルに立ち向かっていると思います。

僕は「日本と海外の垣根すらもない世界を創る」というビジョンを掲げていますが「これほどまでに大変なのか」と思い知りました。自分で垣根を作っていることすらあり、過去の自分に「そんなに甘くないよ」と言ってやりたいくらい(笑)。

今は海外でほぼ認知度がない状態なので、いわばゼロからのチャレンジ。商品発送の関係で、ある程度国を絞っていますが、もっと垣根を作らず広げていきたい。ひとつの国で1万人のファンを作るより、100か国で100人ずつファンを作るようなプラットフォームを目指しています。

「Makuake」が扱っているものは、まだ世の中に出ていないものです。他社で扱えない独占商品なので、競争優位性が高い。また、「大量に作って大量に捨てる」文化とは真逆にあたる余剰のない生産を実現する先行受注販売型は、これからの時代や価値観にフィットしています。海外の生活者に対しては“Slow Shopping”と名付けた、自分のためにこだわりや時間をかけて作られる商品を受け取るために、応援の気持ちを込めて先行購入をする購買体験は、イギリスやEU圏では特に支持されると感じています。

購入してくださるサポーターや、PR代理店の反応を見ると、この事業の価値は正しく伝えれば共感してもらえるし、理解してもらえるという手ごたえがありますね。


まだスタートしたばかり。これからの果てしない道のり

今の環境は苦しいこともありますが、世界で「Makuake」が知られる未来を考えると大きな可能性を感じます。成功すれば、日本メーカーなどのモノづくり事業者にとって、前例のないプラットフォームになるでしょう。ECプラットフォームは国内にたくさんありますが、僕たちが目指す規模での海外向けサービスはまだ実現していないからです。

ドメスティックな考え方ではなく、最初から世界戦略を前提にしなければ永遠に達成できないと思っています。つくる人と売る人の強いこだわりがあり、その趣味嗜好にマッチする人がいれば、どこの国からでも買うことができる。そんな世界を実現できる企業が、日本から生まれることを立証したいと考えています。

今はまだ一歩目を踏み出したばかり。踏み出してみて初めて、その先が果てしなく長いという事実を知り愕然としました。

それでも、チャレンジしてみて日本全体の課題を知ることができましたし、経済産業省やJETRO(日本貿易振興機構)さんなどと話をさせていただき、どんどん解像度が上がってきました。いろいろな人を巻き込んで、連動して、猪突猛進していきたいです。

とはいえ、僕の仕事は「伝えたい相手」を「笑顔」にすること。これは、僕が通っていた「さとなおオープンラボ」というプログラムで「プランニングの目的」として再三教えていただいたことです。「グローバル」「広告」「テクノロジー」なんて言っていると、伝える相手がぼやけてしまいがち。だからこそ、サポーターに丁寧にインタビューをして、そこに立ち戻るようにしています。


取材・執筆:栃尾江美 Website

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