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男性育休取得者の上司に聞いてみた!「育休が取りやすい組織」のつくり方

厚生労働省の発表によると日本の男性育休取得率は先進国最低水準の7.48%(2019年度)で、育児介護休業法を改正するなど国を挙げて男性育休の取得が推進されています。内閣府の調査で、男性が育休を1カ月以上取得しない理由として、「職場に迷惑をかけたくないため」(37.2%)、「職場が、男性の育休取得を認めない雰囲気であるため」(32.9%)という回答が多く(*1)、推進においては管理職層の「育休を取得しやすい組織づくり」が鍵となりそうです。

今回は、 男性育休取得者の体験談記事でインタビューを行った取得者の上司に取材。
男性育休に対する管理職の本音や、風土作り、運営マネジメントのコツについて伺いました。
現役で管理職を務める方や、上司の評価が気になって取得に踏み出せない方の参考になれば嬉しいです。

▼男性育休取得者の体験談記事

LINE Fukuokaの男性育休取得状況(2020年度)
取得率:46.2% 平均取得日数:102.6日(中央値:90日)


※写真撮影の際のみ、マスクを外しています

目次
1 育休の相談を受けた時の思い
2 欠員がでても持続可能な組織運営
3 育児と仕事の評価について
4 マネージャーは「何とかする」のが仕事
5 「部下の男性育休」を経験して感じた反省点

育休の相談を受けた時の思い

─お二人とも、それぞれの部署で初めての男性育休取得者を迎えましたが、相談された時、どう思われましたか?

桃田 :(男性育休の取得を)決断し、相談してくれた平さんはすごいと思いました。当時、僕の部署で男性育休の取得者はまだいなかったので、平さんは先陣を切って事例を作ってくれました。

松尾 :純粋に「おめでとう!」と思いました。以前から育休を取得したいという意向は聞いていたので、急な相談というわけでもなかったですね。


欠員がでても持続可能な組織運営

─1ヶ月以上男性育休を取得しない理由として、職場への負担を懸念している人が多いです。お二人は部下が育休を1ヶ月以上取得しています。休業者がでても回る運営や休みやすい風土づくりについて教えてください。

桃田:勝ち続けるチームの特徴は「誰が欠けても高いパフォーマンスを維持できる」こと。誰かが抜けても別の人がフォローできるように、営業手法を型化するなど、スキル面でもタスク面でも属人化しない業務設計を心がけています。

松尾:私の部署でも、急な差込案件や欠員がでることを想定し、業務の可視化や、業務の整理/取捨選択を常に行っています。休みやすさについては、月次でメンバーそれぞれの有給休暇取得状況をチーム内でシェアして、「休むこと」も義務であることを組織内で意識づけしています。私自身も積極的に休暇を取得することで、「休むことが当たり前」の風土づくりをしていますね。

─確かに、普段から有給を取得しづらく、自分が抜けると回らないような職場だと、育休などで「1ヶ月以上休みたい」とは言い出しにくいですね。
男女雇用平等参画状況調査の報告書によると、事業所側の男性育休における課題は「代替要員の確保」が最も多かったようです。(*2)
お二人は常日頃から誰かが抜けても穴埋めできるような組織づくりを心がけていらっしゃいますが、実際に部下が2ヶ月以上男性育休を取得している期間は、どのように業務を運営しましたか?人の補充など行いましたか?

松尾:私は2ヶ月育休を取得した種子島さんの上司ですが、欠員に対する補充は行わずに業務を進行しました。種子島さんのタスクを残ったメンバーで分担し、負荷がかかりすぎないようにメンバーが元々持っていたタスクの整理もしました。マネージャー業務は私が引き継ぐので、私自身のタスクも整理しましたね。

桃田: 僕は半年育休を取得した平さんの上司ですが、他のメンバーが担当顧客やタスクを分担してくれました。メンバーの負荷は上がりましたが、複数人でフォローしたことで負荷を最小に抑えることができたと思います。改めてチームワークが素晴らしい組織だなと思えましたね。当時のメンバーには本当に感謝しています。

─育休など長期期間の欠員が出る場合、今いるメンバーで業務の負担をすれば現状維持は可能ですが、業績を上げようとすると、欠員者の補充は欠かせないと思います。その点はいかがでしょうか?

松尾:そうですね。業務の特性上、欠員者の補充が必要になる部署もあるので、属人化の解消や業務整理を行えば必ず最小限の負担で乗り越えられる、とはいかないですね。私も、自分の部署の人員だけでカバーが難しい場合は、他部署のリーダーに相談をして、人をアサインしてもらうなどの調整を行ったことはあります。

桃田:欠員に対する補充は行っていないですが、業績拡大という側面に対しては、うちは常に人を増やしている状況なので、平さんが不在の間も人は採用し続けていました。残ったメンバーや新たに採用したメンバーの頑張りもあって、営業成績が鈍化する問題もなかったです。

─チームとしての目標数字がある場合、残ったメンバーでその数字を追うことになると思いますが、「(欠員者がでることで)自分のノルマが増えるのはちょっと……」という反応もあるのではないでしょうか? 工夫されたことがあれば教えて下さい。

桃田:目標設定は、一方的に押し付けることはしないです。あくまで実績値を元にして、ポテンシャルを加味し設定します。お互いに納得感のある目標を決めることが重要ですし、達成できる方法を現場リーダーとともに一緒に考えながら日々頑張ってもらっています。

─スキル面とタスク面での「属人化させない業務設計」と、現場のメンバーにも「納得感のある目標設定」によって、ベテランメンバーである平さんが育休を取っている期間も営業成績を拡大し続けることにつながったんですね。
一方、新たに人を採用できないのに部署内のメンバーで足りない場合、管理職は部署間で様々な調整努力をされているんですね……大変だ……


育児と仕事の評価について

─組織に休みやすい風土があったとしても、仕事を第一優先に働いている人からすると、育休や時短勤務の同僚と同じ目線で捉えることが難しく、「自分ばかり遅くまで休まず働いている」といった不公平感につながるケースもあるのかな、と想像してしまいます。
こういった不公平感を生まないために取り組んでいることはありますか?
また、子育てなどでワークライフバランスが必要な社員と、休まず長時間働いている社員で評価は変わりますか?

松尾:まず、基本的に成果に対して評価をします。仕事への姿勢は、LINEは働き方のガイドラインとして「 LINE STYLE」を設けているので、それを軸に評価します。休むことも義務としていますし、36協定もあるので、長時間残業や滅私奉公のような働き方は推奨していません。むしろ、どの社員にも「8時間の就業時間内で達成できる」と考えている仕事をお願いしているので、残業している場合は業務量が多いのか、難易度が高いのか、など複数の側面から事象を判断し、担ってもらう業務を見直します。

桃田:もちろん、仕事を第一優先にチーム目標と向き合ってもらえるのはありがたいのですが、長時間勤務は体調にも影響します。家族構成に関わらず、チーム全員がワークライフバランスのある働き方ができることを目指しています。

─長時間働ける社員には働いてもらう、ではなく、すべての社員にワークライフバランスのある働き方が推奨されれば、働く時間の長さに対する不公平感が生まれることもなくなりそうですね。「仕事の姿勢」に対して明確な評価基準があるのも、ワークライフバランスのある働き方を浸透させるのに有効だと思いました。

上司からの評価や昇進への影響を懸念して、育休取得に踏み出せない人もいると思いますが、実際のところ評価にどのような影響を受けますか?

尾:私自身が1年3ヶ月育休を取得したので、その時の経験を踏まえてお話しすると「育休を取ったから」評価が下がる、ということはないです。
ただ、子どもが生まれると復職後もそれまで通りの働き方はできません。だから、子どもが生まれる前に 職場での信頼を貯蓄しておくことが大切だと「部下の男性育休」を経験して感じた反省点思います。
私はマネージャー時代に育休を取得し、一般社員として復帰。その後、新しい組織が立ち上がるタイミングでまたマネージャーに登用いただきました。時短勤務でしたが、6時間で8時間分のパフォーマンスをだすことは意識しました。
会社にきちんと価値を示し、信頼を得ることができていれば、どんな環境になっても必ず希望通りの状態になれると思います。

─松尾さんは、その後、育児をしながらマネージャー→室長→センター長にキャリアアップしています。信頼貯蓄と成果を出し続けることに集中するのが、キャリアと育児を両立するポイントですね。


マネージャーは「何とかする」のが仕事

─お話を聞いていると、チームメンバーの業務調整や他部署への協力依頼など、部下の育休取得に対するマネージャーの負荷も大きいと思いました。
育休など社員の休業に伴う「マネージャーの負荷」について、どう捉えていますか?

桃田 :マネージャーって管理するのが仕事って思いがちですが、そもそも「Manage」は「なんとか成し遂げる」って意味があるみたいです。マネージャーは予期せぬ場面でなんとかするのが仕事だから、むしろ「ようやく俺の仕事がきた!」って思いますね!

─育休取得者に嫌がらせをする「パタハラ」という行為が社会問題になっています。育休取得者の上司にあたるお二人は、「パタハラ」についてどう思いますか?

松尾:これは、リスク管理の問題。今回はたまたま育休の話だけど、いつ自身の病気、家族の介護等で休業するかなんてわからないですよね。管理職は、急な欠員者がでても持続的に組織が運営できるようにリスク管理をするのも仕事です。「休業されると現場が回らなくなるから」と自分の責務を全うせずメンバーの尊厳を傷つけるのは、リーダーとしてあってはならない行動です。

桃田 :松尾さんに同意です。
育休が取れない職場環境でプライベートが疎かになってしまった人より、育休を取ってお子さんの成長を近くで見守り、産後の大変な時期の奥さんをケアできた人の方が、今後のパフォーマンスも高いと思いませんか?
メンバーが活き活きと出来るだけ長い間一緒に働いてくれることが組織安定化に繋がります。そのためにプライベートを大切にできる職場環境にすることが組織安定化の第一歩と考えています。

松尾:企業は社会の公器で、未来の社会を作る責任があります。組織が一丸となって社員の子育てをサポートすることで、未来の社会を作っているんです。子育ては親だけでなく、上司も含めて「みんなで」やるものです。

─私は育休を取得した種子島さんと同じチームですが、彼が育休中にLINEでチームのみんなに赤ちゃんの様子を報告してくれた時、業務を引き継いだことで間接的に私たちも子育てに協力しているんだ、と実感しました。
部下の今後のパフォーマンス面、公器として未来の社会を作る責任など、長期的な視野を持つと、組織が子育てをサポートする意義が見えてきますね。


「部下の男性育休」を経験して感じた反省点

─部下の男性育休を初めて経験し、「こうすれば良かった!」と気づいたことはありますか?

桃田 :平さんに育休取得について相談された時、「……取っていいでしょうか……」ってとても重たい感じだったんですね。僕のチームでは、まだ男性育休の事例もなかったですし。その時、「男性も育休を取っていいんだよ〜」と、こちらからチームに声をかけてあげれば良かったと思いましたね〜。

松尾:管理職として、部下の個性やコンディションを理解することを大切にしていますが、種子島さんのインタビュー記事を読んで、育休から復帰する時「プチ転職したつもり」の覚悟を持って臨んでいたと知って、まだまだ部下の気持ちを汲み取れていないな……と反省しました。

─男性育休は、まだ前例が少ないため、上司が配慮してあげなければならない点が多そうですね。そうした配慮を重ねることで、男女問わず、育児とキャリアを両方大切にできる社会になるんでしょうね。

今回、上司という立場のお二人に話を聞いてみて、組織が無理なく働き続けられる環境になるよう、部下の仕事面だけでなく、人生にも真摯に向き合っていることに驚きました。
みんなが無理なく働き続けられることが組織安定化につながるのだから、私も含めて部下は育休や働き方などの要望をもっとオープンに上司に相談していいのだと感じました。


1)内閣府調査:https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/result3_covid.pdf
2)男女雇用平等参画状況調査結果報告:https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/03/25/documents/20_01.pdf

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