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新郎新婦や家族の背景に思いを巡らせて かけがえのない瞬間をウェディングフォトに残していく

その人の心の支えになる写真を残したい。クッポグラフィーのフォトグラファーたちはそう願いながら、今そのときにしか起きない瞬間を写真に残しています。クッポグラフィーの写真が生まれる背景にある、数々の物語をご紹介するインタビューシリーズ。

今回は、ウェディング撮影チームの佐々木大翔。

19歳でフォトグラファーとしてデビューをしてから、佐々木は、一人一人の思いに触れながら、その人の内面がにじみ出るような写真を残したいと現場に出ています。結婚式撮影を通して佐々木を成長させた、新郎新婦やご家族と重ねた日々をご紹介します。

佐々木 大翔(ささき ひろと)秋田県出身。高校卒業後、秋田の建設会社に就職。その後結婚式場を運営する企業に転職し、19歳にしてフォトグラファーとしての一歩を踏み出す。2021年クッポグラフィー入社。ウェディングフォトを中心に撮影をする一方で、提携式場での依頼を増やすための施策立案も担当する。小学校から高校まで野球部で活動をしていた経験から、何事にもひたむきにコツコツと努力を重ねられるフォトグラファー。

人に喜ばれることが写真にのめりこむ原動力に

ーーまだ22歳でお若いですが、すでにフォトグラファー歴は3年なんですね。フォトグラファーとして独り立ちしたのはまだ19歳の頃でした。若さが弊害になってというか、若いけど大丈夫かなと不安に思われていた新郎新婦様も多かったかと思います。なので、年齢を聞かれたときも、企業秘密ですって答えていた時期もあったり(笑)

憧れていたクッポグラフィーに入ってからは、撮影チームの一人としてやれていることが自信にもなって、年齢に触れられても素直に受け止めて「写真を楽しみにしていてくださいね」と自信をもって伝えられるようになりました。

ーーそれだけ、重ねてきた経験が年齢を超えて自信にも繋がってきているんですね。写真はいつから始めたんですか?

自分のカメラを買って始めたのは、社会人になってすぐでした。そこからは趣味で撮っていて。卒業後すぐに就職した会社の先輩が写真をやっていて、すごく格好いいなと思って僕も始めたんです。

ーーどんな写真を撮っていたんですか?

何気ない日常でしたね。友達を撮ったり、遊びに行った先の風景を撮ったり。今思えば、あのときの写真、全部バストアップばかりでした(笑)

ーーそうなんですね(笑)

それでも何だか楽しくて。撮った写真を友達に渡すとすごく喜んでくれたり、その写真をインスタに上げてくれたり。人に喜ばれることの嬉しさを知って、どんどんのめり込んでいきました。

ーー趣味の写真を仕事にしたいと思ったのはどうしてだったのですか?

兄の結婚式がきっかけになりました。これも趣味の範囲で撮ったのですが、兄と奥さんがすごく喜んでくれて。これを仕事にしたらきっと楽しいだろうなって思ったんです。

ちょうど知人が、結婚式の写真撮影を仕事にしていたので、自分も一緒に撮りに行かせてもらう機会もあって。フォトグラファーの道を考えて、その中でもウェディングフォトに絞って仕事を探しました。

クッポグラフィーの写真から学び続け、入社へ

ーーその後転職したのが、結婚式場を運営する会社だったんですね。

そこで、念願のウェディングフォトの撮影を担当できることになりました。撮影件数がすごく多かったので、先輩について回って一緒に撮りながら学んでいきました。

今もですが、結婚式の撮影が本当に好きで。ヘアメイクシーンから披露宴のお開きまで8時間ほど撮影をするのですが、その中で色んなドラマが起きるんですよね。久しぶりに再会した友達と盛り上がったり、お父様やお母様が泣いていたり。どのシーンも撮り甲斐があって。

ーーそうなんですね。そんな中、クッポグラフィーはどのように知ったのですか?

結婚式の撮影デビューに向けて上司に写真をチェックしてもらっているときに、「東京にはこういった撮影会社があって、すごく勉強になるからインスタのアカウントを見て研究してみるといいよ」と教えてもらったのが、クッポグラフィーのアカウントでした。

もう写真を見て衝撃が走りました…。なんじゃこりゃ!って(笑)

ーーそんな衝撃があったんですね(笑)

どうやったらこんな風に撮影できるんだろうといった構図の写真であったり、自分がやったことがない撮り方の写真ばかりでした。ただかっこいいだけではなくて、新郎新婦の関係性や背景が浮かび上がるような写真で。東京にはすごい人たちがいるなと。

ーーそこからどうやって学んだんですか?

色々と真似してたくさん撮っていました(笑)。こういう風に配置して、こうすればいいのかなと試したり、見よう見まねでやってみてました。同僚にもいいねって言われたりして。

ーーなるほど。まさか入社をすることになるなんて。

そうなんですよ。コロナが蔓延していた時期に、結婚式や前撮りがほぼ全部キャンセルになってしまって。式を楽しみにされていた新郎新婦の力になれないことが残念な気持ちでいっぱいになりました。

そして、今後のために写真をもっと上手になりたいと思っていたのに、撮影がないので在宅勤務で研修を受ける日々が続き…。

この状況が続いていいのだろうかとモヤモヤしていたときに、代表の久保さんがインスタで採用情報を出していたんです。話を聞くだけでもといった気軽な一言があったので、聞くだけ聞いてみたいなと思って連絡してみました。

ーーそれで、聞いてみてどうでしたか?

すぐに入りたいと。

ーー早いですね(笑)

話を聞くだけと思っていたのですが、聞き終わったら、もう絶対行きたいですっていう気持ちになってしまいました(笑) 久保さんがクッポグラフィーで働いている人たちの話をしていて、一人一人のことをリスペクトしているのがすごく伝わってきましたし、職場の様子もすごく楽しそうで。真似するくらい写真には憧れを持っていましたが、働く人や環境までいいなんて、自分もそこで挑戦してみたいと思ったんです。

事前準備の大切さを知った ある新郎の母の言葉

ーー念願のクッポグラフィーに入社して、その後2か月ほどでウェディングのフォトグラファーとしてデビューしたと聞いています。

もともと経験があったことが少しはデビューまでの役に立ったと思いますが、周りのフォトグラファーの方たちがすごく支えてくれて。デビューまでは、先輩のセカンドカメラマンとして現場に入ったり、自分がメインで先輩がセカンドで入ってくれたり。

でも、初めての独り立ちのときは、前日からそわそわしてしまって。新郎新婦のおふたりや式場担当者の方には迷惑はかけられないというプレッシャーもあって、不安でいっぱいでした。デビューしたての頃は新郎新婦の控室をノックするまでに5分もかかってしまったり(笑)

ーーそうだったんですね。今はもう緊張はないですか。

撮影後は一人で反省会をする中で、準備の足りなさのせいで緊張や不安に繋がっているんだなと痛感して。今では事前の準備を念入りにするようになったので、当時のような不安はなくなりましたね。

佐々木が撮影する結婚式の写真には、それぞれのゲストが生き生きとした表情でその瞬間を楽しむ様子が収められている

ーー事前準備ですか?

式場担当者の方から事前に送っていただいた、新郎新婦のプロフィールや二人のこれまでのストーリーを見て、大事なところをスクショして忘れないようにしたり。お支度の時間は結構長いので、そこでできるだけ、新郎新婦やご家族の方と話をして、どんな人生を送ってきたのかを知って心に留めるようにしています。そのためには、事前に何を話そうか練りに練ってから控室に入るようにしたり。

その甲斐あってか、先日嬉しい出来事があって。

ーー嬉しい出来事ですか。

ご新郎のプロフィールに、中学時代にされていたスポーツのことが書いてあったので、そのことを中心に話を聞いてみようと準備をしたことで、当時の話をたくさん聞くことができました。その後、新郎のお母様と接するときに、ご新郎から聞いた話をもとに、控室に飾ってあった中学時代の友人たちとスポーツをしている写真を眺めながら一緒に話ができて。

後日写真を納品したときにいただいたメールに、お母様からのメッセージが添えてあったんです。

まるで以前から僕が新郎のことを知っているかのような、新郎の古くからの友人と話しているような気持ちになって、当時の思い出が蘇ってとても楽しい時間になりましたと。

ーーそれは嬉しいですね。お母様の気持ちに寄り添うことができたような。

できていたのかもしれないですね。新郎新婦やご家族の背景をできるだけ理解することで、その人らしさやその人が大切にしていることを写真に残せると思っていて。

結婚式というイベントを撮るのではなく、お二人やお二人を育てたご両親がどんな気持ちでこの日を迎えているのか想像しながらシャッターを切るようにしています。

そのためには、事前の準備や、主役のお二人だけではなくその周りの人たちとの距離も、できるだけ縮めながら撮影することが大切なんだと改めて感じた出来事でした。

チームで刺激しあえる環境が技術の向上へと繋がる

ーー写真の技術を上げるために何かやっていることはあるんですか?

頻繁に誰かに写真を見てもらうようにはしています。それこそ、フォトグラファー同士でよく写真を見せあっていますね。定期的にフォトグラファーが集まって、みんなで意見を言い合うレビュー会も開催されますしすごく的確に色んな意見をくれるので、次の撮影に活かせたりしてありがたいです。

ーー悩みなども相談できたり。

そうですね。まだデビューして間もない頃、インパクトがある写真が撮れずに悩んでいた時期がありました。入社前に見よう見まねでユニークな写真を撮ってみたりしていましたが、入社後は自分のオリジナリティを出していきたいと思っていたのに…。

そこで、先輩フォトグラファーに写真を見てもらって、35mmのレンズをもう少し上手に使えるといいねとアドバイスをもらって。自分で撮影した写真と先輩が撮影した写真を並べてレクチャーもしてもらいました。

初めはうまく使えませんでしたが、実戦でも試してみたりする中で、以前よりもユニークな写真を撮れるようになったり、視点が養われていきました。

ーー同僚から別の角度でアドバイスをもらえるのはいいですね。

自分では気づかなかったことを丁寧に教えていただいて、自分なりに応用することもできるようになって、今の撮影のベースになっています。誰に相談してもみんな嫌な顔ひとつせず相談に乗ってくれるんですよね。もっとうまくなりたいので積極的に自分から声をかけるようにしています。

ーーライバルという関係ではなく、同業種で切磋琢磨できる環境っていうのはいいですね。

そうですね。年上のフォトグラファーも、どんどん意見を言ってくださいみたいな感じで見せてくださるので、僕も少しでも何かお役に立てるように意見を言うようにしています。

亡くなったお母さんの存在も感じられるような写真を 涙と笑顔の結婚式

そういえばつい先日、僕にとって転機となるような結婚式の撮影がありました。

ーー転機ですか。どのような撮影だったんですか?

ご新郎のお母様が亡くなられて2年後の結婚式でした。新郎新婦それぞれがご両親に向けた手紙を書いて、式が始まる前にご両親だけでその手紙を読む時間があったのですが、ご新郎はお母様に向けた手紙も用意されていて。そういったことは僕にとって初めてでした。お父様は二人分の手紙を読みながら、涙を流されていました。

提携式場の IWAI OMOTESANDO では、新郎新婦が事前にご両親に向けた手紙を届ける

新郎のお父様が手紙を読んでいる際は、フォトグラファーも同席して撮影する

ーーそのときも佐々木さんは撮影を。

その時間もフォトグラファーとしてその場で撮影をしています。こんな大切な場にいさせていただいて、ありがとうございますとすみませんの気持ちでいっぱいになりながら。でも、なんとかこの親子のために残るものを撮ってあげたいと思いながらシャッターを切っていました。

手紙を読んだ後に、親子で対面して少し話をする時間があるのですが、ご新郎もお父様も対面前から泣いていました。対面したときは、お父様は手にされていたお母様の遺影を眺めながら、

「こんな時、母さんだったら明るく笑ってたんだろうな」

と、一言呟かれたんです。

お二人の間にはいつもお母様が色濃く存在していて、ご新郎とお父様のお話を聞きながら、この式でお母様の存在を感じさせるような写真を撮りたいと思っていました。そして、お話の中で、明るいお母様だったこともわかったので、数年経った後も、明るかったお母様を思い出せるような1枚をと。

そばにいなかった悲しみではなく、家族みんなが笑顔でお祝いできたことを思い出せるような写真を残せるように。自分の中でこの親子の人生に思いを巡らせながら、写真を撮り続けていました。

ーーご家族は写真を見てどんな反応がありましたか?

撮影後間もなく、インスタに写真をアップしたのを見て、ご新郎のお兄様から、「職場で写真を拝見して、危うく泣きそうになった」とダイレクトメッセージをいただきました。そして、「家族にとって忘れられない1日になった」と。

納品前に、しかも新郎新婦からではなくそのご家族から直接メッセージをいただいたことは初めてで。インスタも繋がっていない方だったのでわざわざ見てくださったことも嬉しくて。あぁ、フォトグラファーをやっていてよかったなと心から思いました。

社内のスタッフからも「昨日の写真すごくよかった」と声をかけてもらったり、呼びかけていないのに自然とスタッフみんなが投稿のシェアをしてくれたり。反響が大きかったですね。

ーー大切な1枚になるといいですね。

本当に。この家族にとって、心の支えになる写真になってくれたらと強く思いました。

これまでは自分が良いと思った写真を撮ることに一生懸命になっていましたが、今回の撮影を通して、大切なのはお客様の思いを知ることだと改めて気づかされました。

結婚式をあげる人それぞれに、家族の営みや背景があって。中には、家族の間で確執を抱えたまま当日を迎える方もいたり、様々です。新郎新婦や家族のこれまでの人生をできる限り知ることで、撮った写真がこれからの人生にとって背中を押すような1枚になるように。今回の結婚式をきっかけに、そんな視点を持って撮影ができるようになったと感じています。

ーー今後やってみたいことや目標はありますか?

僕が今、毎週末に結婚式の撮影ができたり、スタジオで毎日のように家族やカップルの方々の撮影に関われるのは、これまでクッポグラフィーで働いていたスタッフが築いてきた信頼のおかげで。自分もその信頼に少しでも貢献できる一人になることが、今の目標ですね。

19歳のときの僕がクッポグラフィーの写真に感動して、見よう見まねでウェディングフォトを撮り始めたところから始まり、今はウェディング撮影チームの一員になりました。今度は自分が、こんな写真を撮ってみたい、こんなフォトグラファーになりたいと思われるような一人になれるように、一つ一つの出会いを大切にしながら成長していきたいです。


取材・文:石垣藍子

撮影:クッポグラフィー

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