僕たちKUJIRAは、リノベーション会社だ。
住宅のリノベーション、オフィスや店舗のデザイン・施工、その周辺の不動産業務をやってきた。 でも、僕たちはホテルも運営している。大阪・布施の商店街に点在する空き家を客室にリノベーションして、銭湯を「大浴場」、飲食店を「夕食・朝食会場」に位置づけ直した「まちごとホテル」——SEKAI HOTELだ。
「なんでリノベ会社がホテル運営までやるん?運営は専門業者に任せたらええやん」とよく言われる。
違うよ。リノベーション会社が運営までやるからこそ、SEKAI HOTELは成立すんねん。
続いている理由は、"非常識"にある。
SEKAI HOTEL Osaka FUSEは2017年の開業から8年。2025年には年間宿泊者数10,000人を達成した。ガイアの夜明け、クローズアップ現代、日本経済新聞、National Geographic——ありがたいことに、継続的にメディアに取り上げてもらっている。
なぜ続いているのか。それは、非常識の連続で成り立っているからだと思う。
僕たちは、3つの業界の常識にチャレンジしている。
① リノベーション会社としての非常識:自社施工
普通、施工は下請けに外注する。効率がいいし、固定費も抑えられるから。
でも僕たちはやらない。SEKAI HOTELの客室は元空き家・元空きテナント。築年数も構造もバラバラで、「予想外の柱が出てきた」「この時代の人、なんでこんな建て方したん?笑」みたいなサプライズだらけ。設計図通りにいかへん現場で、即断即決できる体制が必要やねん。
② 不動産開発としての非常識:川下から計画する
普通のホテル開発は、まず資金調達ありき。利回りから逆算して規模と運営を決める"川上からの試算"だ。
僕たちは逆。このまちの「一歩先の未来のシーン」を先に描く。
地域住民と立ち話できる関係性をつくるには、スタッフ何人必要? まちの人が「暮らしを壊された」と思わない宿泊客数の限度は?——そこから逆算して、最後に資金調達を組む。
「それで投資家を説得できるん?」ってよく言われる。正直、めちゃくちゃ苦労した。笑 だから、数字の前にまず泊まってもらう。体験してもらうと「利回りに合わへんから使わない」が「この感動体験のために、どう資金調達しましょ?」に変わる。これがたまらなく気持ちいい。
③ ホテル運営としての非常識:ホスピタリティではなくフレンドシップ
SEKAI HOTELでは「ホスピタリティ」という言葉を使わない。代わりに「フレンドシップ」。
宿泊客・地域住民・スタッフが対等なコミュニティ。「おもてなし」ではなく「旧友を招いたような」感覚。スタッフが個別におすすめスポットを紹介するLINEや、商店街の店主同士がお客さんを紹介し合う「太鼓判カード」も、全部そこから生まれている。
僕たちがリノベーションしているもの
僕たちがやりたいのは、非常識の連続じゃない。
「まちに何を届けられるか」——その問いから始めたら、自社施工になった。川下から計画するようになった。フレンドシップという言葉が生まれた。結果的に非常識に見えているだけで、僕たちにとっては自然な選択の連続やった。
僕たちがやっているのは、空き家をホテルにリノベーションすることじゃない。
ホテルの開発・運営の構造そのものを、リノベーションしている。
SEKAI HOTELは、僕たちにとってのひとつの答え。でも、ゴールじゃない。問い直す対象が変わっても、問い直すこと自体はやめない。
この"問い直す"プロセスを一緒に楽しめる人と、働きたいと思っている。