日本の製造業は今、大きな転換期にあります。人手不足、技能継承、既存システムの老朽化、そしてグローバル競争。DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性は、どの現場でも急速に高まっています。
私たちKaopizは、ベトナムを拠点に日本のお客様のソフトウェア開発を支援しており、近年は製造業のDXプロジェクトに関わる機会が増えてきました。今回は、実際に現場で見えてきたことと、これから一緒に働いてくれる方への思いを、率直にお伝えしたいと思います。
なぜ「製造業DX」に注力しているのか
正直なところ、私たちが製造業DXを積極的に手がけるようになったのは、最初から明確な戦略があったわけではありませんでした。ご縁のあったお客様の課題に一つひとつ向き合っていくうちに、「この領域には、私たちが貢献できることが多くある」と気づいたのが始まりです。
製造業の現場は、Web業界とは違うリズムで動いています。工場のライン、ベテランの職人さんが持つ暗黙知、何十年も動き続けている基幹システム。それぞれに「変えられない事情」があり、単にモダンな技術で置き換えれば済む、という話ではありません。
だからこそ、開発者としてやりがいのある領域だと感じています。技術力と、相手の現場を理解しようとする姿勢の両方が求められるからです。
ある案件で経験したこと
先日、あるお客様のプロジェクトで、紙の作業指示書をタブレット端末に置き換える取り組みに携わりました。技術的にはシンプルに見える課題です。しかし実際に工場を訪問させていただき、現場の方々のお話を伺うと、事前の想定とは違うことが次々と見えてきました。
手袋をしたままでも操作できるUIが必要なこと。粉塵の多い環境では画面がすぐ汚れるので、大きなボタンとハイコントラストの配色が要ること。ベテランの方々が長年慣れた作業順序を、システム側が無理に変えないこと。既存の生産管理システムから、どのタイミングで、どの単位でデータを引き渡すか。
要件定義書だけを読んでいたら気づけなかった観点ばかりでした。この経験を通じて、私たちは「オフショア開発だからこそ、現場に足を運ぶ」という姿勢を、これまで以上に大事にするようになりました。
私たちが学んだ2つのこと
いくつかの製造業DXプロジェクトに関わる中で、特に大切だと感じるようになったことが2つあります。
ひとつは、「小さく始めて育てる」姿勢です。製造業のシステムは、生産ラインが止まると即座に売上に影響します。一気に大きく変えるアプローチは、現場にもリスクが大きい。私たちがご支援するプロジェクトの多くは、まずひとつのラインや工程を対象にPoCから始め、効果を確認しながら段階的に横展開していく形をとっています。
もうひとつは、「継続的に伴走する」ことです。DXは一度導入して終わりではなく、現場が使いこなせるようになるまで、そしてその先の改善まで含めて長い時間軸のある取り組みです。だからこそ、単発の受託ではなく、パートナーとして長期的に関わる姿勢が求められると考えています。
製造業DXについて、もう少し知りたい方へ
製造業DXという言葉自体は最近よく耳にするようになりましたが、業界としてどのようなアプローチが議論されているのか、どこに難しさがあるのかは、まだ整理された情報が少ないと感じています。
もし全体像に興味がある方は、製造業DXについて私たちがまとめた解説記事もあわせて読んでみてください。業界の現状、代表的な取り組み、導入時に気をつけるポイントなどを整理しています。これから製造業のプロジェクトに関わる方には、現場での議論の下地としてお役に立てるかと思います。
技術スタックと、その先にあるもの
実際のプロジェクトで使う技術は、案件ごとに幅があります。フロントエンドは React や Next.js、バックエンドは TypeScript や Go、Python。データベースは PostgreSQL、時系列データを扱う案件では専用の DB を使うこともあります。クラウドは AWS が中心で、工場側の設備データを扱うプロジェクトでは IoT 系のマネージドサービスも活用しています。
ただ、私たちが大事にしているのは、「その場面でもっとも適した技術を選ぶ」姿勢です。新しい技術を追いかけることも大事ですが、現場の運用や既存資産との整合性を無視した提案は、結局お客様のためにならないと考えています。
一緒に働いてくれる方へ
製造業DXに携わるチームでは、次のような姿勢を持った方と一緒に働きたいと考えています。
技術に興味があり、学び続けられること。相手の立場に立って物事を考えられること。完成度100%を待たずに、まず動かして改善していける柔軟さ。そして何より、「日本のものづくりの現場に価値を届けたい」という気持ちを共有できること。
まだ製造業のドメイン知識がなくても、大丈夫です。私たちのメンバーも、最初は誰もが初心者でした。現場に足を運び、お客様のお話を伺い、少しずつ理解を深めていくプロセスそのものが、この仕事の面白さでもあります。
最後に
製造業DXは、決して華やかな領域ではないかもしれません。派手なSaaSプロダクトの立ち上げでもなく、話題のスタートアップに参画するわけでもない。しかし、日本のものづくりという、この国の根幹を支えてきた産業の未来に関われる、大きな意味のある仕事だと私たちは考えています。
もし少しでも興味を持っていただけたら、まずはカジュアルにお話ししませんか。オンラインで気軽にお話しできる機会を用意していますので、お気軽にご連絡ください。
皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。