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世界は今、新しい世界秩序という名の元に、二つの見えない勢力が激しくぶつかり合っている。その舞台は、イデオロギーが生まれ、かつその司令部のある地域ではなく、別な場所で、その代理戦争が行われている。雇われた傭兵や軍事組織のプロ同士の見えない殺し合いに、罪のない一般市民が大儀のない空爆によって虫けらの如く巻き添えを食らっている。大量の難民が生まれ、憎しみが憎しみを増幅させている。この得体の知れないイデオロギーに、他人事だと思っていた人びとは翻弄され、気付いた時には、この上ない屈辱と痛み、試練が突きつけられる。自称エリートの極僅かな人間たちが作り上げた幻想の世界で、希少で尊い私たち一人ひとりの命が、小さなボードゲームの上で操られていく。