選挙プランナーとなったきっかけ
高校3年生のとき、私は青山学院高等部の生徒会にいました。
通学路に歩きたばこをする人が多くて、何とかしたいと思ったんです。それで、渋谷区に「歩行喫煙禁止条例」を作ってもらおうと動き始めました。署名を集めて、区議会議員に会いに行って、陳情を出して。結果は否決でしたが、そのプロセスで地方議員と関わる機会があり、「政治って面白いな」と思うようになりました。
大学に入ってからは、政治の現場に顔を出すようになりました。といっても、華やかな政策議論の場ではなく、選挙の現場です。ポスターを貼ったり、チラシを配ったり、電話をかけたり。気づけば選挙ばかりやっていました。
そのうち、「選挙って、もっと科学的にできるんじゃないか」と思うようになったんです。当時の選挙現場は、経験と勘に頼る部分が大きかった。データを使えばもっと効率的にできるはず。そう考えて、2010年、22歳のときにジャッグジャパンを起業しました。
選挙プランナーとは何か
選挙プランナーとは、候補者が選挙に勝つための戦略を立案し、その実行を支援する専門家です。
選挙には複合的な要素が絡み合います。選挙区の人口動態や投票行動の傾向、候補者のポジショニング、対立候補との差別化、限られたリソースの最適配分——これらを総合的に分析し、勝利への道筋を描くのが私たちの仕事です。
具体的には、情勢調査の設計・実施・分析、広報戦略の立案、クリエイティブの制作ディレクション、日々の活動計画の策定など、選挙にまつわる意思決定全般を支援します。
米国では「キャンペーンマネージャー」「ポリティカルコンサルタント」として確立された職種ですが、日本では専業で行う事業者はごく少数です。政治学の知見、マーケティングの手法、データサイエンスの技術——これらを横断的に駆使しながら、日本における選挙コンサルティングの方法論を自ら構築している段階にあります。
この仕事の本質
選挙は民主主義の根幹です。有権者が候補者を選び、その結果として政策が決まり、社会が形作られていく。選挙プランナーの仕事は、このプロセスに直接関与するものです。
私たちの役割は、候補者の政策や理念を有権者に届けること。どれほど優れた政策を持っていても、有権者に届かなければ意味がありません。届け方を最適化し、候補者と有権者のコミュニケーションを設計する——それが私たちの仕事の本質です。
したがって、私たちは「誰を勝たせるか」より「どう届けるか」に専門性を置いています。特定の政治的立場に与するのではなく、党派を超えて、すべての候補者が自らの主張を有権者に届けられる環境を整える。
知的挑戦としての選挙
選挙は、不確実性の高い環境下での意思決定の連続です。
公職選挙法という制約条件の中で、限られた時間とリソースを最適配分しなければならない。情勢は刻一刻と変化し、対立候補の動きにも対応が求められる。有権者の投票行動は複雑で、単純なモデルでは予測しきれない。
この複雑な問題に対して、データと理論を武器に挑む。それが「選挙を科学する」という私たちのアプローチです。
選挙研究は、政治学の中でも実証研究が進んでいる分野の一つです。投票行動論、世論調査方法論、政治コミュニケーション論——それだけではなく、政治学だけではなく、社会学、心理学の知見をフルに生かしたアプローチが求められます。アカデミックな知見を実務に応用しながら、同時に実務から得られた知見を体系化していく。理論と実践を往復する知的営みとして、この仕事には尽きない面白さがあります。
求める人物像
私たちが求めるのは、「考えることを厭わない人」です。
前例のない課題に対して、自ら仮説を立て、検証し、修正していく。そのプロセスを楽しめる人。既存の枠組みに収まらない問題を、むしろ面白いと思える人。
政治の知識は入社後に身につけられます。重要なのは、複雑な事象を構造的に理解しようとする姿勢と、抽象と具体を行き来できる思考力です。
「選挙を科学する」という挑戦に、知的好奇心を持って向き合える方をお待ちしています。