こんにちは!インヴァスト株式会社の子会社であるボーディングスクールコンサルティング株式会社(以下「BSC」)の工藤 愛子です。
2025年4月に5日間、BSCの横山社長とともにタイのボーディングスクールを視察する出張に行ってまいりましたので、その様子をご報告いたします!
タイのボーディングスクール視察出張の目的
近年、日本のご家庭において「教育移住」や「親子留学」への関心が急速に高まるなか、東南アジアは「気候、距離、費用」のバランスに優れた注目エリアとして脚光を浴びています。これまで私たちBSCでは、北米やヨーロッパの名門ボーディングスクールを中心にご紹介してまいりましたが、実は東南アジアにも、国際的なカリキュラムとボーディングスクール教育の理念を融合させた、優れた教育機関が数多く存在します。
特にタイ王国は、首都バンコクをはじめとする都市部において、グローバルな教育水準とホスピタリティに満ちた生活環境が整っており、今後、日本人生徒にとっても現実的かつ魅力的な留学選択肢の一つとなる可能性を秘めています。今回、私たちはその第一歩として、タイ国内4校のボーディングスクールを視察しました。
出張1日目は、現地の日系不動産会社「Landhousing Thailand」様を訪問し、タイのインフラ事情や教育環境、在タイ日本人の暮らしについて貴重なお話を伺いました。2日目は、東南アジアで主に利用されている配車アプリ「Grab」を活用して、バンコク近郊の2校を訪問。3日目は、公共の長距離バスでバンコクから南東に約140km離れたパタヤにある学校へ。4日目には、飛行機で北西に約700km移動し、チェンマイのボーディングスクールを視察しました。
タイの気候や教育について
タイには主に3つの季節があり、3月~5月が暑季、6月~10月が雨季、11月~2月が乾季です。私たちが訪問したのは、4月15日のタイ正月(ソンクラン)の長期休暇明けで、最高気温は37℃、最低気温は27℃と、一年で最も暑い時期でした。
北米や欧州では新年度が9月に始まる学校が多いのに対し、タイのインターナショナルスクールは8月始まりが一般的です。国内には250校を超えるインターナショナルスクールがあり、タイ人だけでなく、駐在外国人の家庭からも多くの需要があります。
このような背景から、寮のある学校であっても通学生の割合が高く、寮生は比較的少数派という傾向があります。寮生は9歳や10歳といった低年齢から受け入れ可能な学校も多く、週末は自宅に戻る「Weekly boarder」や「5-days boarder」という選択肢も提供されています。
また、気候に配慮した建築デザインが印象的で、屋根付きのプールや校舎間をつなぐ屋根付きの渡り廊下など、暑さや雨への対応が随所に見られました。広大なキャンパスを持つ学校が多く、移動にはゴルフカートを使用することもありました。
訪問したボーディングスクールの特徴
ここからは、訪問した4校のボーディングスクールの特徴についてご紹介します。
KIS International School Reignwood Park
2024年に開校したばかりの真新しい校舎がとても印象的な学校です。1998年に開校したバンコク本校が通学生のための学校であるのに対して、寮を持つ学校として、バンコクから車で1時間10分ほどの位置に建てられたのがKIS International School Reignwood Park(以下、KISRP)です。タイ最大級の高級複合施設であるReignwood Parkエリアに入場するためにはセキュリティゲートを通る必要があり、約319万6千平方メートル(東京ドーム68個分)の広大な敷地内に、KISRPの他、18ホールのゴルフ場とゴルフアカデミー、商業施設と飲食施設、スポーツ&ウェルネス施設とホテル、プール付きのヴィラとレジデンス棟などを有します。
KISRPは、3歳から18歳までの計2,200名の生徒を収容できる学校で、開校初年度の今年はEarly Year 1(3歳)からGrade 9(15歳)までの160名の生徒が在籍しています。現時点では約半数がタイ人、残りの半数がそれ以外の国籍の生徒です。
教育カリキュラムにおいては、バンコク近郊で唯一、幼稚園から高校までの全課程でIB(国際バカロレア)認定を受けた学校です。Grade 5(11歳)まではPYP(Primary Years Programme)、Grade 6からGrade 9(12歳から15歳)まではMYP(Middle Years Programme)、Grade 10(16歳)以上は大学進学に向けたIBDP(IB Diploma Programme)と職業・専門分野に特化したIBCP(IB Career-related Programme)に分かれて、生徒一人ひとりの特性や興味に応じたコース選択をします。
(Admissionの建物内にある、学校の全貌が分かるジオラマ模型)
The American School of Bangkok - Green Valley Campus
1997年に開校したThe American School of Bangkok - Green Valley Campusは、バンコクから車で50分の距離にあります。2歳から18歳までの約500名の生徒が在籍しており、その約60%がタイ人です。寮の最大収容人数は100名で、訪問した学校の中では比較的寮生率の高い学校です。
最新鋭のゴルフシミュレーターを5台持ち、プロを目指す生徒がPGA認定のコーチからマンツーマンレッスンを受けられる設備が整っています。食事は、ウェスタンスタイルとタイ料理を掛け合わせたメニューが提供されます。
教育カリキュラムにおいては、アメリカの大学レベルの授業であるAP(Advanced Placement)とIB(国際バカロレア)のうち、生徒が各々の適性に合うコースを選ぶことができます。
(ゴルフシミュレーターを使い、PGA認定のコーチからレッスンを受けている様子)
Rugby School Thailand
Rugby School Thailand(以下、RST)は、今回の出張で訪問した学校の中で唯一の英国式の学校です。バンコクから長距離バスとタクシーを乗り継いで、2時間20分の距離にあるパタヤに位置するRSTは、イギリスの本校に次いで2017年に開校しました。2023年にはRugby School Japanが千葉県柏市に開校し、現在はナイジェリア校を建設中とのことです。世界各地にあるRugby School共通の教育理念として、「The Whole Person, The Whole Point(全人教育こそが、教育の本質)」を掲げており、学業はもちろん、スポーツや芸術活動にも重きを置いています。
1歳から18歳の生徒合わせて1,200名が在籍しており、そのうち寮生は約200名、全校生徒数の約40%がタイ人です。スポーツ施設としては、50メートルの競技用プールと25メートルのプール、バスケットボールコート6面、バレーボールコート4面、バドミントンコート14面、多目的球技コート、フットボール兼ラグビー場、陸上競技トラック、テニスコート4面、サイクリング兼ランニング用トレイルなど、屋内外の様々な設備が整っています。
今回の出張で訪問した他の学校の教員が様々な地域から集まった英語話者であるのに対して、RSTの教員150名は全員イギリスから来ているということが一つの特徴です。教育カリキュラムに関して、中学課程修了後は、Year 10からYear 11(14歳から15歳)でIGCSE(International General Certificate of Secondary Education:イギリス式の国際中等教育修了資格)を、Year 12からYear 13(16歳から17歳)でAレベル(Advanced Level:イギリスの高校課程後半で学ぶ専門科目)を取得します。
(広々とした天然芝のキャンパスと青空に映える教室棟)
Prem International School
バンコクから1時間20分のフライトでチェンマイ空港に行き、空港から車で1時間の距離にあるのがPrem International School(以下、Prem)です。2001年に開校し、3歳から18歳までの約530名の生徒が在籍しています。寮生は約100名で、国籍として一番多いのは中国人で全校生徒の約40%にのぼります。
Premは、タイで初めて全学年のIB(国際バカロレア)を導入した学校です。中学部ではMYPを通じて、教科横断的なプロジェクト学習やイノベーションタイム(創造的探究の時間)があり、Grade 10(16歳)の時には生徒一人ひとりが研究課題を決めるパーソナル・プロジェクトが課されます。
学校の敷地内に湖があり、建物の外にはたくさんの木が生い茂り、自然と共生するキャンパスであることを感じるとともに、日差しの強いタイでもなるべく日陰が多くなるよう工夫されていることが分かりました。
(自然と共生する寮の建物)
タイのボーディングスクールの魅力
今回の視察訪問を通じて、タイのボーディングスクールには以下のような大きな魅力があることを実感しました。
- 国際的な教育環境:アメリカ式やイギリス式など、タイ国内でも様々な世界標準の教育プログラムを提供する学校の選択肢があることは、北米や欧州とは異なる特徴です。
- 自然豊かで広大なキャンパス:学業だけでなく、スポーツや芸術活動に全力投球したい生徒にとっても十分な施設が整った学校が多くあります。
- アジアを中心とした多様な国籍の生徒:東南アジアにある学校でありながら、北米や欧州からの生徒とも学校生活を送ることで、異文化理解を深めることができる環境が整っています。
- 比較的リーズナブルな学費:欧米の学校に比べて費用面での負担が少ないこともタイのボーディングスクールの特徴の一つです。
また、タイという国自体の治安の良さや、日本からのアクセスの良さ(直行便で6時間程度)も、学校を決めるうえで大きな安心材料となると感じました。比較的低年齢から単身で渡航する寮生を受け入れている学校が多いため、小学校中学年や高学年からの初めての海外留学を検討しているご家庭にも自信を持っておすすめしたい渡航先です。
今後もBSCでは、お客様一人ひとりに合った最適な留学プランをご提案できるよう、世界各国の優れたボーディングスクールに実際に赴き、現地でしか体感することのできない学校の魅力をお伝えしていきます。