インヴァスト証券株式会社広報担当です。今回はインヴァスト株式会社専務取締役でインヴァスト証券代表取締役会長兼社長の川上 真人氏に、インヴァスト証券の2026年3月期について詳しく話を伺いました。
業績不振だった前期の分析や回復期に入った今期にどのような施策を展開したのか、またインヴァスト証券が提供していくべき価値やグループにおける役割を語っています。
目次
市場環境の変化に対応するため、2026年4月からインヴァスト証券の会長兼社長として陣頭指揮
-インヴァスト証券の社長に就任されたのはいつでしょうか。
インヴァスト証券では会長として代表権を持ってはいたものの、会社全体を俯瞰し前社長をサポートする役割を担ってきました。しかし、前期はインヴァスト証券にとって経営が厳しい年でした。
ここ数年、金利の上昇や新NISA制度、資産運用の選択肢増加など、FX業界を取り巻く市場環境が大きく変化しました。前期はこうした変化への対応が十分ではなかったため、結果的にインヴァスト証券が本来もっとも重視すべき「お客様に対してしっかりと向き合っていく」姿勢が不足してしまったのが業績低下の要因だったのではないかと考えています。
この環境の変化は一過性ではないと受け止めたため、私が社長を兼務する体制としました。インヴァスト証券の社長を兼務するようになったのは2026年4月からですが、1月から現場で指揮をとっています。
「組織体制」「営業方針」を変更し「お客様への向き合い方を変えた」のが奏功し業績を回復
-外部環境の変化などで一時的に厳しかった業績を回復させるためどのような施策を用いたのでしょうか。
インヴァスト証券をドラスティックに大改造したわけでも、何かを刷新したわけでもありません。メンバーは変わっていませんし、プロダクトを変更したわけでもありません。
ただし、メンバーを適材適所に配置し、目指すべき方向性を明確にして、必要なリソースを渡して結果を出してもらう経営方針を徹底しました。「やらないことを決めて、方向性を修正した」という表現が一番的確だと思います。
具体的に変更したのは2つの点です。ひとつが「組織体制」です。
インヴァスト証券はもともとフラットな組織構造で、風通しが良く働きやすい環境でした。しかし、フラットであるが故に目標に向かって組織全体を引っ張っていくグリップ力が少し弱いとも感じていたんです。
そこでフラットだった組織を3組織に編成し直しました。マーケティングやプロダクト、カスタマーサポートなどお客様と直接関わる部門を「ビジネス・グロースグループ」としてひとつにまとめ、システム管理とIT部門を「システム・テクノロジーグループ」に、コーポレートやコンプライアンス、人事など管理部門を「ガバナンス・コーポレートグループ」としたんです。
そして、それぞれのトップに役員を配置し、担当部門を率いていく体制に変更しました。会社の目標に向かってスピーディーに意識を合わせ、それぞれの権限と責任が明確になる構造にした点が、組織体制の変化です。
ふたつめの変更が「営業方針」です。前期まではお客様に中長期的な視点で自動売買をご提案し、インヴァスト証券で長くお取引いただくことを目指した戦略を掲げていました。
しかし、「市場環境の変化に対応しきれていないのではないか」「マーケティングの方向性にズレが生じているのではないか」という懸念がありました。そこで、従来の戦略を見直し、お客様にお取引いただくためのプロセスや指標を一新しました。
「これからはこの指標を重視する」という方針を明確にし、方向性を切り替えたことが奏功したと感じています。新しく発足した「ビジネス・グロースグループ」が市場環境の変化を的確につかみ、お客様への向き合い方を変えたことが形に結びつき、結果お客様のお取引も順調に増え、業績回復につながりました。
-組織や営業方針を変更する中で、社員の皆さんのモチベーションを高めるために意識した点はありますか。
キーマンとなるメンバーひとりひとりと時間をかけて面談を実施しました。インヴァスト証券の役員や幹部には、複数の領域にまたがる優秀なマルチプレイヤーが数多くいます。
だからこそ、それぞれが得意な領域に集中し、最大限の力を発揮できるよう、必要な権限を委譲し、責任を持って経営を担ってもらえる体制を整えました。特に役員や幹部にはあらかじめ用意された「正解」を探すのではなく、自らの決断と行動によって「正解にしていく力」を意識してほしいと考えています。
私自身はマイクロマネジメントはせず、会社として目指す方向と仕組みを示し、必要なリソースを渡した上で、結果を出してもらう方針です。現場には、小規模な成功と失敗をスピーディーに数多く積み重ねながら、自分たちの手で正解を作り出していってほしいと考えています。
目標達成に向けてさまざまな手段を試し、うまくいけば伸ばし、失敗すればすぐに軌道修正をする ――そのスピード感が重要だからです。そして、自分が取り組んでいる作業が、どの目標の達成につながっているのかを、メンバー自身が常に意識できるよう心がけています。
強みの自動売買テクノロジーを活かし短期運用資金の受け皿としての価値を提示していくのが重要
-お客様にとって投資の選択肢が増える中で、インヴァスト証券が勝ち抜いていくためにはどのような戦略が必要になってくるのでしょうか。
お客様の投資先の選択肢がどんどん増えてきている中で、これまでと同じやり方ではもう通用しない、という危機感を強く持っています。「お客様にいかに選んでいただくか」そして「選ばれ続けていけるか」を、常に考え続けなければならないと思うんです。
私たちの事業領域であるFXは、中長期の資産運用という観点で見ると、税制優遇のあるNISA制度などと比べどうしても不利な面があります。ただ、投資家の皆さんを見ていると、現物株式や投資信託を自身のポートフォリの中核に置きながらも、余裕資金についてはレバレッジを効かせて短期的に利益を狙いたい、というニーズを持たれている方が多いのではないかと考えています。少し投機的ではあるけど、短期で運用したいという需要です。こうした資金の受け皿として、FXやCFDは有力な選択肢になりえると考えています。
とはいえ、単に取引の場を提供するだけでは、こうした資産形成ニーズに十分応えられません。だからこそ、短期・中期の運用をお考えのお客様に対しては、私たちからしっかりとアプローチしていく姿勢が求められると思っています。
具体的には、インヴァスト証券の強みである自動売買テクノロジーを活用し、本来ならハイリスクな取引をミドルリスク程度に抑えて運用していただけるようなソリューションを提供しています。実際、これまで取り扱いの中心がFXだったのですが、現在は株価指数や日経225などCFDの取引も非常に増えていて、多様なニーズにお応えできる体制を構築することができました。
お客様に対して、インヴァスト証券ならではの価値をきちんと示していく――それが今、私たちにとって重要なことだと考えています。
祖業であるインヴァスト証券は強固にグループを支えていく役割、今年はさらにブーストさせたい
-インヴァストグループ各社との協業やシナジーについてお話しください。
私はインヴァストグループの海外金融事業を担う26 Degreesの役員や、コミュニティ学習プラットフォーム「Fincs」を展開する株式会社アルカドの会長でもあります。そこで、今年はインヴァスト証券とグループ各社との連携やシナジー創出にも力を入れていきたいと考えています。
その第1弾として進めているのが、アルカドと連携してリリースした投資学習コミュニティ「Torche」です。インヴァスト証券の口座開設者限定の投資学習コミュニティで、投資に関して基礎から実践・活用まで体系的に学べるほか、コミュニティ交流機能を搭載しています。
「Torche」はアルカドが構築したコミュニティ学習プラットフォームやコンテンツ資産を活かしつつ、インヴァスト証券にとっては新しいマーケティングや集客、さらに既存のお客様に向けたカスタマーサクセスの領域につなげているのが特長です。こうしたグループ内シナジーを重要な取り組みと捉えており、今後さらに強化していきたいと思います。
Torche

投資学習コミュニティTorche|インヴァスト証券
-インヴァストグループが掲げる「世界をもっと、良い場所にする。」や「お金の課題を解決する」ミッションにおいて、インヴァスト証券はグループ内でどのような役割や価値を担っているとお考えですか。
インヴァスト証券はインヴァストグループの祖業であり、グループにとって最も重要な「柱」です。
もちろん、海外金融事業である26 Degreesも大きく成長しており、インヴァスト証券と並ぶ重要な事業になっています。ただし、26 Degreesが法人向け(BtoB)のビジネスであるのに対し、インヴァスト証券は個人投資家向け(BtoC)のビジネスであり、グループ内での役割や位置付けは異なります。
インヴァストグループ全体が成長を続ける中で、個人投資家を対象とするインヴァスト証券が国内市場で確固たる存在感を示し輝き続けることができるかどうかは、グループ全体に大きな影響を与えます。私たちの使命は、この柱としての役割を果たしてグループを支えることにあり、今年からはその役割をさらに強化させていきたいと考えています。
-最後に、インヴァスト証券に興味をお持ちの候補者の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
インヴァスト証券はお客様から選ばれ続ける証券会社を目指していますが、同時に、求職者の方々から「インヴァスト証券で働きたい」と思っていただけるような魅力的な会社にしていきたい、と強く願っています。
しかし、証券会社の業務特性上、毎日ゼロから新しいものをガリガリと生み出していくわけではありません。安定したオペレーションや日々の改善も大切です。
こうした環境の中で、いかに社員がモチベーションを高く持ち、会社の魅力や待遇を含め「働きがいのある最高の環境」を作っていけるかどうか。代表取締役会長兼社長として、大きな課題だと感じています。
昨年、お台場のオフィスに移転し、非常に恵まれた環境で働けるようになりました。だからこそ、与えられた環境に満足するのではなく、これからのインヴァスト証券のカルチャーを一緒に作っていく、という熱意ある方にジョインしていただきたいと願っています。
※取材時の部署・役職を記載しています。
(取材日:2026年7月24日 聞き手:垣本陸)