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「昔から、物を売ることに対して無意識のうちに探求していたんです。」
そう語るのは、株式会社HMit 代表取締役副社長の森裕也さん。
新卒で入社した大手EC企業では、わずか2年で社長賞・年間MVPを受賞し、店長へ抜擢されるという華々しい成果を残してきました。しかし、その原動力について尋ねると、「僕は極度のめんどくさがり屋なんです」と意外な言葉が返ってきました。
「何もしないで生きていくために、極度の便利さを追い求める」という思考こそが、徹底的な効率化と仕組み化を生み出し、クライアントの利益を最大化するHMitの強みとなっています。
今回は、代表の濱﨑さんと共にHMitを牽引する森さんに、EC業界へ足を踏み入れたきっかけから、ECコンサルティングにかける想い、そしてHMit独自のカルチャーまで語っていただきました。
ラグ購入から始まったECの世界
ーー森さんは新卒からEC業界で活躍されていますが、そもそもなぜこの世界を選ばれたのでしょうか?
きっかけは大学時代に「ネット通販の仕組み」という講義を受けた時に、物流との関わりや、画面の向こう側に広がる商圏の広さに衝撃を受けたんです。「これから絶対、この便利なサービスは普及していく」と確信しました。当時はまだ自分でお金を出してネットで物を買った経験がなかったのですが、授業を受けてすぐに、岐阜県のEC店舗が販売していた2,980円のLサイズのラグを買ってみたんです。商品が当たり前に届いたのを見て、改めてECの可能性を感じましたね。
実際にECの現場に入ってみて一番面白いと感じたのは、「やったことへのフィードバックが明確に出る」という点です。お客様がどこから入ってきて、何を見て、どういう経路で商品を買っていったのかというデータが全て可視化されます。自分が仕掛けた施策に対する反応が数字としてすぐに返ってくるスピード感と明確さが、僕の性格に合っていたんだと思います。
ーーもともと、物事を分析したり改善したりするのがお好きだったんですか?
そうですね。昔から街を歩いていても、「この商品はもっとこう売ればいいのに」とか「なんでここの導線はこうなっているんだろう」と、物を売ることに対して勝手に探求しているような学生でした。ただ、それは僕が勤勉だからではなく、「極度のめんどくさがり屋」だからなんです。「何もしないで生きていきたい」と思っている人間なので、どうすれば自分が動かずに、仕組みだけで成果が出るかを常に考えているからこそ、ECというツールが肌に馴染んだのかもしれません。
「売れる前」と「売れた後」を知るからこそできる”真のトータルサポート”
ーーこれまで「売る立場(店長)」と「売った後のサポート(CS)」の両方を経験されていますね。この経験は現在のHMitでの支援にどう活きていますか?
ECコンサルティングにおいて、非常に大きな強みになっています。一般的に「ECコンサルタント」というと、「売るためにこういう施策を打ちましょう」という提案がメインになりがちです。しかし、ECは売って終わりではありません。売れた後には必ず、配送があり、お客様からの問い合わせがあり、時にはクレーム対応もあります。
僕は「タンスのゲン」や「アイビーコム」での経験を通じて、「全部が良くないと売れ続けない」ということを痛感しました。いくら商品が良くても、物流が弱ければお客様の手元に届くのが遅れる。いくら販促がうまくても、サポート対応が悪ければレビューが荒れて商品寿命が尽きる。だからこそ、僕たちは「売るためのコンサル」だけでなく、「売った後のコンサル」まで含めたトータルサポートにこだわっているんです。
ーー具体的にはどのような支援をされているのでしょうか?
例えば、家電などのジャンルにおいて、「この商品には何年の保証がつきますか?」という質問は、商品が売れた後にいただくことが統計的に多いんです。それならば、最初から商品ページに保証内容を分かりやすく記載しておけば、お客様の不安を解消でき、転換率(購入率)も上がり、さらに問い合わせ対応のコストも下がります。
「売れる前」と「売れた後」の両方の経験があるからこそ、お客様のフェーズに合わせて、先回りした提案ができるんです。時には、商品企画の段階から入ることもありますし、倉庫業を営んでいるパートナー企業とアライアンスを組んで、物流面から改善を提案することもあります。
ーーHMitのコンサルタントの方々は、現場経験が豊富な方が多いのですか?
実は、入社してくるメンバーのほとんどは未経験です。お客様に対して、「ECコンサルタントです」と名乗ってはいますが、入社直後はクレーム対応も出荷作業もしたことがない状態です。しかし、それでは本当の意味でお客様の痛みや課題に共感することはできません。
だからこそHMitでは、入社したらまずは3ヶ月間、自社店舗の運営や企画販促、出荷業務、そしてクレーム対応までを徹底的に経験してもらいます。伝票発行一つとっても、実際にやってみないと「こんなに大変なんだ」という実感は湧きません。現場の泥臭さを肌で知っているからこそ、クライアントに対して表面上ではない、心からの伴走ができると考えています。
正反対の二人が描く未来
ーー代表の濱﨑さんとは、どのような経緯でタッグを組むことになったのですか?
もともと大学時代から「いつか自分で事業をしたい」という想いがありました。前職時代、濱﨑は僕の1年後輩として入社してきて、僕が彼のメンターを担当したんです。ある時の社員旅行で、夜コンビニに買い出しに行く道中、「実は俺も会社やりたいんだよね」という話で意気投合して、一緒に起業することになったんです。
僕と濱﨑は、行き着く答えや見ている景色は一緒なんですが、そこに至る「ルート(考え方)」が全く違うんです。濱﨑を動物に例えるなら「イノシシ」ですね(笑)。「これだ!」と決めたら、道がなかろうが全力で突き進んで0から1を生み出す突破力がある。一方で僕は、人見知りですが1対1の関係構築が得意で、どちらかというと濱﨑が切り拓いた道を整え、1を100に拡大していくのが得意なタイプなんです。得意分野が真逆だからこそ、お互いに背中を預けられるというのはあると思います。
今は事業部も別れているので、困った時は相談し合えるアドバイザーのような関係性で、お互いを信頼して任せています。
ーーそんなお二人が率いるHMitですが、事業において特に重視している「こだわり」は何でしょうか?
「日本のEC事業を利益体質に変えていく」ということです。日本のEC市場、特にモール型のECでは、どうしても「価格比較」にさらされやすく、安売り勝負に陥りがちです。
しかし、ただ安く売って疲弊し、利益が出ずに撤退してしまっては意味がありません。安売りではなく、「適正価格」で売るために、商品のストーリーや想いをどう魅せるか、マーケティングの力で勝負していく必要があります。「いくらで売るために、どのような商品を作るか」という逆算の思考を持ち、クライアントがしっかりと利益を残せる体質へと変革していくことを重視しています。
日本のEC化率は海外に比べてまだ低いです。だからこそ、EC事業者が健全に利益を出し、成長できる環境を作ることが、ひいては「日本をIT先進国にする」という大きなミッションに繋がると信じています。
「全員で解決策を考える」当事者意識の高い集団
ーーHMitの組織カルチャーについても教えてください。
一言で言えば、当事者意識が非常に高いチームです。コンサルティングという事業形態上、クライアントの事業を自分ごとで捉えられるかが非常に重要です。
社内でも、誰か一人が起こした問題に対して「それはあの人のミスだから」と切り捨てることはなく、「どうすれば解決できるか?」「再発させないためには?」を全員で考え、解決策を導き出します。
ーーメンバーはどんな人が多いですか?
メンバーは本当に真っ直ぐで、明るい人が多いですね。今やらなければいけないことを理解し、好奇心を持って泥臭いことにも向き合ってくれます。
創業からこれまで、組織作りにおいては「どこまで基準を求めるか」という意識のすり合わせで苦労した時期もありました。でも、1年ほど前から言い続けてきたことが浸透し、今では社員の成功を自分のことのように喜べる、最高のチームになったと自負しています。
今後の展望と、個人的な「夢」
ーー今後の会社・個人としての目標を教えてください。
事業としては、現在の売上の2〜3倍を目指し、楽天だけでなくAmazon、Yahoo!、TikTokなど、多角的なプラットフォーム展開を強化していきます。制作部門でのブランディング力もさらに高めていきたいですね。
そして個人的な夢として、4年後くらいには「居酒屋」をやりたいと思っているんです(笑)。僕自身お酒が好きというのもありますが、ただの居酒屋ではなく、ECで販売している商品を手軽にお酒と一緒に楽しめて、気に入ったらその場でQRコードから購入できるような、リアルとECが融合した場所を作りたいと思っています。
ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。
HMitは、コンサルティング会社特有の「型」にはめるようなことはしません。クライアントのお悩み事に真摯に伴走し、一緒に解決していく。
そうした事業者目線でのコンサルティングに共感し、「日本のIT化、EC化に貢献したい!」という熱い想いを持った方と一緒に働きたいと思っています。
泥臭くも面白い、ECの世界を一緒に走り抜けましょう!