外資系コンサルティングファームから、24歳の社長が経営する若いベンチャー企業へ――。今回は、6月に入社したばかりの経営企画部・藤谷俊祐が、コンサルタントとしてのキャリアを捨て、なぜ株式会社ジラフを転職先に選んだのか、話を聞いてみました。
<藤谷俊祐(ふじやしゅんすけ)>
早稲田大学卒業後、外資系戦略コンサルティングファームのブーズ&カンパニー(当時)に入社。コンサルタントとして4年の経験を経た後、株式会社ジラフに入社。現在は経営企画部のトップとして初月から活躍を見せる。学生時代は競走部に所属し、箱根駅伝で走ることを夢見る陸上少年だった。
――藤谷さんは中学生の頃から箱根駅伝のランナーになりたくて、大学までずっと長距離ランナーとして活動をつづけたこられたそうですね。
大学4年生まで、箱根駅伝を走ることをひたすら夢見て走り続けていました。ええ、早大に進学したのも箱根駅伝に出られる大学だからです。それだけ、走ることにひたすら打ち込んできた10年間でした。
ただ残念ながら、選手として立派な成績を残すことはできなかったので、3年時に選手を諦め、マネージャーに転身しました。とはいえ部活ばっかりで勉強がおろそかになっていたこともあって、結局大学5年生を経て大学院に進んだんです。
――驚くべきことに、藤谷さんは理工学部のご出身。競走部との両立は大変だったのでは。
確かに大変だったので留年してしまったんですが(笑)。ただその後大学院に進学したのも何か理由があったわけではなくて、本当にひたすら陸上をやってきたので、それがなくなって自分が何をしたいのか分からないままで就職するとか、器用に決められるタイプではなかったので、とりあえず大学院に進んだという感じでしたね。
――なるほど。だからこそ、就職はまったく畑違いの外資系コンサルティングファームを選んだのですね。
自分は鉄について研究する研究室にいたんですが、普通は大手の鉄鋼メーカーにエンジニアとして就職していくという環境です。そこにたまたま外資系の投資銀行に進んだ先輩がいまして、実はけっこう仲の良い先輩だったんですね。
その先輩が、自分にも外資系コンサルティングファームとかが合うんじゃないかとアドバイスをしてくれまして。正直メーカーに進むという気持ちもなかったので、面接を受けてみたらコンサルティングファームがどういう会社なのかも分かって、首尾よく内定をいただけたので就職しました。
なぜコンサルティングファームに決めたのかというと、ずっと体育会系の組織に身を置いてきたんですけど、外資系のコンサルティングファームというのは、それとは真逆の組織で、まずそこに衝撃を受けました。同時に自分の知らない世界に大きな魅力を感じて、自分の考え方を構築するうえで、かなり大きい振れ幅を持った環境に身を置くというところに意味があるんじゃないかと思ったからですね。
――実際に入ってみた会社はいかがでしたか?
新卒で入ったのはブーズ&カンパニーという会社で、それが2年後にPwC(プライスウォーターハウスクーパース)に買収されました。なので4年間在籍していたんですが、最初の2年がブーズ&カンパニー、後ろの2年がPwCでコンサルタントやっていたということになります。
戦略コンサルティングファームの仕事の内容をひと口に説明するのは難しくて、まず業界に特化することがない。私も4年間で保険会社のプロジェクトもやれば、製造業、製薬会社、公的機関のコンサルティングまで、すべて横断的にやっていたんです。
しかも会社をみるうえで、ファンクションに特化するという考え方もないので、営業の効率化というテーマでもやりましたし、R&D関係や、コストについて考えるプロジェクトもやりました。
そこで一番必要なのは、キャッチアップする力だと思います。膨大な、まるで海のような対象を相手にするので、知識ベースでそこに挑むと際限がなくなってしまう。むしろ必要なのは、必要なものに対していかにスムーズにキャッチアップするか。イシューを探し出し、必要最低限の答えを素早く導き出すというところです。
というのが仕事としてやってきたことで、結局具体的に説明しろと言われても、なんなのかよくわからないという(笑)
――お聞きするだけでも大変そうな仕事ですが、藤谷さん自身はそういった仕事をどう感じていたのですか?
駅伝というのはチーム戦ではあるのですが、それぞれの選手が頑張って全体の平均値いかに高めるかという足し算の競技なんです。ただ自分は、どちらかというとRPGのような、個々のプレーヤーの専門に応じた役割があって、その掛け算で生み出されるチーム力を駆使してのチーム戦のほうが楽しいだろうなと、なんとなく思っているところがあるんです。
そのうえで、コンサルティングファームの中で働いている人間はけっこう似たような感じの人が多いんです。高学歴で論理的にものを考えることを是としていて、論理的な会議を是としていて、そのために、真っ向から議論をするといったような……
――コンサルティングファームってそういうところですよね。
そうです。当初は私もそういう部分に魅力を感じて行ったんですが、各プロジェクトのチームというのも、一人ひとりの専門的な能力が高いわけではないので、むしろ足し算のチーム力が試されるところがある。つまりチーム戦みたいな話で言うと、陸上もコンサルタントも足し算としてのチーム戦だったなと思うようになりました。そうなると、そういうところではないところ、掛け算でチーム力が発揮される場所に身をおきたいなと思うようになったんですね。
――そこからベンチャーへの転職を考えるようになられたわけですね。
まず、そのままコンサルタントとして超一流を目指すのかというと、そこに対する自分の答えはノーでした。私はそうじゃない道を選びたいということは、働きながらなんとなく感じていました。
ではどういう会社に転職するのかを考えた時に、私自身の好みとして、とっちらかった混沌とした状況が好きで、それは日々変化があって、やらなきゃいけないことが常に変わっていくような状況に身を置きたいなと。
そして、自分と異なる能力を持つ人と働ける機会が豊富にあったほうが面白いと思っていたこと。掛け算でチーム力が発揮される場です。その意味でベンチャー企業というのは、組織も小さいので活気がありますし、営業やエンジニアと一緒に仕事する機会もあります。
――ベンチャー企業に転職したかったのか、それとも選択肢の1つだったのですか?
自分の中で、まず転職したいという気持ちがあって、転職先をどういうところにしようかと考えた時に、ベンチャー企業が候補として挙がったということになりますね。まあ、いろいろ右往左往はしながらも、最後はそういう方向で落ち着いたというところはありましたけれど。
それとタイミングとしても、来年にもう30代になりますから、新しいことに対する挑戦というのが難しくなってくるということがありました。タイミング的にギリギリだったという思いがあって、ベンチャーに行くなら早いほうがいいなという思いもあって、今回決断したことになります。
――転職はベンチャー企業にしようと考えられた。では、数あるベンチャー企業の中から株式会社ジラフを選んだ理由は?
ジラフを知ったのは、ツイッターでたまたま社長の麻生(輝明)さんが人を募集してますというのを見かけたんです。
――麻生さんをフォローしていたんですか?
いや、リツイートで流れてきました。その時はベンチャー企業に詳しい人をフォローしていて、その方が麻生さんのツイートをリツイートしていた。自分にとって信頼できる人のリツイートだったので、ならばちょっと興味を示してみようかなと思ったんです。
そこでジラフのコーポレートサイトから「お話を聞かせていただけますか?」みたいなメールを投げたら、らもう1分後ぐらいに返信が来た。さらに同じぐらいのタイミングでフェイスブックの友達申請もいただいて。なんだこのスピード感はみたいな(笑)。そうして面接の日程調整をしていただいている間に、そのビジネスの内容を知ったぐらいです。
――ビジネスの内容を知って、どう思われました?
ビジネスの内容そのものについては、ベンチャーの割に、手堅いことをやっているなという印象でした。
社長が学生時代からベンチャーを立ち上げたというところだけを聞くと、ビジネスの内容に「手堅い」という感じ方はしないと思いますが、今弊社でやってる「ヒカカク!」であったり、「最安修理ドットコム」のようなポータルサイトって、手堅いというか、あまり派手な印象のない、ベンチャーという言葉から連想されるビジネスの内容からは、それこそ真逆の印象があるなと思いました。
――ではジラフのスタートアップとしての魅力をどこに感じたのですか?
今はちょうど会社が大きくなっていくタイミング、事業としてもどんどん成長していくタイミングです。それに合わせて、会社もどんどん変わっていくというタイミングだなと感じていました。そんな、成長していく会社の変化を一通り見ることができるのは、私自身の経験としてとても有意義なものになると感じます。
それからこれは周りの人から言われることなのですが、このスケールのベンチャー企業としては、かなり優秀な人材がそろっているということをよく言われます。それは、(元ポケラボの)佐々木(俊介)さんがいらっしゃるということですし、柴田(雅人)さんら本当に優秀な人材がいます。
さらに言えば、社長の麻生さんが非常に熱量のある方で、そういう熱量を身近に感じながら仕事をすることができるというのは、ベンチャー企業というのはおそらくそうだと思うんですけど、やっぱり私はいいなと思っていて、それは、コンサルティングファームにいた頃よりも、強く感じるところです。
――では藤谷さんの現在の仕事の内容を教えてください。
経営企画部という部署で、いわゆる新規領域を中心に、ちょうどいま、新規事業の立ち上げを進めています。企画を練ったり、企画書の作成だったり、どういうビジネスだったら儲かるのかという調査だったり……そういったことが主軸になってきてますね。今後としては、経営企画部としても会社の成長のフェイズに合わせてやることを変えていかなければならないと思っているのですが、当面は新規事業が中心になるのかなと思ってますね。
――コンサルタント時代と比べて、仕事の楽しさは変わりました?
プロダクトというか売り上げの距離感が非常に近くなりました。コンサルタントの時には、やったことが成果として結びついた喜びも一応あるんですけど、その距離感が断然こちらのほうが近い。目に見える距離感で考えたことが実行できて、しかも最後まで見届けられる。その距離感が近い分だけ、より大きな喜びとなって帰ってくる部分も多いなと思います。
――今後、社内でやってみたいことはありますか?
せっかく事業会社に転職したので、ここでしかできないことをしっかりやっていきたいなと思ってます。それは、プロダクトにもう少し深く関わってみたい。コンサルタント時代の、数字を追って数字を見て数字をもって完結するという仕事ではなく、プロダクトに絡んで、エンジニアや営業の方と連携をとって、様々な議論をしながらやっていきたいなと思ってます。
――要するに事業の責任者として見届けたいということですか。
そういうことですね。いまの新規事業がうまく立ち上がっていけば、そういうことになるのかなと思います。
――今後ジラフにはどんな人に来てほしいと考えますか?
変化を楽しめる。朝令暮改ではないですけど、朝に言っていたことが夕方になって変わってくるような、でもそれがいい変化であれば必要だよねということが分かって、むしろそれが楽しめるような人と働くことができれば楽しいなと思います。